60分でわかる新約聖書(15)テモテへの手紙第一

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テモテへの手紙第一について学ぶ。

60分でわかる新約聖書(15)「テモテへの手紙第一」

 

1.はじめに
(1)テモテへの手紙第一の位置づけ
①2通のテモテへの手紙とテトスへの手紙を総称して、「牧会書簡」と言う。
②パウロは、牧会上の問題を取り上げ、指導者に指示や助言を与えている。
③牧会書簡は個人に宛てられたものだが、公に朗読すべきものでもある。

 

(2)テモテへの手紙第一の執筆経緯
①使徒の働きは、ローマの獄中でのパウロの伝道で終わっている。
②パウロの晩年に関して、多くの学者は以下のように考えている。
*2年後、パウロは獄舎から解放され、ローマ退去を命じられた。
*パウロは、ルカとテモテを伴ってエペソを訪問した。
*エペソでは、パウロが予期した通りのことが起こっていた。
*1テモテの中に書かれた警告は、グノーシス主義に関するものであろう。
・パウロは、コロサイ人への手紙でこのテーマを取り上げていた。
*パウロは、エペソでの奉仕を短期間で終え、次にピリピに行った。
*エペソ教会を牧するために、テモテを後に残した。
*パウロは、すぐにエペソに戻るつもりでいた(1テモ3:14)。
*しかし、エペソ教会の状況は、早急な対応を必要としていた。
*そこでパウロは、テモテを励ますために、この手紙を書いた。

 

(3)執筆目的
①大都市の大教会を牧する若い伝道者を励ますこと
②偽教師の教えに対抗する方法を教えること
③教会内の種々の問題に対する対応策を指示すること

 

(4)メッセージのアウトライン
①若い牧師への助言
②偽教師の扱い
③教会の指導者の資格
④自らの霊的養い
⑤禁欲的生活からの解放
⑥教会内の人間関係

 

テモテへの手紙第一について学ぶ。
Ⅰ.若い牧師への助言
1.1テモ1:3~5
1Ti 1:3 私がマケドニアに行くときに言ったように、あなたはエペソにとどまり、ある人たちが違った教えを説いたり、
1Ti 1:4
果てしない作り話と系図に心を寄せたりしないように命じなさい。そのようなものは、論議を引き起こすだけで、神に委ねられた信仰の務めを実現させることにはなりません。
1Ti 1:5 この命令が目指す目標は、きよい心と健全な良心と偽りのない信仰から生まれる愛です。
(1)偽教師がやって来て、「違った教え」を説くようになる。
①彼らは、「果てしない作り話」や「系図」に関心を向けさせるであろう。
*「果てしない作り話」は、グノーシス主義の教えであろう。
*「系図」は、ユダヤ人たちが自分はどの部族出身か、また祭司、レビ
人になる資格があるかどうか、などを論じる際に使ったものである。
②そのようなものは議論を巻き起こすだけで、霊的にはなんの価値もない。
③無益な議論に巻き込まれると、最も重要なことが見えなくなる。

 

(2)パウロは、「この命令」(聖書の教え)が何を目的としているか再確認する。
①信仰の最終目的は、「愛」である。
②偽教師たちは、目標を見失い、わき道に迷い込み、無益な議論を重ねている。
③目標は、「神を愛し、隣人を愛し、キリストの似姿に変えられていくこと」。
④ガラ5:14
Gal 5:14 律法全体は、「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」という一つのことばで全うされるのです。

 

Ⅱ.偽教師の扱い
1.1テモ4:12~13
1Ti 4:12
あなたは、年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい。むしろ、ことば、態度、愛、信仰、純潔において信者の模範となりなさい。
1Ti 4:13 私が行くまで、聖書の朗読と勧めと教えに専念しなさい。
(1)年が若いからといって、だれからも軽く見られないようにする。
①年のせいで、教えや命令まで軽く見られるようなことが起こらないように。
②当時は、40歳前だと若いと思われた。
③当時のテモテは、30代後半から40代前半になっていたと思われる。

 

(2)行動を通して、他の信者に見本を示す。
①論争によってではなく、実際の行動によって背教者たちを黙らせる。
②具体的には、愛、信仰、純潔の3点に気をつける。

(3)聖書の朗読と解き明かしに専念する。
①テモテは、エペソ教会に派遣された使徒職の代理人である。
②聖書の朗読と解き明かしこそ、牧師の第一義的使命である。
③それが実行できないような状況にあるなら、直ちに改める必要がある。

 

Ⅲ.教会の指導者の資格
1.1テモ3:2~4
1Ti 3:2 ですから監督は、非難されるところがなく、一人の妻の夫であり、自分を制し、慎み深く、礼儀正しく、よくもてなし、教える能力があり、
1Ti 3:3 酒飲みでなく、乱暴でなく、柔和で、争わず、金銭に無欲で、
1Ti 3:4 自分の家庭をよく治め、十分な威厳をもって子どもを従わせている人でなければなりません。
(1)監督になる資格
①紀元1世紀の「監督」は、今日の牧師のような存在である。
②誰もが霊的指導者になれるわけではない。
③そのためには、自制し、霊的に成長しなければならない。
④教会の成長と健全性とは、監督の資質に依存している。

(2)パウロは、監督になるための15の実際的な資格を挙げている。
①個人的に非難されるところがない。
②一人の妻の夫である。
*結婚関係に忠実である。
*独身でもかまわないと思われる。
③自分を制することができる。
④慎み深い。
⑤礼儀正しい。
⑥旅人をよくもてなす。
⑦教える能力がある。
⑧酒飲みでない。
⑨乱暴でない。
⑩柔和である。
⑪争わない。
⑫金銭に無欲である。
⑬自分の家庭をよく治め、十分な威厳をもって子どもを従わせている。
⑭信者になったばかりの人でない。
⑮教会の外の人々にも評判の良い人である。
*パウロは宣教という視点から、監督職を考えていた。

 

Ⅳ.自らの霊的養い
1.1テモ4:14~16
1Ti 4:14 長老たちによる按手を受けたとき、預言によって与えられた、あなたのうちにある賜物を軽んじてはいけません。
1Ti 4:15 これらのことに心を砕き、ひたすら励みなさい。そうすれば、あなたの進歩はすべての人に明らかになるでしょう。
1Ti 4:16
自分自身にも、教えることにも、よく気をつけなさい。働きをあくまでも続けなさい。そうすれば、自分自身と、あなたの教えを聞く人たちとを、救うことになるのです。
(1)内に与えられた聖霊の賜物を生かす。
①霊的な奉仕のためには、聖霊の賜物が必要である。
②按手を受けた時、預言によって、聖霊の賜物が与えられていることを知った。
③パウロは、「あなたのうちにある賜物を軽んじてはいけません」と命じた。

 

(2)自らの務めに対して、全力で取り組む。
①そうすれば、だれの目にも進歩が明らかになる。

 

(3)自分自身にも、教えることにも、よく気をつける。
①公の働きと、私的生活に気をつける。

 

(4)以上のことをあくまでも継続する。
①その使命は、余りにも重大である。
②自分自身と他の人々の永遠の運命が、その成否にかかっている。

Ⅴ.禁欲的生活からの解放
1.1テモ4:7~8
1Ti 4:7 俗悪で愚にもつかない作り話を避けなさい。むしろ、敬虔のために自分自身を鍛錬しなさい。
1Ti 4:8 肉体の鍛錬も少しは有益ですが、今のいのちと来たるべきいのちを約束する敬虔は、すべてに有益です。
(1)敬虔のために自己鍛練をする。
①肉体の鍛練(禁欲主義)ではなく、信仰の成長を促す霊的鍛錬である。
②鍛錬によって得られた敬虔は、今の命と未来の命を保証するものとなる。
③クリスチャン生活を送るための力は、救いの完成への希望にある。

 

2.1テモ5:23
1Ti 5:23 これからは水ばかり飲まないで、胃のために、また、たびたび起こる病気のために、少量のぶどう酒を用いなさい。
(1)健康のために、少量のぶどう酒を飲むこと。
①「大酒飲み」と非難されることを恐れ、水ばかり飲んでいたのであろう。
②テモテは、「自らの身に課した律法」に束縛されていたのであろう。
③このぶどう酒は、治療目的のためのものである。
④善であれ悪であれ、いつか必ず光のもとに出される。
*神を恐れかしこみつつ歩むのが知恵である。

 

Ⅵ.教会内の人間関係
1.1テモ5:1~3
1Ti 5:1 年配の男の人を叱ってはいけません。むしろ、父親に対するように勧めなさい。若い人には兄弟に対するように、
1Ti 5:2 年配の女の人には母親に対するように、若い女の人には姉妹に対するように、真に純粋な心で勧めなさい。
1Ti 5:3 やもめの中の本当のやもめを大事にしなさい。
(1)年寄りに対して
①奉仕の大前提は、クリスチャンは神の家族だという認識である。
②年老いた男性に対しては、父親と考えるべきである。
*老人には、父親に対するように教え、勧め、戒めなければならない。
*年寄りは、叱られることを極度に恐れる。
③年老いた女性に対しては、母親と考えるべきである。

 

(2)若者に対して
①若い男性に対しては、すべて兄弟と考えて接すべきである。
*肉の兄弟に対するように、間違いは矯正し、良い点はほめる。
*お互いのことを、対等な関係にあると認識する。
②若い女性に対しては、すべて実の姉妹と考えて接すべきである。
*「真に純粋な心で勧めなさい」
*不純な動機からではなく、相手の最善を考えて行動する。

 

(3)やもめに対して
①古代社会では、やもめは社会的弱者であった。
②やもめを取り扱う際の原則
*本当のやもめは、敬われるべき存在である。
*やもめに家族(子供か孫)がいる場合、その家族が率先して援助する。
③教会の名簿にやもめとして登録するための条件が、いくつかある。
*60歳以上の身寄りのない婦人
*ひとりの夫の妻であった人
*良い行ないによって認められている人
・子供を立派に育てた人(家庭内での善行)
・旅人をもてなした人(共同体内での善行)
・聖徒の足を洗った人(謙遜な奉仕)
・困っている人を助けた人(弱者への奉仕)
・すべての良いわざに務め励んだ人(信仰の表現)
*若いやもめは、名簿に載せるべきではない。

 

結論:1テモ3:14~16
1Ti 3:14 私は、近いうちにあなたのところに行きたいと思いながら、これらのことを書いています。
1Ti 3:15
たとえ遅くなった場合でも、神の家でどのように行動すべきかを、あなたに知っておいてもらうためです。神の家とは、真理の柱と土台である、生ける神の教会のことです。
1Ti 3:16
だれもが認めるように、この敬虔の奥義は偉大です。/「キリストは肉において現れ、/霊において義とされ、/御使いたちに見られ、/諸国の民の間で宣べ伝えられ、/世界中で信じられ、/栄光のうちに上げられた。」
(1)教会の本質
①パウロはテモテに、教会でいかに振る舞うべきかを教えた。
②「神の家」とは「生ける神の教会」のことである。
③教会は、「真理の柱と土台」と呼ばれている。
④当然、教会にしか果たせない役割がある。

 

(2)教会の役割
①「敬虔の奥義」(啓示された真理)を伝える責任と特権が与えられている。
②伝える内容は3つある。
*キリストは肉において現われた(受肉の真理)。
*キリストの罪なき生涯、十字架の死、復活、昇天
*キリストを信じる信仰の必要性
③キリストは今栄光の座にあって、信者のために執りなしをしておられる。
④その結果、キリストの福音は諸国民の間で宣言され、世界中で信じられるよ
うになった。

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