ヨハネの福音書(52)「逮捕されるイエス」ヨハ18:1~11

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イエスはいかなるときにも主権者である。イエスの3つの行為がそれを示している。

ヨハネの福音書(52

逮捕されるイエス

ヨハ18:1~11

1.文脈の確認

(1)前書き(1:1~18)

(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)

(3)イエスの私的奉仕(13:1~17:26)

(4)イエスの受難(18~20章)

  ①イエスの逮捕(18:1~11)

2.注目すべき点

(1)イエスを逮捕しようとする者たちが、ゲツセマネの園にやって来た。

  ①金曜日の真夜中過ぎで、夜明けまではまだ時間がある。

(2)ここから、イエスの逮捕、裁判、十字架刑へと進んで行く。

(3)ユダヤ的背景を考慮しないと、ことの進み方を理解することはできない。

  ①イエスは、口伝律法を破ったという理由で有罪にされる。

  ②しかし、ユダヤ人の指導者自身が口伝律法に違反する。

イエスはいかなるときにも主権者である。

イエスの3つの行為がそれを示している。

Ⅰ.イエスは先手を取られる(1~6節)

1.1節

Joh 18:1  これらのことを話してから、イエスは弟子たちとともに、キデロンの谷の向こうに出て行かれた。そこには園があり、イエスと弟子たちは中に入られた。 

(1)イエスは大祭司の祈りを終えた。

  ①ここから受難物語が始まる。

  ②受難は、イエスの主権的選びの結果起こることである。

(2)「出て行かれた」は、自発的に受難に向かう決意を示す。

  ①キデロンの谷の向こうへ

    *冬の雨が降ると流れる川

    *偶像や死の汚れと結びつくケデロンの谷を越えた。2列23章。

    *罪と死を担うお方の歩みである。

  ②そこには園があった。

    *ゲツセマネの園であるが、ヨハネは「園」とのみ記す。

    *「園」で最初のアダムが堕落し、「園」で最後のアダムが従順を示す。

  ③イエスは弟子たちと中に入られた。

2.2節

Joh 18:2  一方、イエスを裏切ろうとしていたユダもその場所を知っていた。イエスが弟子たちと、たびたびそこに集まっておられたからである。 

(1)イスカリオテのユダは、イエスを銀貨30枚で売り渡した。

  ①これは、1番目の律法違反である。

  ②賄賂がからんだ逮捕は、律法違反である(出23:8参照)。

(2)ユダが必要とされた理由

  ①群衆の目に触れない所でイエスを逮捕する必要があった。

    *ユダは、イエスがそこに来ることを予測し、先導役を果たした。

    *ユダの罪は重い。

    *イエスは逃亡するのではなく、いつもの場所に来られた。

  ②ユダヤ総督ポンテオ・ピラトの前で証言する証人が必要であった。

    *証人がいなければ、ローマ兵の派遣はない。

  ③イエスを裁くローマ法廷において証人が必要であった。

    *その前に、ユダは自殺することになる。

3.3節

Joh 18:3  それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちやパリサイ人たちから送られた下役たちを連れ、明かりとたいまつと武器を持って、そこにやって来た。 

(1)「一隊の兵士」

  ①ギリシア語で「スペイラ」、ローマ軍の「コホルト」である。

  ②通常は400~600人(正式には800人)から成る歩兵部隊。分遣隊か。

  ③これは、ユダがポンテオ・ピラトの前で証言したことを示している。

  ④ピラトは、祭りの期間はカイサリアからエルサレムに上って来ていた。

  ⑤戦闘を想定した重装備で押しかけた。

  ⑥異邦人は、初期の段階からイエスの受難に関与していた。

(2)「祭司長たちやパリサイ人たちから送られた役人たち」

  ①ユダヤ人の下役たち

  ②いわば、神殿の治安を維持する警察官である(temple police)。

(3)ユダは手抜かりなく行動した。

  ①満月であるが、「あかり」と「たいまつ」を用意した。

  ②これは、2番目の律法違反である。日没後に刑事事件を扱ってはならない。

  ③彼らは、世の光である方を、「あかり」と「たいまつ」を持って捜しに来た。

4.4節

Joh 18:4  イエスはご自分に起ころうとしていることをすべて知っておられたので、進み出て、「だれを捜しているのか」と彼らに言われた。 

 (1)イエスは、事態の進展を支配しておられた。

  ①彼らに見つかる前に、自ら進んで姿を現された。

  ②十字架の死は、自発的なものであることが分かる。

  ③とはいえ、ユダやイエスを十字架につけた人たちに罪がないわけではない。

(2)「だれを捜しているのか」は、イエスが逮捕劇を主導していることを示す。

  ①イエスの自発性の現れである。

  ②弟子たちの保護のためである。

  ③羊を守る良き羊飼いの姿

5.5~6節

Joh 18:5  彼らは「ナザレ人イエスを」と答えた。イエスは彼らに「わたしがそれだ」と言われた。イエスを裏切ろうとしていたユダも彼らと一緒に立っていた。 

Joh 18:6  イエスが彼らに「わたしがそれだ」と言われたとき、彼らは後ずさりし、地に倒れた。 

(1)「ナザレ人イエスを」

  ①軽蔑的響きを持った呼称

  ②彼らは、この方が創造主であり、救い主であることを知らなかった。

(2)「それはわたしです」

  ①これは、イエスの神性宣言である。

  ②出3:14、ヨハ8:58

  ③イエスと最も近かった者が、今や敵の列に立っている。

(3)イエスの神性に触れた彼らは、後ずさりし、地に倒れた。

  ①イエスはすべての状況を支配しておられた。

  ②イエスの了解がなければ、彼らはイエスを逮捕することができない。

Ⅱ.イエスは弟子たちを守られる(7~9節)

1.7~8節

Joh 18:7  イエスがもう一度、「だれを捜しているのか」と問われると、彼らは「ナザレ人イエスを」と言った。 

Joh 18:8  イエスは答えられた。「わたしがそれだ、と言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人たちは去らせなさい。」 

(1)2度目のやり取りがあった。

  ①彼らは、「わたしである」というイエスの宣言の意味と力を理解しなかった。

  ②2度目の「わたしがそれだ」は、「わたしがナザレのイエスである」という意味。

  ③イエスは、弟子たちを去らせよと要求した。

(2)受難物語の中に牧者イエスの姿が啓示されている。

  ①イエスの主権(尋問する側から主導する側へ逆転)

  ②弟子を守る愛(ご自分を差し出して守る良い羊飼い)

  ③救済史的意図(将来の使命のための弟子たちの保護)

2.9節

Joh 18:9  これは、「あなたが下さった者たちのうち、わたしは一人も失わなかった」と、イエスが言われたことばが成就するためであった。 

(1)これは、ヨハネによる解説である。

  ①ヨハ17:12

Joh 17:12  彼らとともにいたとき、わたしはあなたが下さったあなたの御名によって、彼らを守りました。わたしが彼らを保ったので、彼らのうちだれも滅びた者はなく、ただ滅びの子が滅びました。それは、聖書が成就するためでした。 

(2)これは、救いの確実性の保証である。

  ①迫害や患難の中でも、救いの完成は揺るがない。

  ②ヨハネ独自の神学的註解である。

Ⅲ.イエスは御父の御心に従順である(10~11節)

1.10節

Joh 18:10  シモン・ペテロは剣を持っていたので、それを抜いて、大祭司のしもべに切りかかり、右の耳を切り落とした。そのしもべの名はマルコスであった。 

(1)ペテロの軽率な行動

  ①彼は、暴力を使用してイエスを救おうとした。

  ②彼は漁師であるが、兵士ではない。

  ③二振りの剣のうちの一つを使った(ルカ22:38)。

(2)大祭司のしもべの右の耳を切り落とした。

  ①マルコスは、大祭司の代理である。

  ②大祭司は、過越の祭りの間、可能な限り汚れに触れることを避けていた。

  ③マルコスの右の耳が切り落された。

  ④理性的理解に基づかない宗教的熱心は、人を過ちに導く。

2.11節

Joh 18:11  イエスはペテロに言われた。「剣をさやに収めなさい。父がわたしに下さった杯を飲まずにいられるだろうか。」

(1)イエスの叱責

  ①イエスは、父から与えられた杯を飲もうとしている。

  ②それを剣で妨害することは許されない。

  ③これは、弟子たちへの預言的警告ともなっている。

(2)ルカ22:51

Luk 22:51  するとイエスは、「やめなさい。そこまでにしなさい」と言われた。そして、耳にさわって彼を癒やされた。 

  ①敵に対するイエスの愛

  ②ペテロに対する守り

(3)「杯」

  ①杯は「父の御怒りの裁き」である。

  ②イエスはその杯を飲むことで人類の罪を贖われた。

  ③ゲツセマネの祈り(マタ26:39)と連続して解釈される。

  ④十字架により、怒りが私たちから取り除かれた。

結論:今日の信者への適用

1.主の主権を認める生き方

(1)イエスは、逮捕の場面を完全に支配しておられた。

(2)私たちにとって、偶然はない。

(3)偶然に見える苦しみの背後にも、神のご計画がある。

2. 良い羊飼いに守られる安心

(1)わたしを捜しているのなら、この人たちは去らせなさい。」 (188)

(2)1712の祈りの成就主にあって「一人も失われない」ことの保証

(3)私たちも、「主が守ってくださる」という確信を持ち続けることができる。

3. 杯を受け入れる従順

(1)イエスは父が与えた杯を飲まれた。神の怒りの杯。

(2)私たちも、神が与える「試練の杯」「使命の杯」を受け取ることが求められる。

(3)御父のご計画を信じ、従順に従う歩みこそが祝福につながる。

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