私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
パートⅡ.旧約時代11章 士師記の時代から王制へ
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士師記の時代から王制への移行について学ぶ。
パートⅡ.旧約時代
11
章 士師記の時代から王制へ
イントロダクション
1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマに沿って聖書を読み解いている。
(1)この葛藤は、創世記3章以来続いているものである。
(2)この葛藤は、黙示録20~21章で終わる。
2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)
(1)神は、人類を臣民とする神の国を造ろうとされた。
(2)サタンは、悪魔の国を作り、自らが王になろうとした。
(3)神は、創世記3章15節で対抗策を啓示された(原福音)。
3.パートⅡ.旧約時代(4~17章)
4章 カインとアベル
5章 大洪水
6章 バベルの塔
7章 アブラハム契約
8章 出エジプト
9章 律法と幕屋
10章 カナン定住と士師記の時代
11章 士師記の時代から王制へ
(1)サタンはなぜ王制を好んだのか。
(2)神はどのような対抗策を採られたのか。
4.アウトライン
(1)民の霊的状態
(2)サムエルの登場
(3)王を求める声
(4)サウルの登場
士師記の時代から王制への移行について学ぶ。
Ⅰ.民の霊的状態
1.士師記の時代は、背教と混乱の時代であった。
(1)この状況に終止符を打つために、神はサムエルという器を用意された。
(2)士師記の時代は、預言者の時代に向かう移行期であった。
①モーセ・ヨシュアの時代は終わった。
②まだ預言者の時代が到来していなかった。
③1サム3:1b
1Sa 3:1b そのころ、【主】のことばはまれにしかなく、幻も示されなかった。
2.イスラエルの民の信仰は、風前の灯のように消えかかっていた。
(1)大祭司エリの目は、かすんできて、見えなくなっていた(1サム3:2b)。
①肉体の目とともに、霊的な目もかすんでいたことを表わしている。
②彼は、息子たちの暴走をくい止めることができなくなっていた。
(2)指導者がいない民は、滅びるしかない。
①この状況の中に神が介入された。
②サムエルは、イスラエルに霊的覚醒をもたらす神の器である。
Ⅱ.サムエルの登場
1.サムエルは、祭司と預言者という二重の召命を受けた。
(1)不妊の女であったハンナは、【主】に祈って息子を得た。
①彼女は、その息子をサムエルと名づけた(【主】は聞かれる)。
②彼女は、サムエルを【主】の働きのために献げた。
(2)少年サムエルは、【主】からの語りかけを受けた(1サム3:1~14)。
①彼は、大祭司エリの家の没落をそのまま預言した。
②これが、サムエルの奉仕の始まりであった。
③預言者は、神のことばをそのまま民に伝える。
2.大祭司エリが死に、サムエルが霊的指導者となった。
(1)ペリシテ人との戦いで、神の箱が奪われた。
①その知らせ受け、エリは首を折って死んだ(享年98歳)。
②神の箱が奪われたことで、イスラエルは国家存亡の危機に直面した。
③その後、契約の箱はペリシテの地からイスラエルの地に返還された。
④回り回って、キルヤテ・エアリムに20年間とどまることになる。
(2)成人したサムエルは、ミツパの集会において、イスラエルをさばいた。
①イスラエルの全家に向かって、偶像礼拝を悔い改めるように激しく迫った。
②民は直ちに、バアルやアシュタロテを除き去った。
③その結果、建国以来最大のリバイバル(宗教改革運動)が起こった。
(3)このリバイバルは、イスラエルに4つの祝福をもたらした。
①40年にわたるペリシテ人の支配が終わった。
②失っていた領土を取り返した。エクロンからガテに至る地域。
③ペリシテ人との戦いが止んだ。再開されるのは、サウルの時代に入ってから。
④アモリ人の間に平和が訪れた(東の国境地帯も平和になった)。
3.サムエルは、生涯現役を貫いた。
(1)1サム7:15
1Sa 7:15 サムエルは、一生の間、イスラエルをさばいた。
1Sa 7:16 彼は年ごとに、ベテル、ギルガル、ミツパを巡回し、これらすべての聖所でイスラエルをさばき、
1Sa 7:17 ラマに帰った。そこに自分の家があり、そこでイスラエルをさばいていたからである。彼はそこに【主】のために祭壇を築いた。
①ベテル、ギルガル、ミツパを巡回し士師としての務めを果たした。
②人々が難問題の解決を求めてやって来たとき、それに回答を与えた。
③これら3つの町に、「預言者のための学校(塾)」を設立した。
④巡回奉仕が終わると、ラマの家に帰り、そこでも士師としての任務を果した。
(2)70歳になった頃、2人の息子を士師に任命し、ベエル・シェバに派遣した。
①南部地方は息子たちに任せ、自分は北部地方だけをさばくことにした。
②しかし、それは失敗に終わった。
③息子たちは、父サムエルとは異なり、賄賂を取って裁きを曲げたのである。
④サムエルもまた大祭司エリと同じように、息子の養育に失敗した。
⑤ここに、サタンの妨害を見ることができる。
Ⅲ.王を求める声
1.12部族の長老たちが、王を与えて欲しいと要求した。
(1)民のこの要求は、悪魔の誘いによるものである。
2.悪魔は、それまでの経験を通して教訓を学んだ。
(1)士師たちの時代が続く限り、背教は地域的なものにとどまる。
①このままでは、全イスラエルを堕落させるのは不可能である。
(2)王政に移行すれば、王の堕落が全イスラエルの堕落につながる。
①当時、イスラエルの政治形態は神政政治であった。
②神が王で、神は預言者や士師を通して民に語りかけていた。
③しかし民は、それよりも人間の王に信頼を置く政治形態を求めた。
3.サムエルは、神の御心を求めた。
(1)サムエルは、不愉快になったが、【主】に祈ると、次のような答えあった。
①民の言う通りにせよ。
②彼らは、サムエルを退けたというよりは、神ご自身を退けたのである。
③これは新しいことではなく、民の歴史上いつも起こってきたことである。
④民を治める王の権利を民に知らせよ。
4.サムエルは、王政には犠牲が伴うことを民に説明した。
(1)サムエルの警告
①王は、息子たちを徴兵し、戦士として使役するようになる。
②王は、娘たちを取り、王宮で仕えさせるようになる。
③王は、新たに税を徴収し、民は重税で苦しむようになる。
④王は、奴隷や家畜の中から最上のものを取り、仕事をさせるようになる。
⑤それまで民が持っていた自由は、かなりの程度制限されるようになる。
(2)民は、その警告に耳を傾けず、他国民のようになりたいと王を求めた。
①ここでの民の罪とは、神を退け、人間の王に頼ろうとしたことにある。
②もう一つの罪は、神の時を無視して王を求めたことである。
Ⅳ.サウルの登場
1.神は、イスラエルに王が必要になることを予知し、人材を用意しておられた。
(1)それがダビデである。
①ダビデは若過ぎたので、サウルが王に選ばれることになった。
②神の時を待てない者は、必ず墓穴を掘るようになる。
2.イスラエルは、サウルを王とする王政(統一政府体制)に移行した。
(1)悪魔にとっては、一挙に契約の民を堕落させる好機が到来したことになる。
①これ以降悪魔は、サウルを標的として激しく攻めた。
3.即位して2年後、サウルは【主】に背き、誤った判断を下した。
(1)祭司にしか許されていないいけにえを、自らの手で献げた。
①サムエルからその罪を糾弾されると、自分を正当化する理屈を並べ立てた。
②神は、聖霊をサウルから取り去り、ダビデにお与えになった。
(2)それ以降サウルは、より激しい悪魔の攻撃にさらされることになる。
①1サム16:14
1Sa 16:14 さて、【主】の霊はサウルを離れ去り、【主】からの、わざわいの霊が彼をおびえさせた。
(3)サウルの性格は、異常なものに変質していった。
①常軌を逸した自己愛
②異常なほどの嫉妬心
③全的堕落
4.神は、ペリシテ人との戦いを用いて、この状況に介入された。
(1)サウルは、ギルボア山でのペリシテ人との戦いで戦死した。
①3人の息子(ヨナタン、アビナダブ、マルキ・シュア)も戦死した。
②ペリシテ人たちは、特にサウルとその息子たちを狙い撃ちにした。
(2)サウルが戦死したのを見て、イスラエル人たちは、町々を捨てて逃走した。
①その後にペリシテ人がやって来て、そこに住むようになった。
②イスラエルの人々が築いてきた町々が、敵の手に渡ったのである。
(3)まとめ
①王としてのサウルは、最初は素晴らしいスタートを切った。
②小さな不従順の積み重ねにより、【主】に反抗することが習慣になった。
③その背後にサタンの策略があった。
④神は、サウルと息子たちを戦死させることで、悪魔の策略を阻止された。
⑤次に神が立てる器は、ダビデである。
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