ヨハネの福音書(18)仮庵の祭りでの教え(1)ヨハ7:10~24

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仮庵の祭りでの教えについて学ぶ。

ヨハネの福音書(18)

仮庵の祭りでの教え(1)

ヨハ7:10~24

1.文脈の確認

(1)前書き(1:1~18)

(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)

  ①公生涯への序曲(1:19~51)

  ②初期ガリラヤ伝道(2:1~12)

  ③最初のエルサレム訪問(2:13~3:36)

  ④サマリア伝道(4:1~42)

  ⑤ガリラヤ伝道の再開(4:43~54)

  ⑥2度目のエルサレム訪問(5:1~47)

  ⑦後期ガリラヤ伝道(6:1~7:9)

  ⑧3度目のエルサレム訪問(7:10~10:42)

    *仮庵の祭りでの教え(7:10~44)

2.注目すべき点

(1)このセクションは、多くの重要な情報を含んでいる。

(2)イエスの本質がより深く啓示されていく。

(3)それと比例して、イエスへの敵意が激しくなっていく。

3.アウトライン :仮庵の祭りでの教え

(1)祭りの雰囲気(7:10~13)

(2)イエスの権威(7:14~24)

(3)イエスの出自と本質(7:25~36)

(4)御霊の約束(7:37~44)

4.結論:7章17節

仮庵の祭りでの教えについて学ぶ。

Ⅰ.祭りの雰囲気(7:10~13)

1.10節

Joh 7:10

しかし、兄弟たちが祭りに上って行った後で、イエスご自身も、表立ってではなく、いわば内密に上って行かれた。

(1)イエスの兄弟たちは、仮庵の祭りを祝うためにエルサレムに上って行った。

  ①彼らは、父なる神のタイムテーブルとは無関係に行動することができた。

(2)イエスは、内密に上って行かれた。

    「しかし、兄弟たちが祭りに上って行った後で、イエスご自身も、人目を避け、ひ

そかに上って行かれた」(共同訳)

  ①イエスは、敬虔なユダヤ人男子として巡礼祭に参加された。

  ②しかし、メシアとして公に姿を現すことは避けた。

  ③イエスは、父なる神のタイムテーブルに従って行動された。

2.11節

Joh 7:11

ユダヤ人たちは祭りの場で、「あの人はどこにいるのか」と言って、イエスを捜していた。

(1)「ユダヤ人たち」とは、ユダヤ人の指導者たちである。

  ①ヨハ1:19、7:13

  ②彼らはイエスを捜していたが、目的はイエスを逮捕し殺すためである。

3.12~13節

Joh 7:12

群衆はイエスについて、小声でいろいろと話をしていた。ある人たちは「良い人だ」と言い、別の人たちは「違う。群衆を惑わしているのだ」と言っていた。

Joh 7:13

しかし、ユダヤ人たちを恐れたため、イエスについて公然と語る者はだれもいなかった。

(1)群衆(ユダヤの住民と巡礼者)の間に、イエスの評価に関する論争があった。

  ①「良い人だ」(メシアだ)

  ②「違う。群衆を惑わしているのだ」(偽のメシアだ)

  ③イエスが「しるし」を行うと、人々は2分されていく。

(2)群衆は、指導者たち(ユダヤ人たち)を恐れた。

  ①イエスはメシアだと公言すれば、逮捕される恐れがある。

    *彼らは、会堂からの追放を恐れた(9:22参照)。

  ②以上の4節は、イエスの教えの背景を説明したものである。

Ⅱ.イエスの権威(7:14~24)

1.14節

Joh 7:14 祭りもすでに半ばになったころ、イエスは宮に上って教え始められた。

(1)仮庵の祭りは、7日間(+1)の祭りである。

  ①祭りが半ばになったころ、イエスは宮に上って教え始めた(マラ3:1参照)。

    *恐らくソロモンの廊であろう。ラビが民衆に教える場所である。

2.15節

Joh 7:15

ユダヤ人たちは驚いて言った。「この人は学んだこともないのに、どうして学問があるのか。」

(1)ユダヤ人たちは驚いた。

  ①イエスは、正式なラビ教育を受けたことがない。

  ②にもかかわらず、学問がある。

    *旧約聖書に精通している。

    *的確な適用を語ることができる。

    *誰にでも分かるように語ることができる。

3.16節

Joh 7:16

そこで、イエスは彼らに答えられた。「わたしの教えは、わたしのものではなく、わたしを遣わされた方のものです。

(1)イエスは、父なる神に栄光を帰す。

  ①自分の手柄にしない。

  ②イエスが語ること、教えることは、すべて父なる神が命じたものである。

(2)イエスの教えは、ラビ的ユダヤ教の教えとは異なる。

  ①ラビ的ユダヤ教の口伝律法が否定された。

4.17節

Joh 7:17

だれでも神のみこころを行おうとするなら、その人には、この教えが神から出たものなのか、わたしが自分から語っているのかが分かります。

(1)イエスの教えが真実なものであるかどうかを判断するのは、容易である。

  ①神の御心を行いたいと心から願う。

    *単に真理を求めるだけでは不十分である。

  ②そうするなら、神はその人に真理を啓示される。

    *神はその人に信仰を与える。

    *信仰があると、イエスの教えが神から出たものであることが分かる。

5.18節

Joh 7:18

自分から語る人は自分の栄誉を求めます。しかし、自分を遣わされた方の栄誉を求める人は真実で、その人には不正がありません。

(1)自分の考えを語る人は、結果的に自分の栄誉を求めることになる。

  ①それを意識している人と、意識していないが結果的にそうなる人がいる。

(2)イエスの場合は、それとは異なる。

  ①イエスは、自分を遣わされた方の栄誉を求める。

  ②それゆえ、イエスの教えは真実である。

  ③イエスには不正はないので、群衆を騙すことはあり得ない。

6.19節

Joh 7:19

モーセはあなたがたに律法を与えたではありませんか。それなのに、あなたがたはだれも律法を守っていません。あなたがたは、なぜわたしを殺そうとするのですか。」

(1)イエスは、ユダヤ人たちを直接的に糾弾する。

  ①ユダヤ人たちは、モーセの律法が与えられていることを誇りとしていた。

  ②しかし、それを実行していなかった。

  ③それどころか、イエスを殺そうとしていた。

  ④無実の者を殺すのは、律法違反である(出20:13)。

7.20節

Joh 7:20

群衆は答えた。「あなたは悪霊につかれている。だれがあなたを殺そうとしているのか。」

(1)群衆は、ユダヤ人の指導者たちの殺意を理解していなかった。

  ①「あなたがたは、なぜわたしを殺そうとするのですか」に反発した。

  ②そして、「あなたは悪霊につかれている」と言った。

    *「ベルゼブルの力によって悪霊どもを追い出している」(共観福音書)

    *ヨハネの福音書では、「悪霊につかれている」である。

    *当時は、パラノイアの原因は悪霊にあるとされていた。

8.21節

Joh 7:21

イエスは彼らに答えられた。「わたしが一つのわざを行い、それで、あなたがたはみな驚いています。

(1)「一つのわざ」とは、ベテスダの池での癒やしである(5章)。

  ①この「しるし」を見た者たちは、みな驚いた。

  ②彼らは、父なる神に栄光を帰すような驚き方はしなかった。

  ③彼らの驚きは、イエスが安息日にこれを行ったことにあった。

(2)この癒しは、ユダヤ人の指導者たちを怒らせた。

  ①この日を起点に、彼らはイエスを殺そうとするようになった。

9.22節

Joh 7:22

モーセはあなたがたに割礼を与えました。それはモーセからではなく、父祖たちから始まったことです。そして、あなたがたは安息日にも人に割礼を施しています。

(1)ユダヤ人たちは、割礼を重視していた。

  ①割礼は、アブラハム契約のしるしである。

  ②割礼は、健康上の理由で与えられたものでもある。

(2)割礼は、父祖たちから始まった。

  ①モーセよりも前のアブラハム、イサク、ヤコブの時代から始まった。

  ②割礼は、モーセの律法の中にも採用された。

  ③ユダヤ人たちは、安息日でも割礼を施していた。

    *生まれて8日目に割礼を施す。

10.23節

Joh 7:23

モーセの律法を破らないようにと、人は安息日にも割礼を受けるのに、わたしが安息日に人の全身を健やかにしたということで、あなたがたはわたしに腹を立てるのですか。

(1)ユダヤ人たちは、安息日にも割礼を施していた。

  ①モーセの律法を破らないためである。

(2)律法への従順が称賛されるなら、恵みのわざはさらに称賛されるべきである。

  ①安息日に人の全身を健やかにするのは、称賛されるべきことである。

11.24節

Joh 7:24うわべで人をさばかないで、正しいさばきを行いなさい。」

(1)ユダヤ人たちの問題点は、うわべで人を裁いていることである。

  ①安息日に癒しを行うのは律法違反であると考えた。

  ②安息日でも、恵みのわざを行うのは素晴らしいという点に気づかない。

結論:7章17節

Joh 7:17

だれでも神のみこころを行おうとするなら、その人には、この教えが神から出たものなのか、わたしが自分から語っているのかが分かります。

1.イエスの教えを信じるためのステップ

(1)単に真理を求めるだけでは不十分である。

(2)神の御心を行いたいと心から願うことが重要である。

(3)そうするなら、神はその人に真理を啓示される。

2.ユダヤ人たちはイエスの資格を問うたが、イエスは聴衆の資格を問うた。

(1)知的分析ではなく、神への従順こそ重要である。

  ①御心を行いたいと心から願う。

  ②そうすると、信仰が与えられる。

  ③結果として、知識が増す。

(2)以上のことは、求道者にとって励みとなり、力となる。

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