私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(126)—弟子たちへの教え(5)—
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弟子たちへの教えを通して、イエスから警告と励ましを受ける。
「弟子たちへの教え(5)」
ルカ12:49~53
1.はじめに
(1)文脈の確認
①パリサイ人の家の食卓で、イエスはパリサイ人たちの儀式主義を糾弾した。
②その直後に、イエスの回りにおびただしい数の人たちが集まって来た。
③イエスは、弟子たちに、そして、群衆に霊的真理を語った。
④これまでに学んだこと
*弟子たちへの教え①(恐れずに証しせよ)
*弟子たちへの教え②(貪欲に注意せよ)
*弟子たちへの教え③(心配するな)
*弟子たちへの教え④(その日に備えよ)
⑤今回学ぶこと
*弟子たちへの教え⑤(誤解されることを恐れるな)
*セールスマンの恐れ
*現代のクリスチャンの恐れ
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§108~110は、ひとかたまりと考えるべきである。
①§108 ルカ12:1~59
②§109 ルカ13:1~9
③§110 ルカ13:10~21
(3)内容
①ルカ12:1~53 弟子たちへの教え 5つのテーマ
②ルカ12:54~13:21 群衆への教え 4つのテーマ
2.アウトライン(12:35~53)
①恐れずに証しせよ(12:1~12)
②貪欲に注意せよ(12:13~21)
③心配するな(12:22~34)
④その日に備えよ(12:35~48)
⑤誤解されることを恐れるな(12:49~53)
(今回は⑤を取り上げる)
3.結論:総復習
弟子たちへの教えを通して、イエスから警告と励ましを受ける。
Ⅴ.誤解されることを恐れるな(49~53節)
1.49節
Luk 12:49 わたしが来たのは、地に火を投げ込むためです。だから、その火が燃えていたらと、どんなに願っていることでしょう。
(1)イエスは最初、地に平和をもたらすために活動された。
「暗黒と死の陰にすわる者たちを照らし、われらの足を平和の道に導く」(ルカ1:79)
「いと高き所に、栄光が、神にあるように。地の上に、平和が、御心にかなう人々に
あるように」(ルカ2:14)
「平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子どもと呼ばれるから」(マタ5:9)
「神はイエス・キリストによって、平和を宣べ伝え、イスラエルの子孫にみことばを
お送りになりました。このイエス・キリストはすべての人の主です」(使10:36)
(2)しかし、イエスの公生涯の結果は、地に火を投げ込むようなものとなる。
①分裂が起こる。
②争いが起こる。
③迫害が起こる。
④流血事件が起こる。
(3)イエスは、真の平和が来る前に、裁きが来なければならないことを知っていた。
①「火」とは、神の裁きのことであるが、特に終末的な裁きを指す。
②「火」は、罪を清める働きをする。
③それゆえ、その「火」がすでに燃えていたらと、イエスは願っている。
④火による清めの後に、真の平和が来るからである。
(4)イエスが十字架にかかるまでは、その火が炎のように燃え上がることはない。
2.50節
Luk 12:50 しかし、わたしには受けるバプテスマがあります。それが成し遂げられるまでは、どんなに苦しむことでしょう。
(1)「火によるバプテスマ」
①イエスが罪人の身代わりとして受ける裁きのことである。
②より具体的には、十字架の死のことである。
(2)この箇所は、ゲツセマネの園での苦悶の前味である。
「いつもの場所に着いたとき、イエスは彼らに、『誘惑に陥らないように祈っていな
さい』と言われた。そしてご自分は、弟子たちから石を投げて届くほどの所に離れて、
ひざまずいて、こう祈られた。『父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけ
てください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください。』す
ると、御使いが天からイエスに現れて、イエスを力づけた。イエスは、苦しみもだえ
て、いよいよ切に祈られた。汗が血のしずくのように地に落ちた。イエスは祈り終わ
って立ち上がり、弟子たちのところに来て見ると、彼らは悲しみの果てに、眠り込ん
でしまっていた。それで、彼らに言われた。『なぜ、眠っているのか。起きて、誘惑に
陥らないように祈っていなさい』」(ルカ22:40~46)
①ここでイエスは、弟子たちの誰もが理解していないことを預言的に語っている。
②イエスは、必ず十字架の上で死ぬ。
*「火のバプテスマ」の代わりに、「この杯」という言葉が使われている。
*ともに、神の裁きを意味する言葉である。
③イエスは、大いに苦しむ。
*ルカは、「汗が血のしずくのように地に落ちた」と表現している。
3.51節
Luk 12:51 あなたがたは、地に平和を与えるためにわたしが来たと思っているのですか。そうではありません。あなたがたに言いますが、むしろ、分裂です。
(1)イエスは自分を取り戻し、弟子たちの期待を粉砕する。
①イエスの現実主義に注目せよ。
②火による精錬過程を通過せずに、平和を期待するのは、非現実的である。
(2)イエスの厳しい言葉は、実は、愛の言葉である。
①イエスの奉仕は、結果的に「分裂」を招く。
②イエスの価値観と世界観は、この世のものとは革命的に異なる。
③弟子たちは、消え去る物に固執するのではなく、イエスと同じ価値観に立つべ
きである。
④イエスは、弟子たちに警告を発し、将来の迫害に対する準備をさせている。
4.52~53節
Luk 12:52 今から、一家五人は、三人がふたりに、ふたりが三人に対抗して分かれるようになります。
Luk 12:53 父は息子に、息子は父に対抗し、母は娘に、娘は母に対抗し、しゅうとめは嫁に、嫁はしゅうとめに対抗して分かれるようになります」
(1)ユダヤ人は、家族の絆を重視する民である。
①イエスのことばは、ユダヤ人たちにとっては驚くべきものである。
②一家が分裂する。
③父と息子、母と娘、しゅうとめと嫁が、対抗して分かれるようになる。
(2)イエスの招きは、応答を要求する。
①その招きに対して、中立な態度はあり得ない。
②イエスは、人々を二分する。
③イエスは、普遍的な人類愛を教えるために来られたというのは、嘘である。
(例話)フルクテンバウム師の体験
*転居
*無視
*勘当と家からの追放
(3)それゆえ、イエスを信じない人たちからの誤解を恐れてはならない。
①自分から分裂を仕かける必要はない。
②柔和に、愛を込めて、福音を伝えるべきである。
③弟子道には、他者からの誤解、中傷、迫害が最初から内包されているのである。
結論:イエスの理想主義と現実主義
1.恐れずに証しせよ(12:1~12)
(1)からだを殺しても、それ以上何もできない人間たちを恐れるな。
(2)殺した後で、ゲヘナに投げ込む権威を持っておられる方を恐れよ。
(3)いざという時には、聖霊の助けが与えられる。
2.貪欲に注意せよ(12:13~21)
(1)物に支配されている者は、「愚か者」である。
(2)本当の豊かさは、所有している富にではなく、存在そのものにある。
(3)地上の富に過剰な関心を抱かず、なくならないもののために労する。
3.心配するな(12:22~34)
(1)神が心配していてくださる。
(2)心配しても、状況を変えることはできない。
(3)不安への対処法は、イエスで心を満たすことである。
4.その日に備えよ(12:35~48)
(1)常に携挙に備える(いつ起こるか分からない)。
(2)主イエスは、しもべに仕える主人である。
(3)主イエスは、しもべに全財産を委ねる主人である。
5.誤解されることを恐れるな(12:49~53)
(1)平和が成就する前に、火による清めが来る。
(2)主イエスの教えは、革命的であるため、人々を二分する。
(3)主イエスの弟子なら、誤解や迫害は、想定済みのことである。
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