Q.165 聖書は、死刑制度についてなんと教えていますか。

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恵みと憐れみに満ちた神のご性質が示されている聖書。しかし同時に、聖書には、旧約にも新約にも死刑制度が登場します。

 

クリスチャンの中でも論争がある難しいご質問ですが、幾つかの聖書箇所を開いていきます。

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165 聖書は、死刑制度についてなんと教えているか。

 

Q:私は、自身がクリスチャンであることを周りに知られているのですが、大学で死刑制度について議論をする機会があり、聖書的にはどのような解答をすれば良いのか、分からなくなりました。

 

A:これは、クリスチャンの間でも論争のある大変難しい質問です。私の見解としてお聞き下さい。いつものように3つ申し上げます。

 

1番目に、聖書は、死刑制度を否定していません。

十戒の中に、「殺してはならない」(出2013)という命令がありますが、これは死刑制度を否定する根拠にはなりません。この場合の「殺す」とは、殺意をもって殺すことで、国家の法体系における死刑制度とは内容が異なります。

96には、こうあります。「人の血を流す者は、人によって、血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから」。これは、ノア契約の条項に含まれる命令で、死刑制度を肯定したものです。モーセの律法では、死刑の対象になる罪は殺人だけではありません。誘拐、獣と寝ること、姦通、偽教師なども死刑の対象とされています。

使徒パウロも、地上の権威(支配者)が死刑執行権を持っていることを認めています(ロマ13章)。

 

2番目に、聖書には死刑が適用されなかった例がいくつかあります。

例えば、ダビデは姦淫と殺人の罪を犯しましたが、神は彼を死刑にせよと命じることなく、恵みをもって対処されました。そこからダビデの悔い改めの歌が生まれたのです。「神へのいけにえは、砕かれた霊。砕かれた、悔いた心。神よ。あなたは、それをさげすまれません」(詩5117)。主イエスも、姦淫の場で捉えられた女を赦されました。「わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。今からは決して罪を犯してはなりません」(ヨハ811)。

 

3番目に、クリスチャンは、国が死刑制度を正しく運用するように祈るべきです。

聖書は死刑制度を否定していると考えるのは、間違っています。死刑制度は、神が設立した制度であり、その運用は国に委ねられています。と同時に、死刑判決を下す際に、恵みが働く余地があることも覚えましょう。今の時代は、聖書時代よりもはるかに社会状況や人間関係が複雑化しています。それゆえ、情状酌量の余地は大いにあると思います。裁判に携わる人たちの上に、神からの知恵が注がれるように祈りましょう。

 

参考になる聖句

「人の血を流す者は、人によって、血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから」(創96

 

聖書は、死刑制度を否定していません。

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