ヨハネの福音書(17)説教への応答ヨハ6:60~7:9

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説教への応答について学ぶ。

ヨハネの福音書(17)

説教への応答

ヨハ6:60~7:9

1.文脈の確認

(1)前書き(1:1~18)

(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)

  ①公生涯への序曲(1:19~51)

  ②初期ガリラヤ伝道(2:1~12)

  ③最初のエルサレム訪問(2:13~3:36)

  ④サマリア伝道(4:1~42)

  ⑤ガリラヤ伝道の再開(4:43~54)

  ⑥2度目のエルサレム訪問(5:1~47)

  ⑦後期ガリラヤ伝道(6:1~7:9)

    *第4のしるし:5,000人の給食(6:1~15)

    *第5のしるし:水上歩行(6:16~21)

    *いのちのパンの説教(6:22~59)

    *説教への応答(6:60~7:9)

2.注目すべき点

(1)「恵みとまことはイエス・キリストによって実現した」(ヨハ1:17)

  ①5,000人の給食は、「恵み」の成就である。

  ②いのちのパンの説教は、「まこと」の啓示である。

(2)イエスは、「比ゆ」を用いてご自身の本質を教えられた。

(3)「いのちのパン」の説教に、多くの人たちがつまずいた。

3.アウトライン :説教への応答

(1)多くの弟子たちの応答(6:60~65)

(2)12弟子の応答(6:66~71)

(3)ユダヤ人たちの応答(7:1~9)

4.結論:イエスの時

説教への応答

Ⅰ.多くの弟子たちの応答(6:60~65)

  1.60節

Joh 6:60

これを聞いて、弟子たちのうちの多くの者が言った。「これはひどい話だ。だれが聞いていられるだろうか。」

(1)ユダヤ人たちは、イエスの教えに反発を覚えた(48~50節)。

Joh 6:48 わたしはいのちのパンです。

Joh 6:49 あなたがたの先祖たちは荒野でマナを食べたが、死にました。

Joh 6:50 しかし、これは天から下って来たパンで、それを食べると死ぬことがありません。

  ①ユダヤ人たちだけでなく、弟子たちのうちの多くの者が反発した。

  ②この段階では、12弟子以外に多くの弟子たちがいた。

(2)弟子の中には、信者と不信者が混在していた。

  ①不信者のグループは、ラビ・イエスに従うことを放棄した。

  ②本物の信者と偽の信者のふるい分けが起こった。

2.61~62

Joh 6:61

しかしイエスは、弟子たちがこの話について、小声で文句を言っているのを知って、彼らに言われた。「わたしの話があなたがたをつまずかせるのか。

Joh 6:62

それなら、人の子がかつていたところに上るのを見たら、どうなるのか。

(1)イエスは、小声で文句を言っている弟子たちに語られた。

  ①「天から下ったパン」の話につまずく者は、それ以上の啓示を理解できない。

  ②それ以上の啓示とは、人の子がかつていたところに上るということである。

    *十字架の死、復活、昇天の預言である。

    *メシアが十字架の死と遂げることは、ユダヤ人にとって忌むべきこと。

3.63節

Joh 6:63いのちを与えるのは御霊です。肉は何の益ももたらしません。わたしがあなたがたに話してきたことばは、霊であり、またいのちです。

(1)イエスが語ってきたことは、肉的なことがらではなく、霊的真理である。

  ①イエスは、霊的真理を最も重視された。

  ②肉的ことがらにしか関心のない者たちには、霊的真理は理解できない。

  ③イエスのことばは、聖霊が与える霊的真理であり、いのちである。

  ④イエスのことばを信じる者は、永遠のいのちを得る。

4.64節

Joh 6:64

けれども、あなたがたの中に信じない者たちがいます。」信じない者たちがだれか、ご自分を裏切る者がだれか、イエスは初めから知っておられたのである。

(1)イエスは、誰が信じない者で、誰が裏切り者であるかを、知っておられた。

  ①「初めから」とは、公生涯の初めからという意味であろう。

  ②それゆえ、裏切りに遭っても驚くことはない。

5.65節

Joh 6:65

そしてイエスは言われた。「ですから、わたしはあなたがたに、『父が与えてくださらないかぎり、だれもわたしのもとに来ることはできない』と言ったのです。」

(1)信じない者がいても、イエスの奉仕が失敗したわけではない。

  ①信じるかどうかの背後には、父なる神の招きがある。

  ②とは言え、人には信じるという責務がある。

  ③それは、永遠の運命を決する責務である。

  ④人は、信じることによって自分が神から選ばれていたことを確認する。

Ⅱ.12弟子の応答(6:66~71)

1.66節

Joh 6:66

こういうわけで、弟子たちのうちの多くの者が離れ去り、もはやイエスとともに歩もうとはしなくなった。

(1)「いのちのパン」の話は、本物の信者と偽の信者を区別した。

  ①イエスは、弟子の人数が減っても真理を語ることを躊躇しなかった。

    *主のしもべたる者は、真理を語ることを恐れてはならない。

  ②真理は、人を二分する。これは避けることのできない現実である。

2.67節

Joh 6:67

それで、イエスは十二人に、「あなたがたも離れて行きたいのですか」と言われた。

(1)12弟子に対する質問は、大半の弟子たちが去ったことを示唆している。

  ①この質問は、「NO」という回答を予期したものである。

  ②イエスは、12弟子の信仰を知っておられた。

  ③しかし、彼らが自らの信仰を確認する必要があることも知っておられた。

3.68~69節

Joh 6:68

すると、シモン・ペテロが答えた。「主よ、私たちはだれのところに行けるでしょうか。あなたは、永遠のいのちのことばを持っておられます。

Joh 6:69 私たちは、あなたが神の聖者であると信じ、また知っています。」

(1)ペテロが12弟子を代表して答えた。

  ①イエスだけが唯一の希望である。

  ②イエスだけが、永遠のいのちに至る教理を教えてくれる。

  ③イエスから離れることは、絶望を意味する。

(2)ペテロは、イエスが「神の聖者」であることを信じ、また知っている。

  ①信じ、知っているという順番が大切である。

  ②イエスは神から遣わされたメシアである。

  ③ピリポ・カイザリアでのペテロの信仰告白とは異なる(マタ16:16)。

    *ここでは、イエスの神性を認めるところまでは至っていない。

4.70節

Joh 6:70

イエスは彼らに答えられた。「わたしがあなたがた十二人を選んだのではありませんか。しかし、あなたがたのうちの一人は悪魔です。」

(1)12弟子を選んだのはイエスである。

  ①12弟子がイエスを選んだわけではない。

(2)イエスは、12弟子の中に父が選ばなかった者が一人いることを知っていた。

  ①「悪魔です」とは、「悪魔のように振舞う」ということである。

5.71節

Joh 6:71

イエスはイスカリオテのシモンの子ユダのことを言われたのであった。このユダは十二人の一人であったが、イエスを裏切ろうとしていた。

(1)この部分は、ヨハネによる解説である。

  ①悪魔のように振舞う者とは、イスカリオテのユダである。

  ②彼は、イエスを裏切ろうとしていた。

Ⅲ.ユダヤ人たちの応答(7:1~9)

1.1節

Joh 7:1

その後、イエスはガリラヤを巡り続けられた。ユダヤ人たちがイエスを殺そうとしていたので、ユダヤを巡ろうとはされなかったからである。

(1)この箇所は、ユダヤ人たち(イエスの兄弟たちも含む)の応答を記している。

  ①ユダヤ地方では、イエスに対する迫害が激しくなっていた

  ②イエスはユダヤに行かないで、ガリラヤで奉仕を続けた。

2.2節

Joh 7:2 時に、仮庵の祭りというユダヤ人の祭りが近づいていた。

(1)仮庵の祭りは、秋の巡礼祭である。

  ①過越の祭りから約半年後にやって来る。

  ②これは、荒野の放浪を記念する農業祭である。

  ③また、千年王国を予表する祭りでもある。

  ④この箇所は、「いのちのパン」の説教が語られて半年後のことである。

3.3~5節

Joh 7:3

そこで、イエスの兄弟たちがイエスに言った。「ここを去ってユダヤに行きなさい。そうすれば、弟子たちもあなたがしている働きを見ることができます。

Joh 7:4

自分で公の場に出ることを願いながら、隠れて事を行う人はいません。このようなことを行うのなら、自分を世に示しなさい。」

Joh 7:5 兄弟たちもイエスを信じていなかったのである。

(1)イエスの兄弟たちは、まだイエスを信じていなかった。

  ①彼らは、エルサレムに上るようにイエスに提案した。

  ②エルサレムでしるしを行えば、弟子の数は増えるだろう。

    *今いる弟子たちも安心するだろう。

  ③彼らは、弟子を増やすことが重要だと考えている。

  ④しかし、イエスの目標は、十字架にかかって死ぬことである。

  ⑤兄弟たちのことばには、皮肉が含まれていると思われる。

4.6~7節

Joh 7:6

そこで、イエスは彼らに言われた。「わたしの時はまだ来ていません。しかし、あなたがたの時はいつでも用意ができています。

Joh 7:7

世はあなたがたを憎むことができないが、わたしのことは憎んでいます。わたしが世について、その行いが悪いことを証ししているからです。

(1)イエスの使命は、父なる神のタイムテーブルに従って歩むことである。

  ①この世はイエスを憎んでいる。

  ②イエスの教えが、彼らの罪を暴くからである。

  ③イエスがエルサレムに上る時は、まだ来ていない。

(2)イエスの兄弟たちは、この世からは憎まれていない。

  ①彼らには父なる神から与えられた使命はない。

  ②それゆえ、好きな時にエルサレムに上ることができる。

5.8~9節

Joh 7:8

あなたがたは祭りに上って行きなさい。わたしはこの祭りに上って行きません。わたしの時はまだ満ちていないのです。」

Joh 7:9 こう言って、イエスはガリラヤにとどまられた。

(1)イエスは、兄弟たちの提案を断った。

  ①イエスは、父なる神のタイムテーブルに従ったのである。

    *「まだ満ちていないのです」

  ②イエスは、ガリラヤでの奉仕を継続された。

  ③その後、イエスはエルサレムに上られた(10節)。

結論:イエスの時

1.父なる神のタイムテーブル

(1)2:4

Joh 2:4

すると、イエスは母に言われた。「女の方、あなたはわたしと何の関係がありますか。わたしの時はまだ来ていません。」

(2)7:6

Joh 7:6

そこで、イエスは彼らに言われた。「わたしの時はまだ来ていません。しかし、あなたがたの時はいつでも用意ができています。

(3)7:8

Joh 7:8

あなたがたは祭りに上って行きなさい。わたしはこの祭りに上って行きません。わたしの時はまだ満ちていないのです。」

(4)7:30

Joh 7:30

そこで人々はイエスを捕らえようとしたが、だれもイエスに手をかける者はいなかった。イエスの時がまだ来ていなかったからである。

(5)8:20

Joh 8:20

イエスは、宮で教えていたとき、献金箱の近くでこのことを話された。しかし、だれもイエスを捕らえなかった。イエスの時がまだ来ていなかったからである。

(6)17:1

Joh 17:1

これらのことを話してから、イエスは目を天に向けて言われた。「父よ、時が来ました。子があなたの栄光を現すために、子の栄光を現してください。

2.適用

(1)2025年という年

(2)自分が置かれている状況

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