コリント人への手紙第二(4)奉仕の本質の解説―新しい契約に仕える祝福―3:1~11

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新しい契約に仕える祝福について学ぶ。

コリント人への手紙第二 4回

奉仕の本質の解説―新しい契約に仕える祝福―

3 :1~11

はじめに

1.文脈の確認

(1)イントロダクション(1:1~11)

(2)パウロを疑う者たちへの回答(1:12~7:16)

  ①計画変更についての弁明(1:12~2:17)

  ②奉仕の本質の解説(3:1~6:10)

    *新しい契約に仕える祝福(3:1~11)

    *大胆な奉仕(3:12~4:6)

    *宝を入れた土の器(4:7~5:10)

    *和解の奉仕(5:11~6:10)

  ③信頼回復の訴え(6:11~7:16)

2.注目すべき点

(1)パウロは、クリスチャンの奉仕とはいかなるものかについて語る。

(2)パウロは、クリスチャンの奉仕とモーセの奉仕を対比させる。

  ①恵みの時代における奉仕は、律法の時代における奉仕よりもすぐれている。

(3)パウロは、クリスチャンの奉仕が栄光に富んだものであることを教える。

  ①偽教師たちは、ユダヤ主義者たちであった。

3.アウトライン:新しい契約に仕える祝福(3:1~11)

(1)パウロの使徒職を認める推薦状(1~5節)

(2)古い契約と新しい契約の対比(6~11節)

4.結論

(1)パウロが書いた推薦状

(2)神の推薦状

新しい契約に仕える祝福について学ぶ。

Ⅰ.パウロの使徒職を認める推薦状(1~5節)

1.1節

2Co 3:1

私たちは、またもや自分を推薦しようとしているのでしょうか。それとも、ある人々のように、あなたがたに宛てた推薦状とか、あなたがたからの推薦状とかが、私たちに必要なのでしょうか。

(1)2コリ2:17で、パウロは、自分たちの奉仕の4つの特徴を挙げた。

  ①これは、前回のメッセージの結論であった。

  ②この発言は真実な心から出たものであったが、誤解する人が出るかもしれない。

  ③特に、パウロの敵対者たちが、これを「自己推薦」と取る可能性は大であった。

  ④そこでパウロは、自分には「自己推薦」の必要性はないと語る。

(2)「ある人々」は、推薦状を必要としていた。

  ①彼らは、コリント教会に忍び込んで来た偽教師たちである。

  ②彼らは、推薦状を持ってきた(偽造された推薦状の可能性もある)。

  ③コリント教会を去るときには、別の教会への推薦状を要求したはずである。

  ④ローマ世界では、旅人のために推薦状を書く習慣があった。

    *人々は、推薦状を持っている人を安心して自宅に受け入れた。

    *高官が家来のために推薦状を書くこともあった。

    *初期の教会でも、同じような習慣があった。

  ⑤パウロは、決してそのような習慣を否定しているわけではない。

  ⑥彼は、偽教師たちには推薦状しか資格証明がないという点を強調している。

2.2節

2Co 3:2

私たちの推薦状はあなたがたです。それは私たちの心に書き記されていて、すべての人に知られ、また読まれています。

(1)偽教師たちの主張

  ①彼らは、パウロの使徒職に疑問を呈した。

  ②次に来るときは、エルサレム教会からの推薦状を持ってこいと言ったか。

(2)パウロの反論

  ①紙にペンとインクで書かれた推薦状は、不要である。

  ②なぜなら、コリントの信者が推薦状だからである。

    *パウロの伝道により、偶像礼拝者であった者たちが救われた。

    *信者になった者たちは、この世から分離し、神とともに歩んでいる。

  ③コリントの信者の救い(この手紙)は、パウロの心に書き記されている。

  ④彼らの信者としての歩みは、すべての人に知られている(読まれている)。

3.3節

2Co 3:3

あなたがたが、私たちの奉仕の結果としてのキリストの手紙であることは、明らかです。それは、墨によってではなく生ける神の御霊によって、石の板にではなく人の心の板に書き記されたものです。

(1)コリントの信者たちは、「キリストの手紙」である。

  ①キリストが彼らを救った。

  ②その際用いられたのが、パウロである。

  ③コリントの信者たちは、「パウロの推薦状」であり、「キリストの手紙」である。

(2)人間の手紙とキリストの手紙の対比

  ①墨によるか、生ける神の御霊によるか、の違いがある。

    *一時的なものと永続するものの対比

  ②石の板にか、人の心の板にか、の違いがある。

    *モーセの律法とキリストの律法の対比が暗示されている。

4.4~5節

2Co 3:4 私たちはキリストによって、神の御前でこのような確信を抱いています。

2Co 3:5

何かを、自分が成したことだと考える資格は、私たち自身にはありません。私たちの資格は神から与えられるものです。

(1)パウロの使徒としての確信

  ①奉仕の力は、自分のうちにあるのではなく、上から与えられるものである。

  ②キリストのうちにあることによって、力が与えられる。

  ③キリストがパウロを用いて働かれたということである。

  ④パウロの伝道の実は、パウロに使徒としての資格があることを証明している。

Ⅱ.古い契約と新しい契約の対比(6~11節)

1.6節

2Co 3:6

神は私たちに、新しい契約に仕える者となる資格を下さいました。文字に仕える者ではなく、御霊に仕える者となる資格です。文字は殺し、御霊は生かすからです。

(1)ここから、旧約と新約の対比が始まる。

  ①旧約は、双務契約である。

    *律法への従順が祝福の条件になっている。

    *人間には守ることのできない契約である。

  ②新約は、片務契約である。

    *人間は、恵みと信仰によって救われる。

    *この契約は、旧約が為し得なかったことを可能にする。

  ③偽教師たち(パウロの敵対者たち)は、福音に混ぜ物を入れていた。

    *モーセの律法のあるものを守らなければ救われない。

  ④神はパウロに、新しい契約に仕える者となる資格を与えた。

    *文字(律法)に仕える者ではなく、御霊(福音)に仕える者となる資格。

    *文字(律法)は殺し、御霊(福音)は生かす。

2.7~8節

2Co 3:7

石の上に刻まれた文字による、死に仕える務めさえ栄光を帯びたものであり、イスラエルの子らはモーセの顔にあった消え去る栄光のために、モーセの顔を見つめることができないほどでした。そうであれば、

2Co 3:8 御霊に仕える務めは、もっと栄光を帯びたものとならないでしょうか。

(1)旧約と新約の対比が続く。

  ①ここでは「栄光」というキーワードを軸として解説が進められる。

(2)旧約のための奉仕

  ①「石の上に刻まれた文字」とは、十戒のことである。

  ②十戒を守らないなら、死を宣告される。

  ③それは死に仕える務めであるが、その務めさえ栄光を帯びたものである。

  ④モーセの顔は、栄光に輝いた。

  ⑤消え去る栄光であったが、民はモーセの顔を見つめることができなかった。

(3)新約のための奉仕

  ①これは、御霊(福音)に仕える務めである。

  ②この務めは、より栄光を帯びたものとなる。

3.9節

2Co 3:9

罪に定める務めに栄光があるのなら、義とする務めは、なおいっそう栄光に満ちあふれます。

(1)「罪に定める務め」とは、旧約に仕える奉仕である。

  ①それは、人間に有罪宣言を発する奉仕である。

  ②律法には、罪人をメシアに導くという役割があった。

  ③それゆえ、旧約に仕えることにも栄光があったのである。

(2)「義とする務め」とは、新約に仕える奉仕である。

  ①有罪を宣言する奉仕よりも、義を宣言する奉仕のほうが、栄光に満ちあふれる。

4.10節

2Co 3:10

実にこの点において、かつては栄光を受けたものが、それよりさらにすぐれた栄光のゆえに、栄光のないものになっているのです。

(1)旧約に仕える奉仕にも、栄光はあった。

  ①それよりもさらにすぐれた栄光が現われたとき、かつての栄光は消えた。

  ②つまり、新約の栄光が、旧約の栄光を消したのである。

      (例話)太陽が輝くと、月や星の輝きは消える。

5.11節

2Co 3:11

消え去るべきものが栄光の中にあったのなら、永続するものは、なおのこと栄光に包まれているはずです。

(1)「消え去るべきものが栄光とともに(with)あったのなら」

  ①この栄光は、永続するものの中にある栄光である。

(2)「永続するものは、なおのこと栄光のうちに(in)あるはずである」

  ①「with glory 」と「in glory」の対比がある。

結論

1.パウロが書いた推薦状

(1)ロマ16:1~2

Rom 16:1

私たちの姉妹で、ケンクレアにある教会の奉仕者であるフィベを、あなたがたに推薦します。

Rom 16:2

どうか、聖徒にふさわしく、主にあって彼女を歓迎し、あなたがたの助けが必要であれば、どんなことでも助けてあげてください。彼女は、多くの人々の支援者で、私自身の支援者でもあるのです。

(2)1コリ16:10~11

1Co 16:10

テモテがそちらに行ったら、あなたがたのところで心配なく過ごせるようにしてあげてください。彼も私と同じように、主のみわざに励んでいるのです。

1Co 16:11

だれも彼を軽んじてはいけません。彼を平安のうちに送り出して、私のところに来させてください。私は、彼が兄弟たちと一緒に戻るのを待っています。

(3)1コリ16:3

1Co 16:3

私がそちらに着いたら、あなたがたの承認を得た人たちに手紙を持たせてエルサレムに派遣し、あなたがたの贈り物を届けさせましょう。

2.神の手紙

(1)私たちが求めるべき推薦状は、「神の手紙」である。

(2)パウロの推薦状は、コリントの信者たちである。

  ①神が彼らを救われた。

  ②パウロはそのために用いられた主のしもべである。

    *パウロの伝道により、偶像礼拝者であった者たちが救われた。

    *信者になった者たちは、この世から分離し、神とともに歩んでいる。

  ③コリントの信者たちは「神の手紙」であり、「パウロの推薦状」である。

(3)按手礼の祝福

(4)しかし、「神の手紙」は、より大きな祝福である。

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