60分でわかる旧約聖書(18)ヨブ記

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ヨブ記を通して、人生における試練の問題について学ぶ。

60 分でわかる旧約聖書( 18 )「ヨブ記」

1.はじめに

(1)有名ではあるが、敬遠される書である。

①これは文学書(詩の形式で書かれた書)である。

*ヨブ記、詩篇、箴言、伝道者の書、雅歌

*対句法に特徴がある。

*1~2章とエピローグ(42:7~17)だけが散文で書かれている。

②中近東(オリエント)の人々の考え方が表現されている。

③神が支配される世界になぜ苦難が存在するのかという難問を扱っている。

 

(2)ヨブという人物

①彼は、歴史上の実在の人物である。

②エゼ14:14~20に、ノアとダニエルとヨブの名が登場する。

③彼は、神を恐れる裕福な人で、隣人への憐れみも持っていた。

④彼が住んだ年代は、族長時代である。

*彼がユダヤ人だという明確な表現が出てこない。

*出エジプトの出来事やモーセの律法への言及がない。

*ヨブは、家庭の中で祭司の役割を果たしている。

 

(3)著者

①不明

②モーセ、エズラ、ソロモン、ヨブ、エリフ

(4)書かれた年代

①族長時代かソロモン時代

②知恵文学の形式なので、ソロモン時代が有力(口伝の情報が残されていた)

 

2.メッセージのアウトライン

Ⅰ.ヨブの試練(1~2章)

1.繁栄(1:1~5)

2.試練(1:6~2:13)

 

Ⅱ.ヨブと友人たちの論争(3~37章)

1.第1ラウンド(3~11章)

2.第2ラウンド(12~20章)

3.第3ラウンド(21~37章)

 

Ⅲ.ヨブの解放(38~42章)

1.神はヨブを謙遜にさせる(38:1~42:6)

2.神はヨブを祝福する(42:7~17)

3.結論:ヨブ記のテーマは何か。

 

ヨブ記を通して、人生における試練の問題について学ぶ。

Ⅰ.ヨブの試練( 1 3 章)

1.繁栄(1:1~5)

(1)1:1~3

「ウツの地にヨブという名の人がいた。この人は潔白で正しく、神を恐れ、悪から

遠ざかっていた。彼には七人の息子と三人の娘が生まれた。彼は羊七千頭、らくだ

三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭、それに非常に多くのしもべを持っていた。

それでこの人は東の人々の中で一番の富豪であった」(1~3節)

①ヨブが住んでいたのは、ウツの地である。

②そこがどこかは分からないが、エドム(死海の南東)だと考える人もいる。

③ヨブは神を恐れる信仰者で、悪から遠ざかっていた。

④7人の息子と3人の娘が与えられていた。

⑤多くの家畜を所有し、その世話をするしもべたちも多くいた。

 

(2)1:4~5

①ヨブは、家族のために祭司の役割を果たしていた。

②彼は、7人の息子たち一人ひとりのために、全焼のいけにえを捧げた。

 

2.試練(1:6~2:13)

(1)1:6~11

①話は、天での場面に移行する。

②ある日、神の子ら(天使たち)が神の前に立った。

③そこに、サタンも同席していた。

*サタンとはヘブル語で「糾弾する者」という意味である。

④【主】はサタンに対して、ヨブの信仰と忠実な歩みを自慢された。

⑤サタンは、ヨブが神を恐れる理由は、神が彼を祝福したからだと反論した。

⑥その祝福が取り去られたなら、ヨブは神をのろうに違いないと挑戦した。

 

(2)1:12

①神はサタンに、ヨブの持ち物を奪ってもよいという許可を与えた。

②ヨブの健康を打つことは、許可されなかった。

③神がこの許可を与えた理由は、神のご性質に対する攻撃を排除するため。

④もうひとつの理由は、ヨブにさらなる霊的真理を学ばせるためである。

 

(3)1:13~22

①シェバ人の襲撃があり、牛500くびき、雌ロバ500頭が奪われた。

②雷が落ち、羊7千頭が焼け死に、多くのしもべたちも死んだ。

③カルデヤ人が3組になってらくだ3千頭奪い、多くのしもべたちを殺した。

④兄の家で食事をしていた時、大風が吹いて家が倒壊した。

*その結果、7人の息子と3人の娘たちが死んだ。

⑤ヨブの信仰の言葉

「私は裸で母の胎から出て来た。また、裸で私はかしこに帰ろう。【主】は与

え、【主】は取られる。【主】の御名はほむべきかな」(20~22節)

⑥ヨブは、この悲劇のゆえに神をのろったりはしなかった。

⑦サタンの予告通りには、ならなかった。

 

(4)2:1~6

①場面は再度天に戻る。

②【主】はサタンに、ヨブのことを自慢された。

③サタンの反論

*ヨブは子どもたちの命を犠牲にして、神から命を救ってもらった。

*ヨブが神を礼拝している理由は、健康が守られているからだ。

*もし肉体が病めば、ヨブは信仰を失くし、神を呪うに違いない。

④【主】は、サタンがヨブの肉体を打つことを許可された。

⑤ただし、命を奪うことは禁じられた。

⑥許可した理由は、ヨブが神を呪うことは決してないと知っておられたから。

 

(5)2:7~13

①7~8節

「サタンは【主】の前から出て行き、ヨブの足の裏から頭の頂まで、悪性の

腫物で彼を打った。ヨブは土器のかけらを取って自分の身をかき、また灰の中

にすわった」(7~8節)

②誰が見ても、ヨブは落ちぶれ、悲惨な状態に置かれた。

③彼の妻は、「神をのろって死になさい」と言った。

④これは、サタンが語った言葉と同じである。

⑤しかしヨブは、罪を犯すようなことを口にしなかった。

⑥3人の友人たちが来て、ヨブを慰めようとした。

*全員が知者として知られていた。

⑦彼らは、7日7夜沈黙した。

 

Ⅱ.ヨブと友人たちの論争( 4 37 章)

1.第1ラウンド(3~11章)

2.第2ラウンド(12~20章)

3.第3ラウンド(21~37章)

(1)ヨブと友人たちの論争は、3ラウンド繰り返される。

①ヨブが口を開いて嘆きの言葉を語る。

②最初の友人がそれを糾弾する。

③ヨブがその糾弾に反論する。

④次の友人がその反論を糾弾する。

⑤ヨブは再び反論する。

⑥最後の友人が、ヨブの反論を糾弾する。

*彼ら全員が、ヨブを偽善者と見ている。

 

(2)3人の友人たちの三段論法

①すべての苦難は罪に対する裁きである。

②ヨブは苦しんでいる。

③それゆえ、ヨブは罪人である。

 

(3)テマン人エリファズ

①テマン出身(エドムのテマン)で最年長者である。

②夜に与えられた「霊的体験」が彼の意見の土台にある。

 

(4)シュアハ人ビルダデ

①過去の教えを重んじる伝統主義者である。

②過去の賢人たちの教えが、彼の意見の土台にある。

 

(5)ナアマ人ツォファル

①教条主義者である。

②自分は誰よりも神のことを知っていると自負している。

(6)最後に、それまで沈黙していた若者が口を開く。エリフである。

①彼は、神は時には義人を訓練することがあると主張する。

②それゆえ、ヨブは神に従い、神を信頼すべきだと勧告する。

③最もまともな意見であるが、依然として裁きの目でヨブを見ている。

④後に神が現れた時、神はエリフの言葉を無視しておられる。

 

Ⅲ.ヨブの解放( 38 42 章)

1.神はヨブを謙遜にさせる(38:1~42:6)

(1)神のスピーチ

①ヨブがあれほど願っていた神との対面が実現する。

②神からの語りかけは、ヨブが想像していたものとは全く異なる。

③神はヨブの問いに答えることはせず、逆にヨブに質問を投げかける。

④神は、苦難の意味や目的を説明することはせず、ご自身に論争を挑もうとす

るヨブの傲慢な姿勢を糾弾される。

⑤回答不可能な質問を70以上も投げかけ、ご自身の偉大さを啓示される。

⑥神は、ヨブと対面することによって、ヨブを見捨てていないことを示される。

 

(2)ヨブの応答

「あなたには、すべてができること、あなたは、どんな計画も成し遂げられること

を、私は知りました。知識もなくて、摂理をおおい隠す者は、だれか。まことに、

私は、自分で悟りえないことを告げました。自分でも知りえない不思議を。さあ聞

け。わたしが語る。わたしがあなたに尋ねる。わたしに示せ。私はあなたのうわさ

を耳で聞いていました。しかし、今、この目であなたを見ました。それで私は自分

をさげすみ、ちりと灰の中で悔いています」(42:1~6)

 

2.神はヨブを祝福する(42:7~17)

(1)叱責を受ける3人の友人たち(42:7~9)

①神は3人の友人たちに対して怒りを表明された。

②彼らがヨブのように、神について真実を語らなかったからである。

③彼らは、自分たちは神を弁護していると思っていましたが、実は神について

偽りを並べ立てていたのである。

④彼らの間違いは、苦難は常に罪の結果であると主張したところにある。

⑤彼らは、神が苦難を別の目的のために用いることもあるという可能性を排

除した。

⑥神は彼らに、全焼のいけにえを捧げるように命じた。

*雄牛7頭、雄羊7頭は大量のいけにえである。

⑦さらに、ヨブに仲介者になってもらい、執りなしの祈りをしてもらえという。

⑧彼らは一度もヨブのために祈ることはしなかったが、ここでヨブが、彼らの

ために執りなしの祈りを捧げるというのである。なんという皮肉か。

 

(2)エピローグ(42:10~17)

①ヨブは健康を回復し、2倍の財産を与えられた。

②親戚や友人たちが、すべて彼の家に招かれ食事をともにした。

③ヨブは、前半生よりも後半生により多くの祝福を受けた。

④この物質的祝福は、義なる行為へのご褒美ではなく、神の恵みの現れである。

⑤息子と娘を失った悲しみは、部分的に癒された。

*新たに、息子7人と娘3人が与えられた。

⑥ヨブはさらに140年生きた。

⑦ユダヤの伝承では、ヨブはおよそ70歳で試練に会い、その後210歳まで生

きたとされている。

⑧ヨブは、4代目の子孫を見るほどの長寿を全うした。

 

結論:ヨブ記のテーマは何か。

1 .一般の認識

1 )人生にはなぜ苦しみがあるのか。

2 )善良な人がなぜ苦しむのか。

3 )神が愛なら、なぜ悲劇が起こるのか。

4 )しかし、ヨブ記にその答えを求めても、答えはない。

 

2 .正しい理解

1 )神はいかなる場合でも主権者であり、ご自身の行動について人間に説明する

必要はない。

2 )信者にいかなることが起ころうとも、それは最善の結果につながる。

3 )苦しみに会ったとき問うべきは、「なぜ」ではなく、「では、いかに生きる

べきか」である。

4 )ヤコ 5 11

「見なさい。耐え忍んだ人たちは幸いであると、私たちは考えます。あなたがた

は、ヨブの忍耐のことを聞いています。また、主が彼になさったことの結末を見た

のです。主は慈愛に富み、あわれみに満ちておられる方だということです」

①ヨブはこの苦しみを通して、より深く神と交流できるようになった。

5 )義人が理由なく苦しむ例

①神の御子の苦しみ

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