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メシアの生涯(89)—耳が聞こえず、口のきけない人の癒し—
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この癒しを通して、神とのコミュニケーションについて学ぶ。
「耳が聞こえず、口のきけない人の癒し」
§079 マコ7:31~37
1.はじめに
(1)文脈の確認
①イエスは、弟子訓練のためにツロとシドンの地方に立ち退かれた。
②そこは異邦人の地。
③カナン人の女が信仰を示し、娘を癒してもらった。
④その続きで、イエスは依然として異邦人の地を移動している。
⑤異邦人の地で奇跡が起こる。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
「耳が聞こえず、口のきけない人の癒し。4千人のパンの奇跡」(§79)
マコ7:31~8:9
①今回は、前半のみを取り上げる。
2.アウトライン
前置き:地理的情報(31節)
(1)人々の願い(32節)
(2)イエスが採用した6つのステップ(33~34節)
(3)その結果(35~37節)
3.結論:
(1)イエスのへりくだり
(2)この癒しが象徴するもの
この癒しを通して、神とのコミュニケーションについて学ぶ。
前置き:地理的情報(7:31)
「それから、イエスはツロの地方を去り、シドンを通って、もう一度、デカポリス地方のあ
たりのガリラヤ湖に来られた」
(1)イエスの旅程(地図参照)
①ツロから北に、
②シドンまで行って東に、
③ヘルモン山の南、ピリポ・カイザリヤ辺りからガリラヤ湖に向かって南下、
④ガリラヤ湖の東側のデカポリス地方に出る。
⑤デカポリス地方の住民は主に異邦人であるが、ユダヤ人も多く住んでいた。
(2)イエスはヘロデ・アンティパスの領地を注意深く避けている。
①ヘロデ・アンティパスは、バプテスマのヨハネを殺害した。
②彼は、イエスが復活したバプテスマのヨハネではないかと恐れている。
③イエスは、国主ピリポの領地を通過している(ガリラヤ湖の東部と北部)。
④国主ピリポは、ヘロデ・アンティパスよりもまだましであった。
⑤少なくとも、彼にはイエスに敵対する理由がなかった。
(3)2つの奇跡は、異邦人の地で行われる。
Ⅰ.人々の願い (32節)
「人々は、耳が聞こえず、口のきけない人を連れて来て、彼の上に手を置いてくださるよう、
願った」
1.「耳が聞こえず、口のきけない人」が登場する。
(1)彼自身が主体的に行動しているわけではない。
①ユダヤ法では、彼のようなハンディを負った人は、律法の義務から除外されて
いた。
②ただし、婦人、奴隷、知的障がい者、未成年者と同類と見なされた。
③「律法を守れるほどの教育を受けていない」との理由からであった。
(2)「口のきけない人」
①「舌の回らない人」(新共同訳)
②ギリシア語で「mogilalos」。明瞭に話せないということ。
③発声器官に問題があるか、耳が聞こえないので発音法を学べなかったか。
2.人々は、「彼の上に手を置いてくださるよう、願った」
(1)人々は、癒しの方法をイエスに指示している。
(2)人々は、魔術師が奇跡を行うのを見るのが好きだった。
①彼らは、イエスの噂を聞いていた。
②魔術師の奇跡を見るよりも、イエスが奇跡を行うのを見たがった。
Ⅱ.イエスが採用した6つのステップ
1.33節a
「そこで、イエスは、その人だけを群衆の中から連れ出し、」
(1)イエスはなぜこの人だけを群衆の中から連れ出したのか。
①一対一の対話を求めた。
②公生涯のこの時期、イエスは「しるし」によってご自身のメシア性を公に証明
するということをしなくなっている。
②ヤイロの娘の癒し(マコ5章)も、私的空間で行われた。
2.33b~34節
「その両耳に指を差し入れ、それからつばきをして、その人の舌にさわられた。そして、
天を見上げ、深く嘆息して、その人に『エパタ』すなわち、『開け』と言われた」
(1)イエスはなぜすぐにこの人を癒さなかったのか。
①公生涯のこの時期、イエスは信仰があることを条件に癒しをするようになった。
②イエスがこの人を癒した方法は、この人の信仰を引き出すためのものであった。
③ユダヤ法では、耳と口が不自由な人であってもジェスチャーで会話が可能とさ
れていた。
④イエスは、この人とジェスチャーで会話しながら癒しを行われた。
3.癒しの6つのステップ
(1)両耳に指を差し入れた。
①これから耳を開けてあげるというメッセージ
(2)つばきをした。
①癒しは必ず起こるというメッセージ
②癒しの受け手にとっては大きな励ましとなった。
「彼らはベツサイダに着いた。すると人々が盲人を連れて来て、彼にさわってく
ださるよう、イエスに願った。イエスは盲人の手を取って村の外に連れて行かれ
た。そしてその両目につばきをつけ、両手を彼に当てて『何か見えるか』と聞か
れた」(マコ8:22~23)
「イエスは、こう言ってから、地面につばきをして、そのつばきで泥を作られた。
そしてその泥を盲人の目に塗って言われた。『行って、シロアム(訳して言えば、
遣わされた者)の池で洗いなさい。』そこで、彼は行って、洗った。すると、見え
るようになって、帰って行った」(ヨハ9:6~7)
(3)その人の舌にさわられた。
①つばきをその人の舌につけた。
②舌のもつれが解けるというメッセージ
(4)天を見上げた。
「するとイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて祝福を求め、パンを
裂き、人々に配るように弟子たちに与えられた。また、二匹の魚もみなに分けられた」
(マコ6:41)
①癒しは天からの恵みによるものだというメッセージ
(5)深く嘆息した。
①罪とその結果に対する怒りであろう。
「神はお造りになったすべてのものを見られた。見よ。それは非常に良かった。
夕があり、朝があった。第六日」(創1:31)
②イエスの嘆息は、すべての人の希望である。
(6)その人に「エパタ」すなわち、「開け」と言われた。
①これはアラム語である。
②魔術師は意味不明なおまじないの言葉を語る。
③その人は、イエスの唇を読んで、意味を理解した。
Ⅲ.結果(35~37節)
1.35節
「すると彼の耳が開き、舌のもつれもすぐに解け、はっきりと話せるようになった」
①この人は瞬間的に癒された。
②イエスの権威が表れた。
2.36節
「イエスは、このことをだれにも言ってはならない、と命じられたが、彼らは口止めされ
ればされるほど、かえって言いふらした」
①恐らく彼らは、ユダヤ人であろう。
②彼らは口止めされたが、かえって言いふらした。
③マタ9章のふたりの盲人の癒しの場合もそうであった。
④いかに良い動機であっても、それは神の御心に反している。
3.37節
「人々は非常に驚いて言った。『この方のなさったことは、みなすばらしい。耳の聞こえ
ない者を聞こえるようにし、口のきけない者を話せるようにされた』」
(1)メシア預言との関連
「そのとき、足のなえた者は鹿のようにとびはね、口のきけない者の舌は喜び歌う。
荒野に水がわき出し、荒地に川が流れるからだ」(イザ35:6)
(2)「口のきけない者」のギリシア語訳(七十人訳聖書)は、「mogilalos」である。
①新約聖書では、マコ7:32だけに出てくる。
②マルコは、イエスがメシアであることを伝えている。
③しかし、人々は本当に意味でイエスがメシアであることを理解していない。
結論:
1.イエスのへりくだり
(1)イエスは、この人と本当にコミュニケーションしようとされた。
(2)イエスは、この人に分かる言語(ボディランゲッジ)を用いられた。
(3)イエスが受肉したのは、私たち罪人とコミュニケーションするためであった。
2.この癒しが象徴するもの
はじめに:比喩的読み方は、避けなければならない。
しかし、本文がそれを示唆している場合は、そのように読むのがよい。
(1)この癒しは、弟子たちの耳の癒しを象徴している。
①マコ8:18
「目がありながら見えないのですか。耳がありながら聞こえないのですか。あな
たがたは、覚えていないのですか」
②マコ8:27~30
「それから、イエスは弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられた。そ
の途中、イエスは弟子たちに尋ねて言われた。『人々はわたしをだれだと言って
いますか』。彼らは答えて言った。『バプテスマのヨハネだと言っています。エリ
ヤだと言う人も、また預言者のひとりだと言う人もいます。』するとイエスは、
彼らに尋ねられた。『では、あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。』ペテ
ロが答えてイエスに言った。『あなたは、キリストです。』」
(2)この癒しは、私たちの耳の癒しを象徴している。
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