私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
パートⅡ.旧約時代7章 アブラハム契約
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アブラハム契約について学ぶ。
パートⅡ.旧約時代
7
章 アブラハム契約
イントロダクション
1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマに沿って聖書を読み解いている。
2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)
(1)サタンは、悪魔の国を造るという目的を達成したかに見えた。
(2)神は、直ちにサタンを滅ぼすこともできたが、そうはしなかった。
(3)神は、創世記3章15節で福音の原型を示された。
3.パートⅡ.旧約時代(4~17章)
4章 カインとアベル
5章 大洪水
(1)サタンは、堕天使と人間の娘の雑婚を推進した。
(2)神の対抗策は、地球を覆う大洪水である。
6章 バベルの塔
(1)大洪水後の人類の反抗
7章 アブラハム契約
4.アウトライン
(2)アブラハム契約への攻撃
(3)アブラハム契約の継承
(4)アブラハム契約の歴史的進展
アブラハム契約について学ぶ。
Ⅰ.アブラハム契約の内容
1.神は、新たな対抗策を用意した。
(1)バベルの塔事件で、人類の道徳的堕落は歯止めが効かない状態になった。
①悪魔の国の力が、優勢になり始めたように見える。
②しかし神は、新たな対抗策を用意しておられた。
③それがアブラハム契約である。
(2)神の対抗策は、アブラハムの召しという形を取って現れた。
①神は、アブラハムから新たな民族を作り出そうとされた。
②地上の諸民族は堕落したので、新たな民族を産み出す必要性があった。
③女の子孫(メシア)は、アブラハムの子孫から誕生する。
④6章「バベルの塔」では、女の子孫はセムの家系から出ることを確認した。
⑤アブラハムは、セムの家系に属する人物である。
2.アブラハムの召命は、契約の形を取ってやってきた。
(1)聖書の神は、契約を結ぶ神である。
①私たちは、この神概念をユダヤ人から教わった。
(2)創12:1~3
Gen 12:1 【主】はアブラムに言われた。/「あなたは、あなたの土地、/あなたの親族、あなたの父の家を離れて、/わたしが示す地へ行きなさい。
Gen 12:2 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、/あなたを祝福し、/あなたの名を大いなるものとする。/あなたは祝福となりなさい。
Gen 12:3 わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、/あなたを呪う者をのろう。/地のすべての部族は、/あなたによって祝福される。」
(3)3つの条項と1つの付帯条項
①アブラハムに土地が約束された。
*遊牧民であった彼にとっては、夢のような約束である。
②彼は大いなる国民となる。
*これは、子孫の約束である。大いなる国民とはイスラエルの民を指す。
③アブラハムは神の祝福を受ける。
*彼の名は大いなるものとなる。
*地上のすべての民族がアブラハムを通して祝福される。
*アブラハムの子孫からメシアが誕生することを約束したものである。
④付帯条項が追加された。
*「アブラハムを祝福する者を祝福し、呪う者をのろう」
*この付帯条項は、悪魔の攻撃から契約の民を守るためのものである。
*アブラハム契約は今も有効なので、この付帯条項も生きている。
3.アブラハムの選びは、神の国を確立するための方法としての選びである。
(1)神は、サタンによって破壊された「神の国」の回復のために、彼を召された。
①アブラハムは、神の約束をそのまま信じ、カナンの地に向かった。
②彼は、その地にどういう危険と特徴があるのかを知らないで、出て行った。
Ⅱ.アブラハム契約への攻撃
1.激しいききんがカナンの地を襲った。
(1)カナンの地に入った後、アブラハムの信仰が試された。
(2)彼は、ききんを逃れるためにエジプトに下る決心をする。
①永住の意図はなく、一時的に寄留するだけという思いで行動を起こした。
2.予想外の事件が起こった。
(1)アブラハムは、異母妹であったサライを妹だと偽っていた。
①エジプトの王ファラオが、サラを宮廷(ハーレム)に召し入れた。
(2)この事件は、悪魔が作り出したものである。
①悪魔は、アブラハム契約を攻撃しているのである。
②サラがパロに奪われたなら、子孫の約束は成就しないことになる。
③これは、神の計画に対するサタンの挑戦である。
3.付帯条項が効力を発揮した。
(1)神は、パロとその家を災害で痛めつけた。
①ユダヤ教の伝統では、この「災害」は重い皮膚病だとされている。
②皮膚病のために、男女の交わりが不可能になったのである。
③パロはアブラハムを殺さず、そのままエジプトから去らせた。
④アブラハムは、以前よりも裕福になってカナンの地に戻って来た。
⑤これでアブラハム契約は、子孫の約束の成就が可能な状態に戻った。
(2)アブラハムの失敗によってアブラハム契約が破棄されることはない。
①アブラハム契約は、無条件契約である。
Ⅲ.アブラハム契約の継承
1.アブラハムからイサクへ、イサクからヤコブへ継承されて行く。
(1)イスラエルの神は「アブラハム、イサク、ヤコブの神」である。
①これは、契約の神の御名である。
②イサクに対する契約の継承は、創世記26章に出てくる。
③ヤコブに対する契約の継承は、創世記28章に出てくる。
(2)契約の継承に際しては、神の自己宣言に続いて、アブラハム契約の3つの条
項の再確認がなされる。
①土地の約束
②子孫の約束
③祝福の約束
(3)族長たちは全員、異邦人の救いの約束を神から受けていた。
①神は、イスラエルの選びを通して、全人類を救おうとされた。
Ⅳ.アブラハム契約の歴史的進展
1.カナン人との同化の危険性
(1)夫に先立たれた嫁のタマルは、しゅうとのユダを欺いて子を残す(創38章)。
①ヤコブの息子たちの霊性(特にユダの霊性)は、極めて堕落していた。
②ヤコブの一家がこのままカナンの地に留まり続けるのは、危険である。
③カナン人と同化し、契約の民としての聖さも特徴も失ってしまう。
(2)神はヤコブの一家をエジプトに移住させ、一大民族として育てようとされた。
①エジプト移住は、神からの裁きである。
②と同時に、ヤコブの一家を守る恵みの手段でもある。
③ヨセフが売られたのは、一家がエジプトに移住するための準備であった。
2.ゴシェンの地での生活
(1)契約の民は、ゴシェンの地でエジプト人から分離して一大民族として育った。
①イスラエルの民は、この世(カナン人)と分離する必要があった。
②分離のための分離ではなく、この世に出て行くための分離である。
③彼らの最終ゴールは、カナンの地への帰還である。
(2)悪魔は、エジプトで拡大し続けるイスラエルの民を危険視し始めた。
①彼は、「女の子孫」(メシア)はこの民から誕生することを知っていた。
②そこで、エジプトの政治権力を用いて、イスラエルの民を抹殺しようとした。
③イスラエルの民を抹殺することが、アブラハム契約を破壊する道である。
*次回は、エジプトでの反ユダヤ主義の拡がりと、出エジプトの出来事について学ぶ。
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