ヨハネの福音書(1)-前書き-

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ヨハネの福音書の前書きについて学ぶ。

ヨハネの福音書(1) ヨハ1:1~18

1.はじめに

(1)本書が与えられていることの祝福

①神は、ヨハネを用いて、深遠な霊的真理を啓示された。

②それゆえ、一言一句も見逃してはならない。

③マタイ、マルコ、ルカは共観福音書と呼ばれる。

 *地から天を見上げるという視点で書かれている。

 *キリストの生涯の出来事について記録している。

④ヨハネの福音書は、第4福音書と呼ばれる。

 *天から地を見下ろすという視点で書かれている。

 *キリストの生涯の出来事の霊的意味について解説している。

 *「奇跡」ではなく、「しるし」ということばを使っている。

(2)前書きの内容は、神学的なものである。

①ヨハネは、イエスと永遠の神の関係を強調している。

②イエスは、神の子が人となられたお方である。

③イエスは、罪人に永遠のいのちを与えるために来られた。

2.アウトライン

  (1)受肉前のことば(1~5節)

  (2)バプテスマのヨハネの証言(6~8節)

  (3)まことの光の到来(9~13節)

  (4)ことばの受肉(14~18節)

ヨハネの福音書の前書きについて学ぶ。

Ⅰ.受肉前のことば(1~5節)

  1.1節

Joh 1:1 初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。

(1)「初めにことばがあった」

  ①創世記1章1節の「はじめに」よりも前に遡る。

  ②「初めに」とは、被造物が何も存在しなかったときのことである。

  ③「ことば」は、永遠の昔から存在しておられた。

(2)「ことば」は、ギリシア語で「ロゴス」、アラム語で「メムラ」である。

  ①タルグム(旧約聖書のアラム語訳)では、神を「メムラ」と訳している。

  ②ヨハネは、「メムラ」ということばをギリシア語の「ロゴス」と訳した。

  ③1節後半で、ヨハネは、「ことばは神であった」と宣言する。

  ④「ことば」は神であるだけでなく、神の本質の表現でもある。

  *「ことば」は、神が人類に知らせたいと思っておられることを表現する。

(3)「ことばは神とともにあった。ことばは神であった」

  ①「ことば」は、神とは区別されるお方である。

  ②と同時に、「ことば」は、神である。

  ③聖書の神が三位一体の神であることが啓示されている。

  ④子なる神は、父なる神や聖霊なる神とは区別されるお方である。

(4)イエスとは誰か。

  ①ユダヤ人にとっては、イエスは神だというのは、神への冒涜である。

  ②ギリシア人にとっては、神が人となられたというのはあり得ないこと。

  ③信じる者にとっては、神が人となられたというのは、福音である。

2.2~3節

Joh 1:2 この方は、初めに神とともにおられた。

Joh 1:3 すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもなかった。

(1)「この方は、初めに神とともにおられた」

  ①「ことば」は神になったのでなく、初めから神である。

(2)今存在しているもので、「ことば」が創造しなかったものはひとつもない。

  ①「ことば」は、父なる神の御心に従って創造のわざに参加された。

  ②宇宙は、三位一体の神の作品として、「神の栄光」を表している。

  ③大自然の中に神の栄光を見る人は、幸いである。

3.4~5節

Joh 1:4 この方にはいのちがあった。このいのちは人の光であった。

Joh 1:5 光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。

(1)ヨハネの福音書のメインテーマは、「イエスは神の子」というものである。

  ①サブテーマと呼ばれるものが、いくつかある。

  ②「光と闇の戦い」、「信仰と不信仰」など。

  ③闇に打ち勝つ光とは、人となられた「ことば」のことである。

  ④このお方に、人類の希望がかかっている。

  ⑤創造主であるお方は、私たちが抱えるいかなる問題よりも大きい。

  ⑥イエスに従う者は、闇の中でつまずくことはない。

(2)ヨハネは、光と闇の戦いを、肯定文と否定文で表現している。

  ①光の勝利は、十字架の死によってもたされる。

  ②6節に入ると、ヨハネが神から遣わされた人として紹介される。

  ③しかし、彼は光ではなく、光について証言するために遣わされた人である。

Ⅱ.バプテスマのヨハネの証言(6~8節)

  1.6節

Joh 1:6 神から遣わされた一人の人が現れた。その名はヨハネであった。

(1)バプテスマのヨハネは、闇の世界に光を紹介した人である。

  ①彼は、神から遣わされた人である。

  ②彼は、旧約聖書の系譜に属する預言者である。

  ③彼は人であるが、「ことば」は神である。

  ④彼は、メシアの先駆者である。

  ⑤彼は、奉仕者のモデルである。

(2)使徒ヨハネは、バプテスマのヨハネとは言わないで、単にヨハネという。

   ①自分のことは、「イエスが愛された弟子」(ヨハ21:20)と呼ぶ。

2.7~8節

Joh 1:7 この人は証しのために来た。光について証しするためであり、彼によってすべての人が信じるためであった。

Joh 1:8 彼は光ではなかった。ただ光について証しするために来たのである。

(1)ヨハネが遣わされた目的は、「光について証しするため」であった。

  ①強調点がくり返される。「証しするために来た」

  ②彼が奉仕者のモデルである理由は、この点にある。

  ③奉仕者の使命は、キリストを証しすることである。

(2)その結果、すべての人が信じるためであった。

  ①これは、使徒ヨハネがこの福音書を書いた目的でもある。

Ⅲ.まことの光の到来(9~13節)

  1.9節

Joh 1:9 すべての人を照らすそのまことの光が、世に来ようとしていた。

    (1)この聖句は、「ことば」の受肉を意味している。

      ①「すべての人を照らす」とは、普遍的救いのことではない。

      ②「世」とは、悪魔の支配下にある罪の世である。

      ③イエスは、信じる人に救いをもたらす。

      ④イエスは、罪について、裁きについて、人に教える。

  2.10~11節

Joh 1:10 この方はもとから世におられ、世はこの方によって造られたのに、世はこの方を知らなかった。

Joh 1:11 この方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった。

    (1)人々は、この方を知らなかった。

      ①人々は、悪魔の支配下にあり、霊的に盲目である。

      ②それゆえ、この方が創造主であることを認識できない。

      ③ヨハ12:37

Joh 12:37 イエスがこれほど多くのしるしを彼らの目の前で行われたのに、彼らはイエスを信じなかった。

    (2)契約の民イスラエルでさえも、この方を受け入れなかった。

      ①彼らは、この方が神から送られた啓示であることを拒否した。

      ②彼らは、この方の教えに敵対した。

  3.12~13節

Joh 1:12 しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。

Joh 1:13 この人々は、血によってではなく、肉の望むところでも人の意志によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである。

    (1)しかし、不信仰は普遍的な現象ではなかった。

      ①この方を信じる人々も出た。

      ②彼らは、「その名を信じた」ので、救われた。

        *イエスの本質(救い主であること)を信じた。

      ③救いとは、神の子どもとなる特権を与えられることである。

      ④人は、信仰による新生体験を経て、神の子どもとされる。

    (2)新生体験はどのようにして可能になるのか。

      ①血統によるのではない。

*親の信仰によって子どもが救われるわけではない。

      ②本人の意志の力によるのでもない。

*同意することは必要である。

      ③他者の意志の力によるのでもない。

*説教者が人を救えるわけではない。

      ④聖霊の働きによって、人は新生する。

        *伝道する際には、聖霊が働いてくださるように祈る必要がある。

Ⅳ.ことばの受肉(14~18節)

  1.14節

Joh 1:14 ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。

    (1)神が、目に見える形でご自分を啓示される場合がある。

      ①キリスト教神学では、この現象を「神の顕現(theophany)」と呼ぶ。

      ②ユダヤ教のラビたちは、同じ現象をヘブル語で「シャカイナ」と呼ぶ。

      *神の顕現は、栄光の光を伴っていることが多い。

      *「シャカイナグローリー」ということばが用いられるようになった。

(2)旧約では、シャカイナグローリーは、光、火、雲などとして現れている。

      ①出40章では、至聖所にシャカイナグローリーが宿った。

      ②この時以来、神はイスラエルの民の間に宿られた。

      ③シャカイナグローリーは、その現れである。

      ④ところが、エゼ8~11章で、そのシャカイナグローリーが神殿を去った。

      ⑤イエスの誕生まで、シャカイナグローリーが民の間に宿ることはなかった。

    (3)イエスの誕生とともにシャカイナグローリーが戻って来た。

      ①「住まわれた」は、スケイネイというギリシア語である。

      ②直訳すると、「幕屋を張られた」となる。

      ③イエスの肉体の内にシャカイナグローリーが宿ったのである。

      ④この光は、肉体によってさえぎられ、外に輝き出ることはなかった。

      ⑤人間イエスが、通常のユダヤ人男性と同じ姿であったのはそのためである。

      ⑥例外的に、その栄光が輝き出たことがあった。

*3人(ペテロ、ヤコブ、ヨハネ)が、山の上でそれを目撃した。

*「私たちはこの方の栄光を見た」とは、変貌山の体験への言及である。

  2.15節

Joh 1:15 ヨハネはこの方について証しして、こう叫んだ。「『私の後に来られる方は、私にまさる方です。私より先におられたからです』と私が言ったのは、この方のことです。」

    (1)ヨハネの証言

      ①イエスは、ヨハネの後に来られる方である。

        *ヨハネのほうが約半年早く誕生し、イエスの先駆者となった。

      ②イエスは、ヨハネにまさる方である。

        *イエスは、ヨハネよりも先におられた。

        *イエスの永遠性が確認されている。

  3.16~17節

Joh 1:16 私たちはみな、この方の満ち満ちた豊かさの中から、恵みの上にさらに恵みを受けた。

Joh 1:17 律法はモーセによって与えられ、恵みとまことはイエス・キリストによって実現したからである。

    (1)「律法の時代」は、シナイ契約が土台になっていた時代である。

      ①シナイ契約は、シャカイナグローリーの中で結ばれた(出24:1~11)。

      ②律法は、モーセを仲介者として与えられた。

    (2)「恵みの時代」は、新しい契約(新約)が土台になる時代である。

      ①新しい契約は、イエスが血潮を流すことによって結ばれるものである。

      ②この真理を詳細に教えているのが、ヘブ8~10章である。

      ③イエスをメシアと信じることは、新しい契約にサインをすることである。

      ④イエスを信じた者は、神との契約関係に入ったのである。

      ⑤それゆえに私たちは、大胆に神の栄光の御座に近づくことができる。

  4.18節

Joh 1:18 いまだかつて神を見た者はいない。父のふところにおられるひとり子の神が、神を説き明かされたのである。

    (1)いまだかつて神を見た者はいない。

      ①シャカイナグローリーや【主】の使いを見ても、神を見たことにはならない。

      ②それらは、神が人に語りかけるために選ばれた一時的方法である。

    (2)イエスは、神を解き明かされた。

      ①イエスは、ひとり子の神である。

      ②イエスを見た者は、神を見たのである。

      ③イエスの教えを聞いた者は、神の心を聞いたのである。

      ④イエスを知ることは、神の愛と計画を知ることである。

      ⑤ヨハ14:9

Joh 14:9 イエスは彼に言われた。「ピリポ、こんなに長い間、あなたがたと一緒にいるのに、わたしを知らないのですか。わたしを見た人は、父を見たのです。どうしてあなたは、『私たちに父を見せてください』と言うのですか。

結論

  1.情報の洪水

    (1)入院と退院後の後遺症の苦しみ

    (2)しばらくの間、情報収集から遠ざかっていた。

    (3)現代人の3つの恐れ

      ①時代遅れになる恐れ

      ②「ノイズ」なのか「本質的なこと」なのか見分けがつかない恐れ

      ③「偽情報」なのか「真実」なのか見分けがつかない恐れ

  2.解決策

    (1)イエスを見た人は、神を見たのである。

    (2)イエスを信じた人は、真理を知ったのである。

    (3)イエスを信じた人は、光の中を歩んでいるのである。

    (4)「情報」は、三歩遅れでフォローすればよい。

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