ヨハネの福音書(32)「ラザロの復活(1)」ヨハ11:1~27

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イエスは、死者をよみがえらせる方である。

ヨハネの福音書(32)

「ラザロの復活(1)」

ヨハ11:1~27

1.文脈の確認

(1)前書き(1:1~18)

(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)

  ①公生涯への序曲(1:19~51)

  ②初期ガリラヤ伝道(2:1~12)

  ③最初のエルサレム訪問(2:13~3:36)

  ④サマリア伝道(4:1~42)

  ⑤ガリラヤ伝道の再開(4:43~54)

  ⑥2度目のエルサレム訪問(5:1~47)

  ⑦後期ガリラヤ伝道(6:1~7:9)

  ⑧3度目のエルサレム訪問(7:10~10:42)

  ⑨公生涯の締めくくり(11~12章)

    *ラザロの復活(第7のしるし)(11:1~44)

2.注目すべき点

(1)7つの「しるし(セーメイオン)」の中の最後で最大の「しるし」

(2)11章が公生涯のクライマックスで、12章から十字架に向かう。

(3)神の愛と遅延の逆説が啓示される。

(4)復活に関するマルタとの対話が重要である。

(5)国の指導者たちは、信仰によって応答しなければならない。

3.アウトライン

(1)イエスと弟子たちの対話(1~16節)

(2)イエスとマルタの対話(17~27節)

(3)イエスとマリアの対話(28~32節)

(4)イエスとラザロの対話(33~44節)

(今回は、(1)と(2)を取り上げる)

4.結論:今日の信者への適用

イエスは、死者をよみがえらせる方である。

4 種類の人たちとの会話を通して、イエスが死者をよみがえらせる方であることが分かる。

Ⅰ.イエスと弟子たちの会話(1~16節)

1.1~3節

Joh 11:1

さて、ある人が病気にかかっていた。ベタニアのラザロである。ベタニアはマリアとその姉妹マルタの村であった。

Joh 11:2

このマリアは、主に香油を塗り、自分の髪で主の足をぬぐったマリアで、彼女の兄弟ラザロが病んでいたのである。

Joh 11:3

姉妹たちは、イエスのところに使いを送って言った。「主よ、ご覧ください。あなたが愛しておられる者が病気です。」

(1)ヨハネは、マリアを中心にこの一家を紹介している。

  ①「主に香油を塗り、自分の髪で主の足をぬぐったマリア」と説明している。

  ②ヨハネは、時間を逆転させてこのことを記している(12章で起こる)。

  ③イエスは、エルサレム近郊にあったベタニア村のこの一家を愛された。

  ④エルサレムに近いので、十字架の死につながって行く予感がする。

(2)ラザロが病気にかかっていた。

  ①罪が原因だという指摘は、全くない。ラザロは義人である。

  ②姉妹たちは、イエスのところに使いを送った。

    *イエスがいた所までの距離は、1日である。

  ③「あなたが愛しておられる者」というのが、イエスへの懇願のベースにある。

  ④ところが、ラザロはその直後に亡くなった。

2.4~6節

Joh 11:4

これを聞いて、イエスは言われた。「この病気は死で終わるものではなく、神の栄光のためのものです。それによって神の子が栄光を受けることになります。」

Joh 11:5 イエスはマルタとその姉妹とラザロを愛しておられた。

Joh 11:6

しかし、イエスはラザロが病んでいると聞いてからも、そのときいた場所に二日とどまられた。

(1)イエスの洞察力

  ①この病気の最終結末は、肉体の死ではない。

  ②ラザロはよみがえり、神の栄光が現れる。

  ③それによって、神の子は栄光を受ける。

(2)ここには、アイロニー(皮肉)がある。

  ①イエスは、父なる神に従順に歩む。

  ②イエスはラザロにいのちを与えるが、そのことがイエスを十字架の死に導く。

  ③十字架の死は、イエスの栄光の現れである。

(3)「しかし」(ウーン)は、「それで」と訳すことができることばである。

  ①「それで、イエスはなおもその場所に2日とどまった」のである。

  ②この遅延は、「今すぐ助ける」のではなく、「神の栄光」へと導く愛である。

  ③神の愛は、私たちの期待とは異なる。

3.7~10節

Joh 11:7 それからイエスは、「もう一度ユダヤに行こう」と弟子たちに言われた。

Joh 11:8

弟子たちはイエスに言った。「先生。ついこの間ユダヤ人たちがあなたを石打ちにしようとしたのに、またそこにおいでになるのですか。」

Joh 11:9

イエスは答えられた。「昼間は十二時間あるではありませんか。だれでも昼間歩けば、つまずくことはありません。この世の光を見ているからです。

Joh 11:10 しかし、夜歩けばつまずきます。その人のうちに光がないからです。」

(1)イエスは、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。

  ①行動を起こす時が来たのである。

  ②弟子たちは、もう一度ユダヤに行くのは危険だと判断した。

  ③盲人の癒やしの後で、ユダヤ人たちはイエスに石を投げようとした。

(2)イエスの認識

  ①ベタニアに行くのは、そんなに危険なことではない。

  ②神の御心の内を歩めば、つまずくことはない。

  ③十字架の時が来るまでは、昼間(神が定めたタイミング)が続く。

4.11~13節

Joh 11:11

イエスはこのように話し、それから弟子たちに言われた。「わたしたちの友ラザロは眠ってしまいました。わたしは彼を起こしに行きます。」

Joh 11:12

弟子たちはイエスに言った。「主よ。眠っているのなら、助かるでしょう。」

Joh 11:13

イエスは、ラザロの死のことを言われたのだが、彼らは睡眠の意味での眠りを言われたものと思ったのである。

(1)イエスのことば

  ①ラザロは「わたしたちの友」である。

  ②イエスの命令を実行する人は、友である。

  ③ラザロは眠っている

    *死ぬと、肉体は眠ったようになる。

    *信者の死にのみ適用することばである。

  ③彼を起こしに行く。よみがえらせるために行く。

    *イエスの主権が表明されている。

(2)弟子たちの応答

  ①眠っているなら、行かなくても助かるでしょう。

  ②彼らは、ベタニアに行かないための口実を設けている。

  ③彼らは、ラザロは回復していると思った。

5.14~15節

Joh 11:14

そこで、イエスは弟子たちに、今度ははっきりと言われた。「ラザロは死にました。

Joh 11:15あなたがたのため、あなたがたが信じるためには、わたしがその場に居合わせなかったことを喜んでいます。さあ、彼のところへ行きましょう。」

(1)イエスは意図を明らかにされた。

  ①ラザロは死んだ。

  ②自分がその場に居合わせなかったことを喜んでいる。

    *弟子たちが信仰に導かれることを喜んでいる。

  ③もしイエスがそこにいたなら、ラザロは死んでいなかった。

    *イエスの前で人が死んだという記録はない。

  ④ラザロが死んでいなかったら、よみがえりの奇跡が行われることもなかった。

(2)イエスは、「あなたがたが信じるためには」と言われる。

  ①弟子たちはすでに信じていたが、まだ信仰が成長する余地があった。

  ②「死に打ち勝つ主」としての信仰は、まだ不完全である。

6.16節

Joh 11:16

そこで、デドモと呼ばれるトマスが仲間の弟子たちに言った。「私たちも行って、主と一緒に死のうではないか。」

(1)トマスは、疑り深い人物として有名である。

  ①ここでは、自己犠牲の精神を表明し、リーダーシップを発揮している。

  ②しかしこれは、落胆から出た開き直りのことばのようである。

(2)彼は、理解できなくても主に従うという信仰を発揮した。

  ①彼の意図とは異なるが、結果的に、弟子たちのほぼ全員が殉教の死を遂げる。

Ⅱ.イエスとマルタの会話(17~27節)

1.17~19節

Joh 11:17

イエスがおいでになると、ラザロは墓の中に入れられて、すでに四日たっていた。

Joh 11:18

ベタニアはエルサレムに近く、十五スタディオンほど離れたところにあった。

Joh 11:19

マルタとマリアのところには、兄弟のことで慰めようと、大勢のユダヤ人が来ていた。

(1)ラザロは4日間墓に入っていた。

  ①使者がイエスのところに来るのに1日かかる。

  ②イエスは、そこに2日とどまった。

  ③イエスがベタニアに来るのに1日かかった。

  ④パリサイ人たちは、死者の魂は3日間、死体の上を漂っていると教えていた。

  ⑤4日経つということは、蘇生の見込みがなくなったという意味である。

  ⑥当時の埋葬法は、2段階に分かれていた。

    *遺体を麻布にくるんで埋葬した。

    *後に、遺骨を石棺に納めた。

(2)ベタニアは、エルサレムから東に3㎞ほどの所にある。

  ①大勢のユダヤ人が、遺族を慰めるためにそこに来ていた。

  ②エルサレムからも人々が来ていた。

  ③ユダヤ教では、「シバ」(7日間)という習慣があった。

  ④ユダヤ人は共同体によって支えられている。

  ⑤今でも、この習慣は生きている。

      (例話)第60回聖地旅行での体験

2.20~22節

Joh 11:20

マルタは、イエスが来られたと聞いて、出迎えに行った。マリアは家で座っていた。

Joh 11:21

マルタはイエスに言った。「主よ。もしここにいてくださったなら、私の兄弟は死ななかったでしょうに。

Joh 11:22

しかし、あなたが神にお求めになることは何でも、神があなたにお与えになることを、私は今でも知っています。」

(1)マルタとマリアは、対照的である。

  ①マルタは、行動的である。

  ②マリアは、思索的である。

(2) 「主よ。もしここにいてくださったなら、私の兄弟は死ななかったでしょうに」

  ①マルタのことばは、信仰告白である。

  ②彼女は、イエスは癒やしの力を持っていることを信じていた。

    *これは、限定的信仰である。イエスは距離を乗り越えて奇跡を行う。

  ③イエスを責める意図はない。イエスに情報が届く前に、ラザロは死んだ。

  ④彼女は、イエスの上に神の祝福があることを信じていた。

3.23~24節

Joh 11:23 イエスは彼女に言われた。「あなたの兄弟はよみがえります。」

Joh 11:24

マルタはイエスに言った。「終わりの日のよみがえりの時に、私の兄弟がよみがえることは知っています。」

(1)イエスの認識

  ①ラザロはすぐによみがえる。

  ②イエスは、マルタの信仰を引き上げようとしている。

(2)マルタの認識

  ①ラザロは、終わりの日によみがえる。

  ②彼女は、正統的なユダヤ教の終末信仰を告白している。

  ③イエスの力が「今ここで」働くことまでは理解していない。

4.25~26節

Joh 11:25

イエスは彼女に言われた。「わたしはよみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は死んでも生きるのです。

Joh 11:26

また、生きていてわたしを信じる者はみな、永遠に決して死ぬことがありません。あなたは、このことを信じますか。」

(1)「わたしは、○○です」はイエスの神性宣言である。

  ①「わたしはよみがえりです。いのちです」は、第5の神性宣言。

(2)イエスのことばのパラドックス

  ①肉体の死は、永遠のいのちへの入り口である。

  ②イエスを信じる者は、肉体的に死んでも、霊的には永遠に生きる。

  ③霊的いのちは、やがて栄光の体に結びつく。

(3) 「あなたは、このことを信じますか」

  ①信仰の応答を促すことばである。

5.27節

Joh 11:27

彼女はイエスに言った。「はい、主よ。私は、あなたが世に来られる神の子キリストであると信じております。」

(1)マルタの信仰告白(ペテロの信仰告白に匹敵する内容。マタ16:16)

  ①イエスは、キリストである。

  ②イエスは、神の子である。

  ③イエスは、世に来られるお方である。

(2)マルタの信仰の限界

  ①ラザロがすぐによみがえるという信仰はない。

結論:今日の信者への適用

1.遅延ではなく、完全なタイミング

(1)ヨハ11:5~6

Joh 11:5 イエスはマルタとその姉妹とラザロを愛しておられた。

Joh 11:6

しかし、イエスはラザロが病んでいると聞いてからも、そのときいた場所に二日とどまられた。

(2)遅延は神の無関心ではなく、信仰を成長させる神の計画である。

(3)永遠の視点から、信仰生活を捉える。

2.教理の理解ではなく、今ここで働く信仰

(1)ヨハ11:24~25

Joh 11:24

マルタはイエスに言った。「終わりの日のよみがえりの時に、私の兄弟がよみがえることは知っています。」

Joh 11:25

イエスは彼女に言われた。「わたしはよみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は死んでも生きるのです。

(2)マルタは、終末の復活信仰を持っていた。

(3)しかし、イエスの内に復活のいのちがあることを理解していなかった。

(4)試練の日に必要なのは、教理の理解ではなく、生ける信仰である。

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