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コリント人への手紙第一(19)女のかぶり物11:2~16
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礼拝でのかぶり物から教訓を学ぶ。
コリント人への手紙第一 19回
女のかぶり物
11 :2~16
はじめに
1.文脈の確認
(1)イントロダクション(1:1~9)
(2)教会内の分裂(1:10~4:21)
(3)教会内の無秩序(5~6)
(4)教会からの質問(7~16)
①結婚に関する教え(7:1~40)
②偶像に献げられた肉(8:1~11:1)
③女のかぶり物(11:2~16)
2.注目すべき点
(1)「〇〇についてですが」(ペリ・デ)ということばは出ていない。
①「隣人の祝福のために自分を犠牲にする」という大きな流れは続いている。
(2)パウロは、「女のかぶり物」と「聖餐式」のテーマを取り上げる。
①「かぶり物」の部分は、称賛のことばをもって始まる。
②「聖餐式」の部分は、叱責のことばをもって始まる。
(3)講解説教を語ることの祝福
①難解な箇所でも取り組まないわけにはいかない。
②過去の反省も込めて、しっかりと釈義をしたい。
3.アウトライン
(1)創造の秩序(2~9節)
(2)天使たち(10~12節)
(3)自然の摂理(13~15節)
(4)教会の習慣(16節)
4.結論
(1)礼拝の目標
(2)聖書的性理解
礼拝でのかぶり物から教訓を学ぶ。
Ⅰ.創造の秩序(2~9節)
Ⅰ.2節
1Co 11:2
さて、私はあなたがたをほめたいと思います。あなたがたは、すべての点で私を覚え、私があなたがたに伝えたとおりに、伝えられた教えを堅く守っているからです。
(1)パウロは、称賛のことばをもって、この箇所を始めている。
①彼らは、パウロを覚え、パウロの教えを堅く守っている。
②「伝えられた教え」とは、「使徒たちの教え」である。
*その中には、礼拝でのかぶり物に関する教えも含まれていた。
③新約聖書はまだ完成していなかったが、信者たちは、基本教理は守っていた。
2.3節
1Co 11:3
しかし、あなたがたに次のことを知ってほしいのです。すべての男のかしらはキリストであり、女のかしらは男であり、キリストのかしらは神です。
(1)しかしパウロは、かぶり物について、さらに詳しく教える必要性を覚えた。
①コリント教会は、異教文化の中から救われた人たちが集う若い教会であった。
②ユダヤ人、ギリシア人、ローマ人、その他の人たちがいた。
③信者たちは、それぞれの過去の体験や習慣を教会生活に持ち込んで来た。
(2)パウロは、まず特別啓示を基に教える。
①創造の秩序を基にした教えは、時間と空間を超越した普遍的教えである。
*この教えは、男女に等しく適用される。
*21世紀のクリスチャンにも適用される。
③パウロは、安定的に継続する社会には2つの大きな柱が存在すると教える。
*「かしら」(権威)と「かしらに従う者」(従順)である。
(3)創造の秩序の例が、3つ挙げられる。
①男のかしらはキリストである。
*「かしら」は、ギリシア語で「ケファレイ」である。
*それゆえ、男はキリストの権威に服従する。
②女のかしらは男である。
*女が男の権威に服従するのは、創造の秩序の中で決められたことである。
*この場合は、夫婦関係、親子関係などの男女関係である。
*男と女の役割の違いはあるが、これは優劣の差ではない。
③キリストのかしらは神である。
*三位一体の中にも権威と従順の関係が存在する。
*キリストと神の間には、上下関係はない。
*男と女の間にも、上下関係はない。
3.4節
1Co 11:4男はだれでも祈りや預言をするとき、頭をおおっていたら、自分の頭を辱めることになります。
(1)まず、男に対する教えが語られる。
①正統派のユダヤ人は、礼拝のときだけでなく、常時かぶり物をしている。
②パウロは、ユダヤ的習慣以外の根拠を持ち出している。
③預言をするとは、預言の賜物を行使することである。
*新約聖書が未完だったので、預言の賜物が行使された。
④ローマ人は偶像礼拝の際に、トーガ(一枚布の上着)で頭をおおった。
*大祭司としてのローマ皇帝(アウグストゥス)の像
*頭をおおう男が教会にいたのは、異教の悪影響が及んでいたということ。
(2)4節の解説
①「頭」は、ギリシア語で「ケファレイ」である。
*先ほどの「かしら」と同じ単語である。
② ここでは、「ケファレイ」という単語が、2種類の意味で使われている。
*文字どおりの意味と比ゆ的意味(ことば遊び)
③男が「頭」をおおっていたら、「かしら」を辱めることになるということ。
*かしらであるキリストを隠していることになる。
4.5~6節
1Co 11:5しかし、女はだれでも祈りや預言をするとき、頭にかぶり物を着けていなかったら、自分の頭を辱めることになります。
それは頭を剃っているのと全く同じことなのです。
1Co 11:6
女は、かぶり物を着けないのなら、髪も切ってしまいなさい。髪を切り、頭を剃ることが女として恥ずかしいことなら、かぶり物を着けなさい。
(1)次に、女に対する教えが語られる。
①コリントの神殿娼婦たちは、頭にかぶり物を着けていなかった。
②女のかぶり物は、自分を守るための手段でもあった。
③しかし教会には、自由の行使と称して、かぶり物を着けない女たちがいた。
④女が男に教えることは禁じられた(2テモ2:12)が、祈りと預言は許された。
(2)5節の解説
①ここでも、「ケファレイ」という単語が、2種類の意味で使われている。
*文字どおりの意味と比ゆ的意味(ことば遊び)
②頭にかぶり物を着けない女が辱めているのは、「自分のかしら」(夫)である。
*妻としての立場を越えて行動している。
③かぶり物を着けないなら、髪も切ってしまいなさい。
④それが恥ずかしいことなら、かぶり物を着けるべきである。
5.7~9節
1Co 11:7
男は神のかたちであり、神の栄光の現れなので、頭にかぶり物を着けるべきではありません。一方、女は男の栄光の現れです。
1Co 11:8 男が女から出たのではなく、女が男から出たからです。
1Co 11:9
また、男が女のために造られたのではなく、女が男のために造られたからです。
(1)男は神のかたちであり、神の栄光の現れである(創1:26~27)。
①男が頭にかぶり物を着けると、神の栄光を隠すことになる。
(2)女は男の栄光の現れです。
①女は、男の助け手として創造された。
②男は、男としての使命を果たすための助け手を得た。
③そういう意味で、女は男の栄光の現れである。
④女は、男の権威への服従のしるしとして、かぶり物を着けるべきである。
Ⅱ.天使たち(10~12節)
1.10節
1Co 11:10
それゆえ、女は御使いたちのため、頭に権威のしるしをかぶるべきです。
(1)天使たちは、教会の礼拝に興味を抱き、それを観察している。
①1コリ4:9
1Co 4:9
私はこう思います。神は私たち使徒を、死罪に決まった者のように、最後の出場者として引き出されました。こうして私たちは、世界に対し、御使いたちにも人々にも見せ物になりました。
②1テモ5:21
1Ti 5:21
私は、神とキリスト・イエスと選ばれた御使いたちの前で、あなたに厳かに命じます。これらのことを先入観なしに守り、何事もえこひいきせずに行いなさい。
(2)天使たちは、女が神の教えに従うかどうかを観察している。
①頭にかぶり物を着けないのは、夫の権威に対する反抗である。
②頭にかぶり物を着けないのは、キリストに仕える夫を目立たせる行為である。
③頭にかぶり物を着けないのは、神の命令を軽く扱うことである。
2.11~12節
1Co 11:11
とはいえ、主にあっては、女は男なしにあるものではなく、男も女なしにあるものではありません。
1Co 11:12
女が男から出たのと同様に、男も女によって生まれるのだからです。しかし、すべては神から出ています。
(1)これは誤解への警告のことばである。
①男と女は、相互に依存する関係にある。
②互いに相手に対して優越意識を持ってはならない。
③男と女は、互いに補完し合うことによって、神の栄光を表す。
Ⅲ.自然の摂理(13~15節)
1.13節
1Co 11:13
あなたがたは自分自身で判断しなさい。女が何もかぶらないで神に祈るのは、ふさわしいことでしょうか。
(1)パウロは、一般啓示に基づいて、自分自身で判断せよと教える。
①パウロが取り上げるテーマは、髪の長さである。
②女は、摂理的に長い髪(かぶり物)を与えられている。
③教会の集会でも、その延長として、物理的かぶり物を着けるべきである。
2.14~15節
1Co 11:14
自然そのものが、あなたがたにこう教えていないでしょうか。男が長い髪をしていたら、それは彼にとって恥ずかしいことであり、
1Co 11:15
女が長い髪をしていたら、それは彼女にとっては栄誉なのです。なぜなら、髪はかぶり物として女に与えられているからです。
(1)自然の摂理が教えている。
①男の髪は、相対的に女の髪よりも短い。
②女の髪は、相対的に男の髪よりも長い。
③それは彼女にとっては栄誉である。
*女性であることと、従順であることのしるしとなる。
④髪は、かぶり物として女に与えられている。
Ⅳ.教会の習慣(16節)
1.16節
1Co 11:16
たとえ、だれかがこのことに異議を唱えたくても、そのような習慣は私たちにはなく、神の諸教会にもありません。
(1)パウロの教えは、目新しいものではない。
①神の諸教会がすでに実践してきたことである。
②信者の自由を盾に、教会の集会に混乱をもたらすことは許されない。
③偶像に献げた肉と同じように、個人の自由よりも隣人の祝福が優先される。
④権威に従わない女の存在は、神の教えに対する侮辱である。
結論
1.礼拝の目標
(1)女の役割
①頭にかぶり物を着けることによって、かしらへの従順を表現する。
②これは、創造の秩序への従順である。
③頭にかぶり物を着けないことは、かしらへの挑戦である。
④男を目立たせることによって、キリストを目立たなくさせている。
(2)男の役割
①頭にかぶり物を着けないことによって、かしらへの従順を表現する。
②頭にかぶり物を着けることは、キリストを隠すことである。
③自分が目立つことに興味がある人は、真の礼拝者にはなれない。
(3)天使たちの役割
①礼拝への参加
②礼拝の観察
③神の栄光への関心
2.聖書的性理解
(1)コリントにおけるディオニシウス礼拝
①ギリシア神話の神、ワイン、豊穣、狂乱の祭りを司る神。
②ゼウスとセメレ(ゼウスの愛人)の息子
*正妻ヘラの怒りを避けるために、幼い頃から女装させられた。
③ディオニシウス祭は、神の狂乱を体験する祭りであった。
*奴隷、自由民、貴族などすべての階層が、祝祭に参加した。
*祭りの期間、神の前では全員が平等であるという考えが強調された。
*服装倒錯が礼拝の一部となっていた。
④この悪影響が教会に及んでいる(かぶり物、聖餐式、聖霊の賜物の行使)。
(2)かぶり物のテーマは、聖書的性理解と深く係わっている。
①パウロは、神―キリスト-男―女という創造の秩序を強調した。
②これは、優劣の順序ではなく、役割の違いである。
③創造の秩序の中では、人間には男と女しか存在しない。
④ジェンダーレスの教育や社会を目指すことは、神の意図に反することである。
⑤LGBTをめぐる社会の動向は、家庭と教会を破壊する方向に動いている。
(3)性の聖書的理解ネットワーク「NBUS」
①ナッシュビル宣言(全14条)の第1条
私たちは、神が作った結婚は、性的で、出産を伴い、生涯にわたる契約関係であり、一人の男と一人の女が夫と妻として一つになるものであること、またキリストとその花嫁である教会の間で結ばれた契約に基づく愛を象徴していることに同意する。
私たちは、神が結婚を同性愛、一夫多妻、多夫多妻の関係となるように計画されたという考えを否定する。また、結婚が神の前で結ばれる契約ではなく、単なる人間の契約であるという考えも否定する。
(4)かぶり物を着ける女性は、人間の目には奇異に見えるが、神には喜ばれている。
≪ 補足 ≫ |
1 コリント11:2~16 「女のかぶり物」に関する補足説明
コリント人への手紙第一19回目のメッセージ(3月31日)のタイトルは、「女のかぶり物」(11:2~16)でした。配信後、適用に関する質問を何人かの方々からいただきました。確かに、メッセージの最後に語る適用の部分が情報不足でした。そこで、補足説明を以下のように追加しますので、ご覧ください。私の願いは、このテーマによって分裂や分派が起こらないようにということです。
1 .1コリ11:2~16は、釈義よりも適用のほうが難しい。
(1)真剣に釈義に取り組んだ。
(2)適用に関しては、知恵が必要である。
2 .適用に関して、考慮すべき点がいくつかある。
(1)1コリ11:2~16全体の文脈は、神が創造した秩序への服従である。
①父なる神、キリスト、男、女
②これは上下関係ではなく、役割の違いに基づく秩序である。
(2)かぶり物は、妻が夫の権威に従っていることの象徴である。
①かぶり物とは、帽子ではなくベールである。
②コリントでは、娼婦は、かぶり物を着けないで公の場に出た。
(3)この箇所を基にかぶり物を着ける女性の信仰は、受容されるべきである。
①その女性は、神の命令を真剣に受け止めている方だと類推される。
②特に、既婚者の女性に関しては、そう言える。
(4)内面の実質が伴っていないなら、外面を整えることには、なんの意味もない。
①神は、私たちの外面ではなく、内面を見て喜ばれる。
②妻の役割を果たしていない人がかぶり物を着けても、神は喜ばれない。
(5)かぶり物は、現代の私たちの文化の中では違和感を与える。
①カトリックの修道女やイスラム教徒の女性
②かぶり物を着けようとする女性は、周りの人への影響も考えるべきである。
(6)すべてのことを、愛の原則に基づいて判断する必要がある。
①主の栄光のために与えられている命令を、分派の原因としてはならない。
②愛の関係を確認しながら、互いの信仰を尊重すべきである。
<参考>
動画「Q391 女のかぶり物【3分でわかる!聖書】〈番外編〉」
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