申命記(14)離散の預言

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離散の預言について学ぶ

申命記14回

「離散の預言」
申4:25~31

 

1.はじめに
(1)申命記のアウトライン(宗主権契約の形式)
①第1の説教:歴史の回顧(1:5~4:43)
②第2の説教:契約に基づく義務(4:44~26:19)
③第3の説教:祝福と呪いの宣言(27:1~29:1)
④第4の説教:契約条項のまとめ(29:2~30:20)

 

(2)イスラエルの民は、これからカナンの地に入ろうとしている。
①彼らは、正しい世界観と人生観を持つ必要があった。
②3章で、カナンの地征服の準備が始まった。

 

(3)4章のアウトライン
①律法の目的(4:1~8)
②ホレブでの体験の目的(4:9~14)
③偶像礼拝の禁止(4:15~24)
④離散の預言(4:25~31)
⑤【主】だけが神(4:32~40)
⑥逃れの町(4:41~43)

 

2.メッセージのアウトライン
(1)天と地を証人に(4:25~26a)
(2)追放の預言(4:26b~28)
(3)回復の預言(4:29~31)

 

3.結論
(1)裁きの目的
(2)回復の根拠

 

離散の預言について学ぶ
Ⅰ.天と地を証人に(4:25~26a)
1.25節
あなたが子や孫をもうけ、あなたがたがその地に長く住むうちに堕落して、何かの形に刻んだ像を造り、あなたの神、【主】の目に悪であることを行い、御怒りを引き起こすようなことがあれば、
(1)前回の箇所では、偶像礼拝が厳しく禁止された(4:15~24)。
①【主】はイスラエルの民をエジプトから導き出された。
②イスラエルの民は、偶像礼拝の地から解放された。
③偶像礼拝は、霊であり全能である神を制限し、冒涜する行為である。
④偶像礼拝は、【主】に背く行為である。

 

(2)この箇所では、偶像礼拝に対する裁きが預言されている。
①モーセは、イスラエルの民が偶像礼拝に陥る可能性を予見している。
*時間の経過:カナンの地に長く住む。
*次世代の出現:子や孫をもうける。
*生活の安定:平穏で豊かな生活に満足し始める。
②偶像礼拝へのステップ
*【主】にのみ頼るということを忘れる。
*【主】を忘れると、必然的に堕落する。
*堕落した魂は、偶像を造るようになる。
*さらに、【主】の目に悪であることを行うようになる。
③偶像礼拝は、御怒りを引き起こすようになる。

 

(3)士師記の時代になると、モーセが予見したことが起こる(士2:8~11)。
【主】のしもべ、ヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。
人々は彼をガアシュ山の北、エフライムの山地にある、彼の相続地の領域にあるティムナテ・ヘレスに葬った。
その世代の者たちもみな、その先祖たちのもとに集められた。そして彼らの後に、【主】を知らず、主がイスラエルのために行われたわざも知らない、別の世代が起こった。
すると、イスラエルの子らは【主】の目に悪であることを行い、もろもろのバアルに仕えた。

 

2.26節a
私は今日、次のことで、あなたがたに対して天と地を証人に立てる。
(1)モーセは、天と地を証人に立てて、偶像礼拝に下る神の裁きの預言を語る。
①通常の宗主権契約では、神々が証人として召集される。
②契約違反があった場合は、神々が介入して違反を修正すると考えられた。
③申命記では、証人は神々でも人間でもなく、天と地である。
④天と地は、神々や人間の「移り気な性質」とは対照的である。
⑤天と地が偶像化されているということではない。
⑥天と地は、被造世界全体を象徴している。

 

(2)天と地は、【主】との契約が永遠であることを示している。
①エレ33:20~21
【主】はこう言われる。「もしもあなたがたが、昼と結んだわたしの契約と、夜と結んだわたしの契約を破ることができ、昼と夜が、定まった時に来ないようにすることができるのであれば、
わたしのしもべダビデと結んだわたしの契約も破られ、ダビデにはその王座に就く子がいなくなり、わたしに仕えるレビ人の祭司たちと結んだわたしの契約も破られる。
②ダビデ契約は無条件契約であるが、シナイ契約は条件付契約である。
③永遠とは、その時代が終わるまでは途切れることがないという意味である。

 

(3)神が民を裁かれるとき、神は天と地を証人として呼び出される。
①詩50:4
神は上なる天をまた地を呼び集められる。
ご自分の民をさばくために。
②民が裁きを受けるとするなら、それは予告されていたとおりのことである。

 

Ⅱ.追放の預言(4:26b~28)
1.26節b
あなたがたは、ヨルダン川を渡って所有しようとしているその地から追われ、たちまち滅び失せる。そこで、あなたがたは長く生きるどころか、すっかり根絶やしにされる。
(1)イスラエルの民は、カナンの地に定住しようとしている。
①その地で長く生きるための条件は、【主】に従うということである。

 

(2)もし偶像礼拝に陥るなら、裁きが下る。
①その地から追われ、たちまち滅びる。
②その地に長く住むことができず、根絶やしにされる。
③裁きは2つの形で下る。
*それが次の27節と28節の内容である。

 

2.27~28節
また、【主】はあなたがたを諸国の民の中に散らされ、あなたがたは【主】が追いやる国々の中で、ごくわずかな者として生き残ることになる。
あなたがたはそこで、見ることも聞くこともできず、食べることも嗅ぐこともできない、人の手のわざである木や石の神々に仕える。
(1)イスラエルの民は、諸国の民の中に散らされる。
①【主】がイスラエルの民を国々の中に追いやる。
②多くの死者が出、わずかな者だけが生き残る。
*「men of number」(かぞえられるほど少数)
*住んでいる国の異邦人の人口と比較して少数
③ネヘ1:3
彼らは私に答えた。「あの州で捕囚を生き残った者たちは、大きな困難と恥辱の中にあります。そのうえ、エルサレムの城壁は崩され、その門は火で焼き払われたままです。」

 

(2)イスラエルの民は、偶像に仕えるようになる。
①偶像礼拝に陥った民は、離散の地で偶像に仕えるようになる。
②詩115:4~7
彼らの偶像は銀や金。
人の手のわざにすぎない。
口があっても語れず
目があっても見えない。
耳があっても聞こえず
鼻があっても嗅げない。
手があってもさわれず
足があっても歩けない。
喉があっても声をたてることができない。
③イスラエルの民は、無力な偶像に仕えることになる。

 

(3)この追放の預言は、すでに成就している。
①アッシリヤ捕囚
②バビロン捕囚
③紀元70年の全世界への離散
*イスラエルの民は、今もこの影響を受けている。

 

Ⅲ.回復の預言(4:29~31)
1.29節
しかしそこから、あなたがたがあなたの神、【主】を探し求め、心を尽くし、いのちを尽くして求めるとき、あなたは主にお会いする。
(1)回復の道は用意されている。
①【主】を探し求める。
②心を尽くし、いのちを尽くして求める。
③そうするなら、主にお会いする。

 

(2)この預言の例を、アサ王による宗教改革に見ることができる。
①2歴15:15
ユダの人々はみなその誓いを喜んだ。それは、彼らが心のすべてをもって誓いを立て、ただ一筋に主を慕い求め、そして主がご自分を彼らに示されたからである。【主】は周囲の者から守って彼らに安息を与えられた。

 

2.30節
こうして終わりの日に、これらすべてのことがあなたに臨み、あなたが苦しみのうちにあるとき、あなたは、あなたの神、【主】に立ち返り、御声に聞き従う。
(1)終末論時代の預言が語られる。
①イスラエルの民は苦しみに遭う。
*7年間の患難期
*これは、聖書で最初に登場する患難期の預言であろう。
②イスラエルの民は、自分たちが拒否したお方がメシアであることを認める。
*真実な悔い改めと立ち返りが見られるようになる。
③その時キリストが地上に再臨されることを、私たちは知っている。

 

3.31節
あなたの神、【主】はあわれみ深い神であり、あなたを捨てず、あなたを滅ぼさず、あなたの父祖たちに誓った契約を忘れないからである。
(1)この預言が成就する保証は、【主】のご性質にある。
①「【主】はあわれみ深い神であり」
*「あわれみ深い」は、ヘブル語で「ラフム」である。
*母親が幼子に示す愛である。
②「あなたを捨てず」
*母親は、無力な幼子を捨てることはできない。
③「あなたを滅ぼさず」
*母親の愛は、幼子を守る。
④「あなたの父祖たちに誓った契約を忘れない」
*神は、アブラハムと契約を結ばれた。
*神は、イサクとヤコブに対してその契約を追認された。
*神は、その契約を忘れない。

 

結論
*イスラエルは、神が人類をどのように扱うかを示すリトマス試験紙である。
*イスラエルの歴史を学ぶと、多くの適用を発見することができる。

 

1.裁きの目的
(1)申8:5
あなたは、人がその子を訓練するように、あなたの神、【主】があなたを訓練されることを知らなければならない。

 

(2)ヘブ12:4~6
あなたがたは、罪と戦って、まだ血を流すまで抵抗したことがありません。
そして、あなたがたに向かって子どもたちに対するように語られた、この励ましのことばを忘れています。
「わが子よ、主の訓練を軽んじてはならない。
主に叱られて気落ちしてはならない。
主はその愛する者を訓練し、
受け入れるすべての子に、
むちを加えられるのだから。」

 

(3)イスラエルの民は、2度の捕囚体験によって、偶像礼拝から離れた。

 

2.回復の根拠
(1)先祖たちに誓った契約を忘れないから。
①ここでは、アブラハム契約のことである。
②アブラハム契約から、土地の契約、ダビデ契約、新しい契約が派生する。

 

(2)ロマ11:28~29
彼らは、福音に関して言えば、あなたがたのゆえに、神に敵対している者ですが、選びに関して言えば、父祖たちのゆえに、神に愛されている者です。
神の賜物と召命は、取り消されることがないからです。

 

(3)2コリ7:10
神のみこころに添った悲しみは、後悔のない、救いに至る悔い改めを生じさせますが、世の悲しみは死をもたらします。

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