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ヨハネの福音書(14)第4と第5のしるしヨハ6:1~21
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第4と第5のしるしについて学ぶ。
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ヨハネの福音書(14)
第4と第5のしるし
ヨハ6:1~21
1.文脈の確認
(1)前書き(1:1~18)
(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)
①公生涯への序曲(1:19~51)
②初期ガリラヤ伝道(2:1~12)
③最初のエルサレム訪問(2:13~3:36)
④サマリア伝道(4:1~42)
⑤ガリラヤ伝道の再開(4:43~54)
⑥2度目のエルサレム訪問(5:1~47)
⑦後期ガリラヤ伝道(6:1~7:9)
*第4のしるし:5,000人の給食(6:1~15)
*第5のしるし:水上歩行(6:16~21)
*いのちのパンの説教(6:22~59)
*説教への応答(6:60~7:9)
2.注目すべき点
(1)5:47と6:1の間で起こった多くの出来事が、省略されている。
(2)共観福音書と異なり、後期ガリラヤ伝道に関する記事はわずかである。
(3)ヨハネは、イエスの人気が最高潮に達した状況を描いている。
3.アウトライン
(1)第4のしるし:5,000人の給食(6:1~15)
(2)第5のしるし:水上歩行(6:16~21)
4.結論:私たちへの教訓
(1)第4のしるし:問題解決の方法
(2)第5のしるし:信仰のテスト
第4と第5のしるしについて学ぶ。
Ⅰ.第4のしるし:5,000人の給食(6:1~15)
1.1~2節
Joh 6:1
その後、イエスはガリラヤの湖、すなわち、ティベリアの湖の向こう岸に行かれた。
Joh 6:2
大勢の群衆がイエスについて行った。イエスが病人たちになさっていたしるしを見たからであった。
(1)ある時間が経過してから、イエスは湖の向こう岸に行かれた。
①ガリラヤの湖、ティベリアの湖
*ティベリアは湖の西側にある最大の町である。
*ヘロデ・アンティパスが建設した(紀元20年)。
*ローマ皇帝ティベリウスにちなんでティベリアと命名した。
②湖の向こう岸とは、湖の東側(北東)である。
*ユダヤ人の住民は少なく、異邦人が多かった。
(2)大勢の群衆がイエスについて行った。
①イエスが病人たちに行っていたしるしを見たからである。
②ガリラヤ人たちは、イエスを政治的メシアと理解していた。
2.3~4節
Joh 6:3 イエスは山に登り、弟子たちとともにそこに座られた。
Joh 6:4 ユダヤ人の祭りである過越が近づいていた。
(1)イエスは、弟子たちとともに静かな時を過ごすために山に登った。
①弟子たちは、ガリラヤの町々での伝道から帰ったばかりである。
*マコ6:30~32、ルカ9:10
②イエスは、ヘロデ・アンティパスがヨハネを斬首したと聞かされた。
*マタ14:12~13
③群衆は、イエス見つけ、その周りに集まって来た。
④イエスは多くの病人を癒し、彼らを教えた。
*マタ14:14、マコ6:33~34、ルカ9:11
⑤「山に登り」と書いているのは、ヨハネだけである(目撃者情報)。
*群衆は、モーセのような新しい解放者の登場を期待した。
(2)ユダヤ人の祭りである過越が近づいていた。
①イエスが十字架にかかる1年前のことである。
②ヨハネは、「いのちのパン」の説教の準備をしている。
3.5~6節
Joh 6:5
イエスは目を上げて、大勢の群衆がご自分の方に来るのを見て、ピリポに言われた。「どこからパンを買って来て、この人たちに食べさせようか。」
Joh 6:6
イエスがこう言われたのは、ピリポを試すためであり、ご自分が何をしようとしているのかを、知っておられた。
(1)イエスは、食事の問題を解決するために、イニシアティブを取られた。
①ピリポに質問されたのは、彼が近隣の町ベツサイダ出身だからである。
②この質問は、弟子訓練のためのものであった。
③イエスは、自分がしようとすることを知っておられた。
4.7節
Joh 6:7
ピリポはイエスに答えた。「一人ひとりが少しずつ取るにしても、二百デナリのパンでは足りません。」
(1)ピリポは、頭の中で計算した。
①200デナリとは、労働者の200日分の給料である。
②どれくらいのパンが買えたかは分からないが、かなりの量である。
③各人が少しずつ取るにしても、200デナリのパンでは足りない。
(2)ピリポは、肉的レベルでしか考えていない。
①ニコデモ(新しい生まれ変わり)
②サマリアの女(生ける水)
5.8~9節
Joh 6:8 弟子の一人、シモン・ペテロの兄弟アンデレがイエスに言った。
Joh 6:9
「ここに、大麦のパン五つと、魚二匹を持っている少年がいます。でも、こんなに大勢の人々では、それが何になるでしょう。」
(1)シモン・ペテロの兄弟アンデレは、少年を見つけた。
①少年は、大麦のパン5つと、魚2匹を持っていた。
②大麦は、貧しい人たちが食べていたものである。
③アンデレは、提案したこと自体を恥じた。
④「それが何になるでしょうか」
⑤彼もまた、肉的レベルにとどまっている。
6.10節
Joh 6:10
イエスは言われた。「人々を座らせなさい。」その場所には草がたくさんあったので、男たちは座った。その数はおよそ五千人であった。
(1)人間の策が尽きたところからイエスの働きが始まる。
①イエスは、人々を草の上に座らせた。
②混乱を避けるために。
③すべての福音書が、男の数はおよそ5千人としている。
④この数え方は、家父長制社会における習慣(5千家族)である。
7.11節
Joh 6:11そうして、イエスはパンを取り、感謝の祈りをささげてから、座っている人たちに分け与えられた。魚も同じようにして、彼らが望むだけ与えられた。
(1)イエスの奇跡
①パンを取り、神に感謝の祈りを献げた(神の御名をたたえた)。
*敬虔なユダヤ人の習慣
②座っている人たちに分け与えられた。
*弟子たちも奉仕をしたが、ヨハネはそれを省いている。
*イエスがパンを分け与えている間に、パンは増えた。
③魚も同じようにして、彼らに与えた。
*彼らが望むだけ与えた。
(2)自由主義神学の一般的解釈
①少年が自分の弁当を差し出した。
②それを見て、大人たちは恥ずかしくなり、同じようにした。
③その結果、全員が食べることができた。
④この解釈を正当化することばは、どこにもない。
7.12~13節
Joh 6:12
彼らが十分食べたとき、イエスは弟子たちに言われた。「一つも無駄にならないように、余ったパン切れを集めなさい。」
Joh 6:13
そこで彼らが集めると、大麦のパン五つを食べて余ったパン切れで、十二のかごがいっぱいになった。
(1)人々は、食べて満腹した。
①「一つも無駄にならないように、余ったパン切れを集めなさい」
②神から与えられたものを無駄にしてはならない。
③余ったパン切れは、12のかごいっぱいになった。
8.14~15節
Joh 6:14
人々はイエスがなさったしるしを見て、「まことにこの方こそ、世に来られるはずの預言者だ」と言った。
Joh 6:15イエスは、人々がやって来て、自分を王にするために連れて行こうとしているのを知り、再びただ一人で山に退かれた。
(1)人々は、イエスが行ったことは「しるし」だと理解した。
①イエスは、モーセが預言した預言者である(申18:15~19)。
②人々は、イエスを無理やりガリラヤの王にしようとした。
*政治的解放者としてのメシア像
(2)それを知ったイエスは、再びただ一人で山に退いた。
①神の国が成就する時は、まだきていなかった。
Ⅱ.第5のしるし:水上歩行(6:16~21)
1.16~18節
Joh 6:16 夕方になって、弟子たちは湖畔に下りて行った。
Joh 6:17
そして、舟に乗り込み、カペナウムの方へと湖を渡って行った。すでにあたりは暗く、イエスはまだ彼らのところに来ておられなかった。
Joh 6:18 強風が吹いて湖は荒れ始めた。
(1)第5のしるしの舞台設定
①イエスは一人で山に退き、祈っていた。
②群衆は解散した。
③弟子たちは湖畔に下りて行き、向こう岸に向かう準備を始めた。
(2)弟子たちは舟に乗り込んだ。
①カペナウムに向かうためである。
②あたりは暗く、イエスは彼らのところには来ていなかった。
*ヨハネの福音書では、「暗い」に象徴的意味がある。
③強風が吹いて湖は荒れ始めた。
*西から東に吹くガリラヤ湖の突風は有名である。
2.19~20節
Joh 6:19
そして、二十五ないし三十スタディオンほど漕ぎ出したころ、弟子たちは、イエスが湖の上を歩いて舟に近づいて来られるのを見て恐れた。
Joh 6:20
しかし、イエスは彼らに言われた。 「わたしだ。恐れることはない。」
(1)弟子たちは、イエスが戻って来ないので、先に舟を漕ぎ出した。
①4~5kmほど漕ぎ出したころ、彼らはイエスを見た。
②正しいタイミングで、イエスに向かって目を上げた。
③イエスは湖の上を歩いて、舟に近づいて来られた。
(2)弟子たちは恐れた。
①イエスがどういうお方であるかを十分に理解していなかったからである。
②ヨハネは、抑えた筆致でこの偉大な出来事を記している。
(3)イエスの励ましのことば
①「わたしだ。恐れることはない」
②ガリラヤ湖を創造したお方は、ガリラヤ湖の嵐を静めることができる。
3.21節
Joh 6:21
それで彼らは、イエスを喜んで舟に迎えた。すると、舟はすぐに目的地に着いた。
(1)ここでも奇跡が起こっている。
①イエスを認識した弟子たちは、イエスを喜んで舟に迎えた。
②すると、舟はすぐに目的地に着いた。
*舟を漕ぐ必要はなかったのである。
結論:私たちへの教訓
1.第4のしるし:問題解決の方法
(1)自分が持っているものを点検する。
(2)持っているものをすべて献げる。
(3)後はイエスに委ねる。
①イエスは良き羊飼いである。
②詩23:2
Psa 23:2 主は私を緑の牧場に伏させ/いこいのみぎわに伴われます。
2.第5のしるし:信仰のテスト
(1)霊的高嶺から谷底に下る体験
(2)信仰のテストは、弟子訓練でもある。
①イエスはやがて弟子たちから去って行く。
②しかしイエスは、弟子たちのために執りなしをされる。
(3)信者の戦い
①霊的高嶺から谷底へくだる体験
②暗い時代にあって嵐の中を通過する体験
③大祭司であるイエスは、天上で祈っておられる。
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