今年のベストセラーから今を読み解く

  • 2010.12.14
  • スピーカー 中川健一
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このメッセージでは...

2010年のベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海著。略して「もしドラ」)を切り口に、ドラッカーのマネジメント論の真髄に迫ったメッセージです。ドラッカーのマネジメント理論がクリスチャンや教会にどのように適用されるのか。教会で、また企業でマネジメント(管理職)の立場にある方、必聴です。

今年のベストセラーから今を読み解く

イントロダクション

1.はじめに

(1)2009年12月3日発行、200万部を超える勢いの本

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

(2)著者は、岩崎夏海

  (3)年末に当たり、今を読み解く。

2.アウトライン

  (1)ピーター・ドラッカーとは誰か。

  (2)なぜこの本がベストセラーなのか。

  (3)何が書いてあるか。

  (4)どういう教訓を学ぶべきか。

このメッセージは、今年のベストセラーを通して今を読み解こうとするものである。

Ⅰ.ピーター・ドラッカーとは誰か。

  (1)経営学の「父」。20世紀に活躍した知の巨人のひとりである。

  (2)1909年~2005年(カリフォルニア州クレアモントの自宅で死去。95歳)

  (3)オーストリアのウィーンで生まれたユダヤ人。

  (4)1929年、ドイツ、フランクフルトで新聞記者となる。

  (5)1933年、自ら発表した論文がナチスの怒りを買うことを確信し、退職してイギリス

のロンドンに移住。そこで、経済学者のケインズの講義を受けた。

  (6)1937年、ドイツ系ユダヤ人のドリス・シュミットと結婚し、アメリカに移住。

  (7)19世紀型のヨーロッパの崩壊、20世紀型のアメリカの台頭を目撃。

①巨大企業の登場

②その社会的使命の解明に取りかかる。

③企業とは何かという問いは、組織運営のノウハウ、つまりマネジメントの重要性を

世に知らしめる結果をもたらした。

  (8)1966年、日本から勲三等瑞宝章を授与される。

  (9)彼の研究のゴールは、「人を幸福にすること」であった。

  (10)彼の思想は、21世紀のビジネス環境でも生き残っている。

Ⅱ.なぜこの本がベストセラーなのか。

  1.賛否いろいろ

    (1)否定的な感想がいくつかある。

  ①文章が稚拙である、内容が単純過ぎて現実的ではない、などなど。

②確かに、すぐに甲子園に行けるほど高校野球の世界は甘くはないだろう

(2)それでも、個人的には感心した。

(3)何よりも企画の勝利である。

①ドラッカーと高校野球の女子マネージャーとを結び付けるという発想

②本書のタイトルは長い。これ自体が、マネジメントの勝利である。

(4)この著者がいたからこそ世に出ることができた書である。

①岩崎夏海という名を見て、最初は女性かと思ったが、実は40代前半の男性。

②放送作家であり、「AKB48」のプロデュースにも携わった。

③私などが決して手にすることのない「萌え系」での表紙。

④ドラッカーがこれを見たら仰天するに違いない。

  2.マネジメントへの関心

(1)この本の最大の功績は、マネジメントへの関心を引き出したこと。

①「マネジメント」という言葉と概念を、平易に解き明かした。

②ドラッカーが伝えようとした「マネジメント」の要諦がここに集約されている。

(2)「マネジメント」に関する真理を伝達するための現代版「たとえ話」である。

①そういう割り切りを持って読めば、否定的言葉を口にしなくてもよくなる。

(3)「マネジメント」の原則は、会社経営にだけ適用されるものではない。

①およそ組織と呼ばれるものなら、いかなるものにも適用される。

②「マネジメント」の要諦は、組織を定義し(目的は何かを明確にし)、顧客を創

造することである。

③そのためには、イノベーション(革新)とマーケティングが必要不可欠となる。

Ⅲ.何が書いてあるか。

  1.みなみが『マネジメント』と出会い、都立高校の野球部を甲子園に連れて行く物語

(1)「野球部を甲子園に連れて行く」という目標。そう決めた。

(2)マネージャー、マネジメントに関する本を探し、『マネジメント』を見つけた。

(3)企業経営の本だが、野球部にも当てはまることを知って、喜んだ。

(4)「マネージャーに必要な根本的資質とは、真摯さである」

(5)組織の定義づけ

  「野球部とは何か?」

  「野球をするための組織か?」。分かり切った答えではだめ。

  顧客の観点から見て、それを定義する。

  「顧客に感動を与えるための組織」

  「顧客とは、高校野球に関心を示すすべての人、組織」

(6)企業の目的は、顧客の創造である。2つの基本的な機能。

  ①マーケティング

  ②イノベーション(革新)

  2.読者がドラッカーに出会う。

(1)著者の岩崎氏の感想。『マネジメント』(1973年、ドラッカー63歳の時の著作)

(2)「そこには、当時のぼくが何よりも求めていたもの…が、分かりやすく、しかも

具体的に書かれていた。…そればかりか、それを超える人間への深い洞察というか、

真理といっては大袈裟かも知れないが、しかし、人間とは、あるいは社会とは何かを

知るうえでとても重要だと思われるいくつかのことがらも、そこには書かれていた。

それに、ぼくは心を揺すぶられた。そうして、涙さえ流れた。感動したのだ。その本

に書かれていたとある一節を読んで、涙があふれて止まらなかった」

(3)ドラッカーの著者が多くに読者に感動を与える理由は、その根底に聖書的世界観

があるからだ。ドラッカーが熱心なクリスチャンであり、教会成長や教会のマネジメ

ントに大いに関心を払い、それに関わっていたことはよく知られている。

Ⅳ.どういう教訓を学ぶべきか。

   1.マネージャーの根本的資質:真摯さ

(1)アブラハムの信仰 創22:1~3

(2)モーセの信仰 出32:31~32

(3)パウロの信仰 ロマ9:1~3

  2.組織の定義:顧客や市場の観点から定義する。

(1)クリスチャン生活、教会という組織を、定義する。

(2)「神の栄光を表すために存在している」

(3)エペ2:8~10

  3.顧客とは誰かを考える。

(1)周りの人々、天の父

(2)マタ5:13~16

(3)自分自身もまた顧客である。

(4)ロマ8:37~39

  4.マーケティング

(1)製品からではなく、顧客の求めからスタートする。

(2)日本の中の心ある人々は、「本物志向」に向かいつつある。

(3)この本は、そのような時代の要請に応えた。

(4)クリスチャンとしてどう応えて行くのかは、私たちの今後の課題である。

①どのように教会を大きくするか、から始めるのではない。

②人々が何を必要としているか、から始める。

  ③潜在的に必要としていたものを、顕在化してあげる。

  5.イノベーション(革新)

(1)この小説では、バントをしない、ボール球を振らせる作戦を取らない、の2点。

(2)ハーベスト・タイムは、今年イノベーションを通過した。

  ①顧客の再定義を行った。

  ②製品の見直しを行った。

(3)パウロは真のイノベーターであった。ロマ15:18~20

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