申命記(16)第2の説教の始まり

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第一の説教の結論について学ぶ

申命記16回

「第2の説教の始まり」
申4:44~5:5

 

1.はじめに

(1)申命記の構造(宗主権契約に基づく4つの説教)

①第 1の説教:歴史の回顧(1:5~4:43)

②第2の説教:契約に基づく義務(4:44~26:19)

*総論:臣下の義務(4:44~5:33)

*全的従順の呼びかけ(6~11章)

*律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)

*【主】に対する誓約(26:16~19)

 

2.メッセージのアウトライン

(1)第2の説教の舞台設定(4:44~49)

(2)従順な歩みへの呼びかけ(5:1~5)

 

3.結論

(1)約束の地の手付金

(2)先ず恵み、次に従順

 

第二の説教の始まりについて学ぶ

Ⅰ.第 2 の説教の舞台設定( 4 44 49

*律法の内容は、5章以降に出て来る。

*この箇所は、モーセがイスラエルの民に律法を語ったときの状況を説明している。

1.44~45節

これは、モーセがイスラエルの子らに示したみおしえである。

これらはさとしと掟と定めであり、イスラエルの子らがエジプトを出たとき、モーセが彼らに告げたものである。

(1)「これは、・・・みおしえである」

①「トーラー」=「instruction」

②「指図、指示、命令、教え」

③モーセが【主】から受け、イスラエルの民に示した。

④その内容は、5章以降に出て来る。

 

(2)「これらはさとしと掟と定めであり」

訳文の比較

「これらはさとしと掟と定め」(新改訳2017)

「定めと掟と法」(新共同訳)

「あかしと、定めと、おきて」(口語訳)

「誡命(いましめ)と法度(のり)と律法(おきて)」(文語訳)

①「さとし」=「あかし」(testimonies)(神が証明した教え)

②「定めと掟」(4:1で、ジョン・ウェスレイの解説を紹介した)

*「掟」とは、礼拝や神への奉仕に関する律法である。

*「定め」とは、隣人への義務に関する律法である。

*この2つは、十戒の2枚の石版に対応している。

 

(3)「イスラエルの民がエジプトを出たとき」

①律法は、エジプトを出てから3ヶ月後に、シナイ山で与えられた。

②申命記は、新しい契約ではなく、すでに与えられていた契約の更新である。

③この契約の更新は、ヨルダン川の東岸を征服した時点で行われた。

 

(4)「モーセが彼らに告げたものである」

①約束の地で長く生きるためには、【主】の「みおしえ」を忠実に行う必要が

ある。

②これは、モーセの遺言である。

③私が子どもたちに残す遺言は、「神を信じて生きるように」である。

 

2.46~47節a

そこはヨルダンの川向こう、アモリ人の王シホンの地のベテ・ペオルの前にある谷であった。このシホンはヘシュボンに住んでいたが、モーセとイスラエルの子らがエジプトから出て来たときに、彼らは彼を討った。

そして、シホンの地と、バシャンの王オグの地を占領した。

(1)シナイ契約が更新された場所

①ヨルダンの川向こう

②アモリ人の王シホンの地のベテ・ペオルの前にある谷

③この場所は、すでにイスラエルの民によって征服されている。

 

(2)アモリ人の王シホンは、ヘシュボンの王であった。

①イスラエルの民は、シホンを討った。

②これは、イスラエルの新しい世代が初めて戦った戦争であった。

 

(3)さらに、バシャンの王オグの地も占領した。

①バシャンの地を征服せずに、カナンの地に向けて進軍することはできない。

 

3.47b~49節

そこはヨルダンの川向こう、東の方にいた二人のアモリ人の王の地で、

アルノンの渓谷の縁にあるアロエルからシーオン山、すなわちヘルモンまで、

またヨルダンの川向こう、東側のアラバの全土、ピスガの傾斜地のふもとにあるアラバの海までであった。

(1)地理的境界線が確認される。

①アルノンの渓谷の縁にあるアロエルからヘルモン山まで

②ヨルダン川の東側のアラバの全域

③ピスガの傾斜地のふもとにあるアラバの海(塩の海)まで

 

(2)アモリ人の土地を征服したという事実は、神の約束を信じる根拠である。

①それ以上に重要なのは、イスラエルの民の神体験である。

②モーセには、【主】の律法に従えと教える十分な理由と根拠があった。

 

Ⅱ.従順な歩みへの呼びかけ( 5 1 5

1.1節

モーセはイスラエルをみな呼び寄せて、彼らに言った。
聞け、イスラエルよ。今日、私があなたがたの耳に語る掟と定めを。これを学び、守り行いなさい。

(1)モーセは、できる限りの声を上げて、イスラエルの民に語った。

①その声は、モーセの内側から出て来る力ある、真実な声であった。

 

(2)「聞け、イスラエルよ」

①モーセは、律法への従順が生死にかかわることを伝えようとした。

②掟と定めを聞き、それを学び、それを守り行え。

③創49:1

ヤコブは息子たちを呼び寄せて言った。
「集まりなさい。
私は、終わりの日に
おまえたちに起こることを告げよう。

④ヨハ7:37

さて、祭りの終わりの大いなる日に、イエスは立ち上がり、大きな声で言われた。「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。

 

2.2~3節

私たちの神、【主】はホレブで私たちと契約を結ばれた。

【主】はこの契約を私たちの先祖と結ばれたのではなく、今日ここに生きている私たち一人ひとりと結ばれたのである。

(1)「私たちの神、【主】はホレブで私たちと契約を結ばれた」

①これは、シナイ契約である。

②モーセとカレブとヨシュア以外は滅びたが、イスラエルは民族としては生

き延びた。

③【主】がイスラエルの民と結んだシナイ契約は、有効である。

 

(2)「【主】はこの契約を私たちの先祖と結ばれたのではなく、」

①シナイ契約は、死者ではなく、生きている者に適用される。

 

(3)「今日ここに生きている私たち一人ひとりと結ばれたのである」

①シナイ契約は、イスラエルの民の中の生きている者に適用される。

 

3.4~5節

【主】はあの山で、火の中からあなたがたに顔と顔を合わせて語られた。

あのとき、私は【主】とあなたがたとの間に立ち、【主】のことばをあなたがたに告げた。あなたがたが火を恐れて、山に登らなかったからである。主は言われた。

(1)シナイ山で、【主】はシャカイナグローリーの中から語られた。

「顔と顔を合わせて」

②出33:11

【主】は、人が自分の友と語るように、顔と顔を合わせてモーセと語られた。モーセが宿営に帰るとき、彼の従者でヌンの子ヨシュアという若者が天幕から離れないでいた。

 

(2)モーセは、仲介者として、【主】のことばを民に伝えた。

①民は火を恐れて、山に登らなかった。

②それゆえ、モーセが仲介者となった。

③モーセは、【主】から聞いたことを民に伝えた。

④その内容は、生きているイスラエル(今のイスラエル)に向けられたもの。

 

(3)シナイ山での契約締結とモアブの地での契約更新の対比

①シナイ山での契約締結

*民は火を恐れた。

*恐ろしい光景が展開された。

②モアブの地での契約更新

*民には恐れはない。

*恵みと希望に満ちた光景が展開された。

③申5:6以降で、律法の内容が解説される。

*最初に出て来るのは、十戒である。

 

結論

1 .約束の地の手付金

1 )シホンとオグの領地は、約束の地の手付金である。

①ルベン族、ガド族、マナセの半部族は、ヨルダン川東岸に領地を得た。

②モーセは、この手付金を基に約束の地の征服を確約することができた。

 

2 )クリスチャンにとっては、手付金は聖霊である。

①エペ 1 13 14

このキリストにあって、あなたがたもまた、真理のことば、あなたがたの救いの福音を聞いてそれを信じたことにより、約束の聖霊によって証印を押されました。

聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です。このことは、私たちが贖われて神のものとされ、神の栄光がほめたたえられるためです。

②救いはユダヤ人だけのものではなく、異邦人のものでもある。

③福音を聞き、それを信じた者には聖霊の証印が押された。

④それは、私たちが約束のものを相続することの保証となった。

⑤私たちは、川の東にいる(地上生涯)が、やがて向こう岸に渡る。

⑥聖霊は、永遠のいのちと力の前味(前触れ)である。

⑦聖霊を意識すればするほど、霊の戦いに勝利することができる。

 

2 .先ず恵み、次に従順

1 )宗主権契約の形式

①第 1 の説教:歴史の回顧( 1 5 4 43

②第 2 の説教:契約に基づく義務( 4 44 26 19

 

2 )神は先ず恵みを与え、次に従順を要求する。

①これが、シナイ契約の本質である。

②神はイスラエルの民をエジプトから導き出された。

③次に、神の民としていかに生きるべきかを教えるために律法を与えた。

 

3 )福音のメッセージもこれと同じである。

①イエス・キリストの十字架の死と復活のメッセージ

②救いは、恵みと信仰によって与えられる。

③次にキリストの律法への従順が求められる。

④それを可能にするのは、聖霊の力である。

 

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