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ヨハネの福音書(30)「良い牧者のたとえ(2)」ヨハ10:11~21
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イエスは、良い牧者である。4つの対比によって、それが明らかになる。
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ヨハネの福音書(30)
「良い牧者のたとえ(2)」
ヨハ10:11~21
1.文脈の確認
(1)前書き(1:1~18)
(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)
①公生涯への序曲(1:19~51)
②初期ガリラヤ伝道(2:1~12)
③最初のエルサレム訪問(2:13~3:36)
④サマリア伝道(4:1~42)
⑤ガリラヤ伝道の再開(4:43~54)
⑥2度目のエルサレム訪問(5:1~47)
⑦後期ガリラヤ伝道(6:1~7:9)
⑧3度目のエルサレム訪問(7:10~10:42)
⑨良い牧者のたとえ(10:1~21)
2.注目すべき点
(1)10章は、9章の盲人の癒しの出来事と密接に関連している。
(2)イエスは、生まれつきの盲人を癒やした。パリサイ人たちは、彼を追放した。
(3)このことを背景として、「良い牧者」と「盗人・強盗」のたとえ話が語られる。
3.アウトライン
(1)羊飼いと盗人(強盗)の対比(1~6節)
(2)羊の門と盗人(強盗)の対比(7~10節)
(3)良い牧者と雇い人の対比(11~18節)
(4)信じる者と信じない者の対比(19~21節)
*今回は、(3)と(4)を取り上げる。
3.結論:今日の信者への適用
イエスは、良い牧者である。
4 つの対比によって、それが明らかになる。
Ⅲ.良い牧者と雇い人の対比(11~18節)
1.11節
Joh 10:11わたしは良い牧者です。良い牧者は羊たちのためにいのちを捨てます。
(1)良い牧者の特徴
①獅子、ひょう、狼、熊、ジャッカル、などの野獣がいた。
②良い牧者は、羊を守るために、命がけで戦う。
③なぜか。羊の所有者だからである。
(2)良い牧者の実例
①ヤコブ(創31:38~40)
Gen 31:38 私があなたと一緒にいた二十年間、あなたの雌羊も雌やぎも流産したことはなく、また私はあなたの群れの雄羊も食べませんでした。
Gen 31:39
野獣にかみ裂かれたものは、あなたのもとへ持って行かずに、私が負担しました。それなのに、あなたは昼盗まれたものや夜盗まれたものについてまでも、私に責任を負わせました。
Gen 31:40 私は昼は暑さに、夜は寒さに悩まされて、眠ることもできませんでした。
②ダビデ(1サム17:34~36)
1Sa 17:34 ダビデはサウルに言った。「しもべは、父のために羊の群れを飼ってきました。獅子や熊が来て、群れの羊を取って行くと、
1Sa 17:35
しもべはその後を追って出て、それを打ち殺し、その口から羊を救い出します。それがしもべに襲いかかるようなときは、そのひげをつかみ、それを打って殺してしまいます。
1Sa 17:36
しもべは、獅子でも熊でも打ち殺しました。この無割礼のペリシテ人も、これらの獣の一匹のようになるでしょう。生ける神の陣をそしったのですから。」
③イエスは、この系譜に属する良い牧者であるが、それ以上である。
(3)「わたしは良い牧者です」
①「わたしはある」(出3:14)を思い出させるイエスの神性宣言である。
②「良い」は「カロス」であるが、「本質的に立派」「理想的な」という意味。
③イエスは、「理想的な、究極の羊飼い」である。
(4)「良い牧者は羊たちのためにいのちを捨てます」
①「捨てる」は「ティテーミ」であるが、能動的に命を献げるという意味。
②イエスの自発的な死が強調されている。
③これは、十字架の死を覚悟したことばである。
2.12~13節
Joh 10:12
牧者でない雇い人は、羊たちが自分のものではないので、狼が来るのを見ると、置き去りにして逃げてしまいます。それで、狼は羊たちを奪ったり散らしたりします。
Joh 10:13 彼は雇い人で、羊たちのことを心にかけていないからです。
(1)雇い人の特徴
①賃金のために働いているので、羊がどうなっても気にしない。
②自分の身の安全が第一なので、危険が迫ると逃げて行く。
③「逃げる」は「フェイゲイ」であるが、「責任放棄」を意味する。
③その結果、羊は奪われ、群れは散らされる。
(2)雇い人の実例
①利己的な王たち、利己的な祭司たち、偽預言者たち。
②狼は、敵対者の象徴(サタンや異端的な指導者)である(使20:29)。
③神の羊の群れは、常に「牧者でない雇い人」によって苦しめられてきた。
④エレ10:21~22
Jer 10:21 牧者たちは愚かで、【主】を求めなかった。/それゆえ、彼らは栄えず、/彼らが飼うものはみな散らされる。
Jer 10:22
声がする。見よ、一つの知らせが届いた。/大いなるざわめきが北の地から来る。/ユダの町々を荒れ果てた地とし、/ジャッカルの住みかとするために。
⑤ゼカ11:4~17
(3)パリサイ人たちは、この系譜に属する雇い人たちである。
①彼らの教えを、軽く考えてはならない。
②パリサイ的ユダヤ教は、民衆を滅びに導く教えである。
③彼らは、民衆から受けるお礼を期待して教えていた。
3.14~15節
Joh 10:14
わたしは良い牧者です。わたしはわたしのものを知っており、わたしのものは、わたしを知っています。
Joh 10:15
ちょうど、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じです。また、わたしは羊たちのために自分のいのちを捨てます。
(1)良い牧者は、自分の羊を知っている。
①自分の所有物である。
②注意深く見守っている。
(2)羊は、所有者を知っている。
①相互関係に基づく知識である。
②「知る」は「ギノースコー」で、「親しい関係の中で知る」という意味。
(3)その関係は、御父と御子の関係にたとえられる。
①完ぺきな調和と一致がある。
②イエスと父の関係と同じレベルの親密さで、信者とキリストが結ばれている。
(4)良い牧者は、羊のためにいのちを捨てる。
①十字架の死の預言がくり返される。
4.16節
Joh 10:16
わたしにはまた、この囲いに属さないほかの羊たちがいます。それらも、わたしは導かなければなりません。その羊たちはわたしの声に聞き従います。そして、一つの群れ、一人の牧者となるのです。
(1)「この囲いに属さないほかの羊たち」
①「この囲いに属さない」という表現は、ユダヤ人以外の存在を指している。
②これは、将来救われる異邦人信者たちである。
③イエスの死は、異邦人を父なる神のもとに連れて行くようになる。
④復活したイエスは、弟子たちを通して異邦人にも語りかける。
(2)「一つの群れ、一人の牧者となる」
①これは、教会のことである。
②教会は、ユダヤ人信者と異邦人信者からなる「新しいひとりの人」である。
③教会の頭は、イエス・キリストである。
④エペ3:6
Eph 3:6
それは、福音により、キリスト・イエスにあって、異邦人も共同の相続人になり、ともに同じからだに連なって、ともに約束にあずかる者になるということです。
5.17~18節
Joh 10:17
わたしが再びいのちを得るために自分のいのちを捨てるからこそ、父はわたしを愛してくださいます。
Joh 10:18
だれも、わたしからいのちを取りません。わたしが自分からいのちを捨てるのです。わたしには、それを捨てる権威があり、再び得る権威があります。わたしはこの命令を、わたしの父から受けたのです。」
(1)イエスは再び、自らの死を預言する。
①ここでは、自発的死であることが語られる。
②イスカリオテのユダがいなくても、イエスは十字架の死を遂げた。
(2)父なる神は、御子を特別な愛で愛しておられる。
①御子がいのちの犠牲を払って御心に従うからである。
②この愛は「アガペーの愛」である。
(3)イエスの権威
①いのちを捨てる権威(運命を支配する権威)
*死の時をイエスは決める。
②もう一度それを得る権威(死に勝利する権威)
*イエスの死は、単なる自己犠牲ではなく、復活を前提とした計画である。
(4)この命令(指示)は、父から来たものである。
①イエスの死と復活は、父なる神からの「命令」に従ったもの。
②ピリ2:9~11
Php 2:9 それゆえ神は、この方を高く上げて、/すべての名にまさる名を与えられました。
Php 2:10 それは、イエスの名によって、/天にあるもの、地にあるもの、/地の下にあるもののすべてが膝をかがめ、
Php 2:11 すべての舌が/「イエス・キリストは主です」と告白して、/父なる神に栄光を帰するためです。
Ⅳ.信じる者と信じない者の対比(19~21節)
1.19節
Joh 10:19 これらのことばのために、ユダヤ人たちの間に再び分裂が生じた。
(1)イエスの「良い牧者」のメッセージが分裂をもたらした。
①「分裂」は「スキスマ」であるが、「鋭い対立」や「深刻な亀裂」を指す。
*「教会の東西分裂」の語源となったことばである。
②ユダヤ人社会の4度の分裂
*ヨハ7:43(祭りの終わりの大いなる日になされた宣言)
*ヨハ9:16(生まれつきの盲人の癒し)
*ヨハ10:19(良い牧者のメッセージ)
*ヨハ19:6(イエスの十字架刑の決定)
(2)イエスが来られると、世界に、社会に、家庭に、友人関係に分裂が起こる。
①イエスのことばは、「終末的な選別」を示唆している。
②分裂が起こらないなら、聖書的メッセージとは言えない。
③ヨハネの福音書の読者は、そのことを体験していた。
2.20節
Joh 10:20
彼らのうちの多くの人が言った。「彼は悪霊につかれておかしくなっている。どうしてあなたがたは、彼の言うことを聞くのか。」
(1)大多数のユダヤ人たちが、イエスを拒否した。
①指導者たちの判断が、民衆レベルに浸透した。
②「サマリア人であり、悪霊につかれている」(ヨハ8:48)と言われていた。
③「どうして」は「ティ」であるが、強い拒絶の意志が示されている。
3.21節
Joh 10:21
ほかの者たちは言った。「これは悪霊につかれた人のことばではない。見えない人の目を開けることを、悪霊ができるというのか。」
(1)信じる人たちも現れた。
①イエスの「良い牧者」のメッセージは、悪霊つきには語れない。
②見えない人の目を開けることは、悪霊にはできない。
結論:今日の信者への適用
1.イエスの自己犠牲の愛に感謝する。
(1)イエスは、私たちのためにいのちを捨てられた。
(2)感謝するとは、信仰によって応答することである。
(3)感謝するとは、イエスのように愛をもって生きることである。
(4)感謝するとは、家庭、職場、教会において、自己犠牲的な愛を実践すること。
2.「雇われ人」ではなく、責任感をもって信仰生活を送る。
(1)自分自身が、「信仰のオーナーシップ」を保持する。
(2)教会での奉仕、家庭での役割、職場での働きに対して、責任放棄をしない。
(3)試練が来たとき、「逃げる」のではなく、キリストの力によって立ち続ける。
3.イエスの権威を認め、神の御心に従う。
(1)イエスは、すべてを支配しておられる。
(2)イエスの死と復活は、神の権威によって成し遂げられた。
(3)イエスは父の御心に従い、命を捨てた。それゆえ、高く上げられた。
(4)私たちも、自分の計画ではなく、神の御心に従う生き方を選ぶべきである。
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