パートⅡ.旧約時代6章 バベルの塔

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大洪水後の世界について学ぶ。

パートⅡ.旧約時代

6
章 バベルの塔

イントロダクション

1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマに沿って聖書を読み解いている。

2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)

(1)サタンは、悪魔の国を造るという目的を達成したかに見えた。

(2)神は、直ちにサタンを滅ぼすこともできたが、そうはしなかった。

(3)神は、創世記3章15節で福音の原型を示された。

3.パートⅡ.旧約時代(4~17章)

4章 カインとアベル

5章 大洪水

(1)サタンは、堕天使と人間の娘の雑婚を推進した。

(2)これは「女の子孫」の誕生を阻止するための策略である。

(3)神の対抗策は、地球を覆う大洪水である。

6章 バベルの塔

(1)大洪水後の人類の反抗

4.アウトライン

(1)ノア契約

(2)ノアの3人の息子たち

(3)バベルの塔事件

大洪水後の世界について学ぶ。

Ⅰ.ノア契約

  
1.大洪水後、新しい人類の歴史が始まる。

(1)大洪水によって、悪魔の国に属する人々は、全員滅びた。

  ①彼らは、箱舟に入らなかった人々である。

(2)神は、ノアの家族8人から新しい人類の歴史を作ろうとされた。

  ①ノアと3人の息子たち、それぞれの妻、合計8人。

  ②人類にやり直しのチャンスが与えられた。

  ③箱舟から出たノアは、家族を【主】への礼拝へと導いた(創8:20)。

Gen 8:20
ノアは【主】のために祭壇を築き、すべてのきよい家畜から、また、すべてのきよい鳥からいくつかを取って、祭壇の上で全焼のささげ物を献げた。

2.洪水後に神がノアと結んだ契約を、ノア契約と言う(創9:1~17)。

(1)ノア契約では、ノアは第2のアダムとしての位置づけにある。

  ①アダムから人類の歴史が始まった。

  ②洪水後は、ノアから人類の歴史が始まる。

(2)神は、ノアとその息子たちに、「生めよ。増えよ。地に満ちよ」と言われた。

  ①アダムに与えられた命令(エデン契約)と同じものである(創1:28)。

Gen 1:28
神は彼らを祝福された。神は彼らに仰せられた。「生めよ。増えよ。地に満ちよ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地の上を這うすべての生き物を支配せよ。」

(3)特筆すべきは、死刑制度の創設である(創9:6)。

Gen 9:6 人の血を流す者は、/人によって血を流される。/神は人を神のかたちとして/造ったからである。

  ①神は、カインを放置したことが人類に悪影響を与えたと判断された。

  ②死刑を認める理由は、「神のかたち」に造られた人間を殺すことは、重罪に 当たるからである。

  ③合法的に死刑を執行するためには、人間政府の存在が必要となる。

  ④死刑制度と人間政府は、人類の堕落傾向に歯止めをかけるための神の方法。

  ⑤また、悪魔の国が広がることを阻止するための神の新しい戦略である。

  ⑥この点を、パウロはロマ書13章で論じている(ロマ13:1~6参照)。

(4)ノア契約のしるしは、虹である(創9:8~17)。

  ①虹は、英語では「レインボウ」で、直訳すると、「雨の弓」となる。

  ②ヘブル語で虹のことを「ケシェット」と言う。

  ③戦いのための弓(武器)を指すことばで、英語の「レインボウ」と似ている。

  ④虹を見たのは、人類の歴史上ノアが最初である。

  ⑤彼は、雲の中に出ている虹を見て、神の契約が真実であることを確認した。

  ⑥虹は、「神が戦いの弓を雲の中に置き、それを平和のしるしとされた」ということを象徴している。

  ⑦ノア契約は、今も有効である(無条件契約。破棄されることなく続いている)。

  ⑧虹が示していること

    *神は真実なお方である。

    *人類を滅亡させるような地球規模の大洪水は起こらない。

Ⅱ.ノアの3人の息子たち

  
1.全人類は、ノアの3人の息子たちから地上に拡がることになった。

(1)彼らの名前は、誕生順に、セム、ハム、ヤフェテと言う。

(2)ある時ノアは、3人の息子たちの将来について預言を語った(創9:25~27)。

Gen 9:25 彼は言った。/「カナンはのろわれよ。/兄たちの、しもべのしもべとなるように。」

Gen 9:26 また言った。/「ほむべきかな、セムの神、【主】。/カナンは彼らのしもべとなるように。

Gen 9:27 神がヤフェテを広げ、/彼がセムの天幕に住むようになれ。/カナンは彼らのしもべとなるように。」

  ①最も祝福されているのは、セムである。

  ②これは、女の子孫(メシア)がセムの家系から出ることを示唆している。

  ③これは、悪魔にとっては、聞き捨てならない重要な情報である。

  ④女の子孫は、ノア→セム→アルパクシャデ→シェラフ→エバル(ヘブル人の父祖)
  →ペレグ→レウ→セルグ→ナホル→テラ→アブラムという家系から出て来る。

2.人類史のこの段階では、全人類は同じルーツを持っていた。

(1)世界の現状は、「人類の調和」より「民族間の対立」の方がより顕著である。

(2)なぜ地上には、さまざまな言語があり、さまざまな民族が存在しているのか。

(3)その原因は、「バベルの塔事件」にある。

Ⅲ.バベルの塔事件

1.この事件の本質は、ニムロデが指導者となって起した神への反抗である。

(1)ノア契約の中で神は、全地に拡がるように命じておられた。

(2)人々はその命令に反して、同じ場所に集まって住むようになった。

   ①悪魔の視点からは、人間が一箇所に集まっている方が管理し易い。

  ②また、悪の影響も短時間で拡散する。

(3)人々は、アララテ地方(アルメニアとトルコ)からシヌアルの地へ移動した。

  ①シヌアルの地とは、バビロンのことである。

  ②彼らは、耕作に適した地を見つけ、そこに定住した。

  ③全人類は同一言語を用いていた。

  ④大プロジェクトを容易に実行することができた。

  ⑤シヌアルの地に定住した人々は、レンガを作って、建材として利用した。

  ⑥さらに、モルタルの代わりに瀝青(アスファルト)を用いるようになった。

(4)しばらくすると、彼らはこう言い始めた(創11:4)。

Gen 11:4
彼らは言った。「さあ、われわれは自分たちのために、町と、頂が天に届く塔を建てて、名をあげよう。われわれが地の全面に散らされるといけないから。」

  ①バベルということばの意味は、「神の門」である。

  ②「天に届く塔」を建てようとした理由は、占星術を行うためである。

    *彼らは、神の領域に届こうとしたのである。

    *ここには、誤った宗教の原型がある。

  ③この塔は、新しい宗教を創設する目的で建てられたものである。

  ④その指導者であるニムロデは、バビロンの主神であるマルドゥクになった。

    *マルドゥクは、メロダクやベルと呼ばれている(エレ50:2)。

  ⑤人々は、「名をあげよう」という野望を抱いた。

  ⑥野望は、人間中心主義、傲慢、プライドなどから出てくる根本的な罪である。

⑦人々が塔を建てた理由は、神が与える領土区分を拒絶し、自らの計画でそれを選ぼうとしたことにある。

2.神の裁き

(1)創11:5

Gen 11:5 そのとき【主】は、人間が建てた町と塔を見るために降りて来られた。

  ①擬人法を用いて神の行動と思いを、風刺(皮肉)的に表現している。

  ②神は人類の状態に関心を持っておられるが、人類は余りにも小さい存在。

  ③いかに高い塔を建てたとしても、神は、それを見るために降りて来なければならない。

  ④人が神の高みに届くことは不可能。そう考えること自体が傲慢である。

(2)神は、人類が悪事を企むのは、同一言語を話すからだと判断された。

  ①塔を建てたのは反抗の始まりに過ぎない。

  ②これを皮切りに、あらゆる種類の反抗が起こってくるに違いない。

  ③問題を解決するためには、ことばの混乱をもたらす必要がある。

  ④そこで神は、地上にことばの混乱をもたらされた。

(3)ことばが通じなくなった人々は、言語グループごとに散らされて行った。

  ①これが、多言語と多民族が誕生した経緯である。

  ②「バベル」という名前の背後には、ことば遊びがある。

  ③「散らす」という意味と「神の門」という意味がある。

  ④さらに、「バラル(混乱させる)」ということばとも似ている。

  ⑤「バベル」は、「神の門」が「混乱の門」になったことを示している。

まとめ

(1)この段階で、人類は誤った宗教を作り出した。

(2)また、道徳的堕落も際限なく進むようになった(ロマ1:18~32参照)。

(3)神の国に対する悪魔の攻撃が、効果を発揮しているかのように見え始めた。

(4)神の対抗策は、アブラムの召しである。

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