私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
創世記(56)—ベニヤミンとの再会—
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このメッセージでは...
ヨセフが兄たちを見ている目を通して、キリストが私たちをご覧になっている目を学ぶ。
創世記56 創世記43章1節~34節
「ベニヤミンとの再会」
イントロ:
1.文脈を確認する。
(1)ヨセフと兄たちの和解の物語は、非常に長い(42章~45章まで)。
(2)要約して語ろうかとも思うが、聖書本文はそれを許していない。
①霊的教訓に満ちている。
②ヤコブの一家がエジプトに下る背景を解説している。
(3)ヨセフは、シメオンだけを投獄して、ほかの9人を帰らせた。
①代金は、それぞれの袋に入れておいた。
②ベニヤミンを連れてくるように命じた。
2.前回同様、ヨセフの視点からこの個所を読んでみたい。
(1)神の御心を知っていたヨセフ
①兄たちを赦すことに決めていた。
②和解の前に、兄たちが罪を悔いているかどうかテストする必要がある。
③兄たちは、ヨセフを奴隷に売ったことを深く悔いていた。
④さらなるテストを行う必要がある。
(2)この時点でのヨセフの心理状態
①兄たちはすぐにエジプトに来なかった。何かの議論があるのだろうと推察。
②しかし、彼らは必ず来るとの確信があった。
*来なければ餓死する。
*シメオンを助けるために来る。
*父ヤコブの性質を知っていた。判断力と決断力がある。
(3)兄たちを試す次のテストを用意している。
3.メッセージのアウトライン
(1)2度目のエジプトへの買い出し(43:1~14)
(2)ヨセフの邸宅への招待(43:15~25)
(3)兄たちを試す小テスト(43:26~34)
4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)ヨセフが兄たちを見ている目は、キリストが私たちを見ている目である。
(2)第一義的には、それはキリストがユダヤ人を見ている目である。
(3)ここでは、第二義的適用を行う。
このメッセージは、ヨセフが兄たちを見ている目を通して、キリストが私たちをご覧になっている目を学ぼうとするものである。
Ⅰ.2度目のエジプトへの買い出し(43:1~14)
1.ヨセフは、兄たちの到着が遅れている理由を知らない。類推するだけ。
(1)2度往復できたほどの時間が経過していた。
2.激しい飢饉
(1)主食の麦はないが、乾燥フルーツやナッツ(木の実)などはある。
(2)麦の消費を最大限抑え、なんとか持ちこたえようとする。
(3)しかし、それにも限度がある。
3.ヤコブの要請
(1)再度、9人の息子たちをエジプトに送る。
(2)しかし、ベニヤミンを同行させるつもりはない。
4.ユダの説得
(1)事態の深刻さを父に説く。
①エジプトの宰相は、本気である。
②ベニヤミンを連れていかないなら、あの人に会えない(食糧を買えない)。
③ベニヤミンが行くという条件が満たされたなら、エジプトに下ろう。
(2)ヤコブの不平
①なぜもうひとりの弟がいると言ったのか。
②被害者意識に満ちている。
(3)ユダの答え
①宰相の質問が、極めて具体的だった。
*父はまだ生きているのか。
*弟はいるのか。
②それらの質問に正直に答えた。
③こういう事態になることを、予期していなかった。
(4)保証人ユダ
①長兄ルベンに代わって、ユダが決意を表明する。
②保証人(請負人)になる。
③もしベニヤミンを連れ戻さなかったなら、父に対して生涯その罪を負う。
*ユダが所有している財産は、ヤコブのものになる。
*息子としての相続権を放棄する。
④ユダは、ヨセフを売るように提案した張本人である(創37:26~27)。
*起こったことは取り返すことはできない。
*ヨセフの弟であるベニヤミンの命を救うことに全力を尽くす。
*これは、ユダの罪滅ぼしである。
*彼が本気であることは、後に明らかになる。
5.父イスラエルの決断
(1)イスラエルという名前が使われている。6、8、11節
①42章では、ヤコブという名前が使われていた。
②43章では、彼の新しい名前、イスラエルが使われている。
(2)問題を直視し、それと格闘を始めたので、イスラエルと呼ばれている。
①創世記32:28
「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ」
②信仰者としての祈りの格闘を示す名前である。
③さらに、神がともにいて戦ってくださることを示す名前でもある。
(3)具体的な方策を考え始めている。
①名産を贈り物にする
*この方策は、かつて兄エサウに対して用いたものである。
*6つの産物
乳香、蜜、樹膠、没薬、くるみ(ピスタチオ)、アーモンド
②2倍の銀を持っていく。
*相場が高騰しているかもしれない。
③さらに、返されていた銀も持っていく。
*「それはまちがいだったのだろう」
*信仰による解釈
④それらの用意を整えて、ベニヤミン連れていく。
(4)祈りの言葉
①「全能の神がその方に、あなたがたをあわれませてくださるように」
*「エル・シャダイ」
*「その方」とは、荒々しく語ったエジプトの宰相。
*神は、いかなる人の心も支配しておられる。
②「もうひとりの兄弟とベニヤミンとをあなたがたに返してくださるように」
*シメオンとベニヤミンの帰還を信じる。
③「私も、失うときには、失うのだ」
*あきらめの言葉ではない。
*信仰者の言葉。御心への信頼。
*ルカ22:42
「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください」
6.私たちへの適用
(1)現実逃避から、信仰によって現実を直視する姿勢への変更。
(2)イスラエルとなって、信仰による格闘をする。
(3)最後は、神の御手に委ねる。
Ⅱ.ヨセフの邸宅への招待(43:15~25)
1.兄たちは、ヨセフの前に立った。
(1)贈り物を携え
(2)2倍の銀を持ち
(3)ベニヤミンを伴って
2.ヨセフは彼らを自分の邸宅に招いた。
(1)ベニヤミンを連れてくるという条件が満たされた。
(2)個人的に兄たち、特にベニヤミンをもてなす。
①家の管理者に命じた。
②兄たちを邸宅に案内せよ。
③宴会の準備をせよ。
④自分は、彼らと昼食をともにするから。
3.兄たちは恐れた。
(1)罪人は、善意を悪く解釈する。
①返されていた銀のゆえに、襲われる。
②奴隷として売られる(かつて自分たちがヨセフにしたこと)。
(2)家の入口のところで弁明をする。
①家の管理者に執りなしを期待する。
②袋に入っていた銀を返しに来た。
③食糧を買うための銀を持って来た。
④だれが銀を袋の中に入れたのか、分からない。
(3)管理者の答え
①「安心しなさい」(シャローム・ラヘム)(Peace be with you.)
②すでに清算は終わっている(ヨセフが払っていた)。
③袋の中に宝が入っていたのは、神の摂理(神がヨセフにそのようにさせた)。
④「あなたがたの神、あなたがたの父の神」
*ヨセフによって、イスラエルの神を信じるようになっている。
⑤さらに安心させるために、シメオンを連れて来た。
4.もてなし
(1)家に入ると、水が与えられた。
①足を洗った。
②ろばに飼料が与えられた。
(2)昼食を宰相とともにすると聞かされたので、贈り物を用意しておいた。
Ⅲ.兄たちを試す小テスト(43:26~34)
1.ヨセフとの対面
(1)兄たちは、贈り物を広げ、地にひれ伏して彼を拝した。
①夢の部分的成就
(2)父の安否を気づかうヨセフ
①ベニヤミンを送ることについて大いに心労があったことだろうと推察した。
②贈り物を見て、父の性質が変わっていないことを確認する。
(3)弟のベニヤミンへの語りかけ
①22年ぶりに直接声をかける。
②「わが子よ。神があなたを恵まれるように」
(4)ヨセフは泣いた。
①弟への愛と懐かしさ
②はらわたが熱くなる。
③そのままでいたなら、自分を明かしてしまう。
④奥の部屋:ひとりになれる部屋。泣き声を聞かれる可能性が少ない部屋。
⑤ヨセフは5回泣いている。その2回目である。
(創42:24、43:30、45:1~2、14~15、50:17)
2.豪華な食事
(1)ヨセフは顔を洗い、自分を制して、食事を出させる。
(2)3つの区分
①ヨセフ
②兄たち
③エジプト人たち
(3)その理由
①兄たちとエジプト人の区分は、ヘブル人とエジプト人の区分。
②ヨセフと兄たちの区分は、エジプト人とヘブル人の区分。
③ヨセフとエジプト人の区分は、ヘブル人とエジプト人の区分。
(4)兄たちは、年令順に着座させられた。
(5)客に敬意を示す方法は、主人の食卓から分け前を与えること。
①兄たちに与えられた(通常は2倍)。
②ベニヤミンには5倍も与えられた。
③これは兄たちを試すテストである。ベニヤミンに嫉妬するかどうか。
(6)兄たちは、ヨセフとともに酒を飲み、酔いごこちになった。
①彼らはテストに合格した。
②エジプトの宰相と和解できたとの実感があった。
③久しぶりのごちそうを食べた。
(7)しかし、より厳しい期末試験が近づいていた。
結論:キリストが私たちに教えようとされている教訓
1.代価は支払われている。
(1)兄たちが麦を買った代価は、すでにヨセフが支払っていた。
(2)キリストは、私たちの罪のための代価を支払ってくださった。
コロ 2:14 「いろいろな定めのために私たちに不利な、いや、私たちを責め立てて
いる債務証書を無効にされたからです。神はこの証書を取りのけ、十字架に釘づけに
されました」
Ⅰコリ 6:20 「あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。ですから自分の
からだをもって、神の栄光を現しなさい」
2.宴会に招かれている。
(1)資格のない兄たちが、ヨセフの宴会に招かれた。
①贈り物を持って来たからか。そうではない。
②兄弟だという理由だけで、招かれた。
(2)資格のない私たちが、キリストの宴会に招かれている。
①黙19:7
②マタ22章 礼服を着ていることが条件
3.3区分された食卓
(1)ヘブル人とエジプト人(異邦人)の間に、ヨセフが座っている。
(2)ヘブル人から見ればヨセフはエジプト人。
(3)エジプト人から見ればヨセフはヘブル人。
(4)新しいひとりの人(教会)の予表がある。
4.兄たちを徹底的にテストするヨセフ
(1)和解と赦しは、ヨセフの側の問題ではなく、兄たちの側の問題である。
(2)赦しは神の側の問題ではなく、私たちの側の問題である。
(3)事務的に行うテストではなく、やむにやまれぬテストである。
①自分を明かさないヨセフ
②5回も泣くヨセフ
(4)神の涙を代弁するパウロ
Ⅱコリ
5:20 「こういうわけで、私たちはキリストの使節なのです。ちょうど神が私たちを通して懇願しておられるようです。私たちは、キリストに代わって、あなたがたに願います。神の和解を受け入れなさい」
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