ローマ人への手紙(55)—執筆の目的—

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このメッセージでは...

パウロの心を学ぶ。
チャート「神の義の啓示」

「執筆の目的」

1.はじめに

  (1)文脈の確認

①14:1~15:13は、雑多な問題を扱っている。

②裁き合わないで心をひとつにして、神をたたえる。

③これが、神の栄光につながる。

    (2)今回から、「結論」に入る。

    ①執筆の目的(15:14~21)

    ②パウロの将来の計画(15:22~33)

    ③賛美と警告(16:1~27)

  (3)パウロの心を知らなければ、ロマ書を理解することはできない。

    ①きょうの箇所では、召命に対する使命意識を理解する必要がある。

    (例話)ゴルフ場でアルバイトをした人の例話。今の仕事をいかにすべきか。

  2.アウトライン

    (1)ローマ教会の評価(14節)

    (2)使徒としての使命(15~16節)

    (3)使徒としての誇り(17~19節)

    (4)使徒としての奉仕の原則(20~21節)

  3.メッセージのゴール

(1)ローマ教会と私たち

(2)アブラハム契約とパウロ

(3)使徒的使命と私たち

このメッセージは、パウロの心を学ぼうとするものである。

Ⅰ.
ローマ教会の評価(14節)

  1.この手紙を受け取った側の反応

    (1)パウロとローマ教会の関係

      ①パウロはこの教会の設立者ではない。

      ②パウロはこの教会を訪問したことがない。

  ③その教会に、長い手紙を書いた。

    (2)長い手紙が会衆の前で読み上げられる。

      ①自分たちがすでに教えられ、知っている内容が書かれている。

      ②パウロは、自分たちの信仰や霊的状態を疑っている。

      ③少なくとも、高くは評価していない。

    (3)パウロは非常に敏感で、他者への配慮に富んだ人である。

  ①パウロはローマ教会の中に人脈を持っていた(16章)。

  ②ローマ教会を高く評価していた。

  2.14節

  「私の兄弟たちよ。あなたがた自身が善意にあふれ、すべての知恵に満たされ、また互い

に訓戒し合うことができることを、この私は確信しています」

  (1)「さて、わたしの兄弟たちよ」(口語訳)は、よい訳である。

    ①英語では、「And」であるが、「Now」の方がいい。

    ②ここから話題が変わる。結論に入って行く。

  (2)ローマ教会の3つの特徴(完ぺきということではない)

    ①「善意にあふれ」

     「善意に満ち」(新共同訳)

*新生した人の特徴である。

    ②「すべての知恵に満たされ」

     「あらゆる知識で満たされ」(新共同訳)

*信仰に関する基本的知識がある。

    ③「互いに訓戒し合うことができる」

     「互いに戒め合うことができる」(新共同訳)

*裁き合うことではなく、教え合うこと。

  (3)以上の3点は、パウロの確信である。

    ①では、なぜこの手紙を書く必要があったのか。

    ②使徒的使命がその動機になっている。

Ⅱ.使徒としての使命(15~16節)

  1.15節

  「ただ私が所々、かなり大胆に書いたのは、あなたがたにもう一度思い起こしてもらうた

めでした」

「記憶を新たにしてもらおうと、この手紙ではところどころかなり思い切って書きました」

(新共同訳)

  (1)「かなり大胆に」という言葉に、強調がある。

    ①パウロの性格から来るもの

    ②話題の重要性から来るもの

  (2)「所々」とは、どの箇所か。

    ①ロマ書9~11章

    ②ロマ書12:1~15:13

  (2)目的は、学んだことの再確認にある。

    ①ローマの信徒たちはすでに知っていた。

    ②知っていることを、もう一度思い起こすため。

2.16節

「それも私が、異邦人のためにキリスト・イエスの仕え人となるために、神から恵みをい

ただいているからです。私は神の福音をもって、祭司の務めを果たしています。それは異

邦人を、聖霊によって聖なるものとされた、神に受け入れられる供え物とするためです」

  (1)パウロが大胆になれたのは、神からの恵みをいただいているからである。

    ①使徒の条件は、主イエスの洗礼から召天までともに働き、目撃したということ。

    ②パウロは、いわば部外者であった。

    ③恵みのゆえに、復活のキリストに出会い、使徒としての召命を受けた。

    ④しかも、異邦人のための使徒として召された。

    ⑤ロマ11:13

    「そこで、異邦人の方々に言いますが、私は異邦人の使徒ですから、自分の務め

を重んじています」

⑥ローマ教会は異邦人中心の教会である。そこに手紙を書くのは当然である。

  (2)「仕え人」

    ①ギリシア語で「レイトゥルゴス」である。

    ②本来は、公の仕事をする人。今でいう公務員。

    ③新約聖書では、宗教的意味が加わる。祭司のこと。

    ④ヘブ8:2は、この言葉を大祭司イエスに適用している。

    「人間が設けたのではなくて、主が設けられた真実の幕屋である聖所で仕えてお

られる方です」

    (3)「祭司としての務めを果たしています」

  ①この認識が、ロマ書執筆の背景を理解する鍵である。

      ②祭司は、神に供え物をすることが使命である。

      ③異邦人を救いに導くことが、比ゆ的に「供え物とする」ということ。

      ④新生した異邦人は、聖霊によって聖なるものとされた。

      ⑤神は、そのような供え物を受け入れてくださる。

Ⅲ.使徒としての誇り(17~19節)

  1.17節

  「それで、神に仕えることに関して、私はキリスト・イエスにあって誇りを持っているの

です」

  (1)彼は、異邦人の使徒であることに誇りを持っている。

    ①個人的なプライドではない。

②「キリスト・イエスにあって」というのがキーワードである。

  (2)2コリ3:5

  「何事かを自分のしたことと考える資格が私たち自身にあるというのではありません。

私たちの資格は神からのものです」

  2.18~19節a

  「私は、キリストが異邦人を従順にならせるため、この私を用いて成し遂げてくださった

こと以外に、何かを話そうなどとはしません。キリストは、ことばと行いにより、また、

しるしと不思議をなす力により、さらにまた、御霊の力によって、それを成し遂げてくだ

さいました」

  (1)「異邦人を従順にならせるため」

①異邦人が福音を聞き、信仰に導かれることを指す。

(2)パウロの成功は、内住のキリストの力によるものである。

    ①「ことばと行い」とは、パウロの「ことばと行い」である。

      *「ことば」とは、福音のメッセージである。

      *「行い」とは、福音伝達という行動である。

      *神とパウロとは、同労者であった。

    ②「しるしと不思議をなす力」

     「しるしや奇跡の力」(新共同訳)

    *「しるし」とは、超自然的現象のこと。神学的意味を示す。

      *「不思議」とは、結果としての驚きに強調点がある言葉。

      *以上の2つは、使徒職に付随した奇跡である。

  (3)「御霊の力によって」

    ①以上のことすべてが、聖霊の力によってなされた。

19節b

「その結果、私はエルサレムから始めて、ずっと回ってイルリコに至るまで、キリストの

福音をくまなく伝えました」

  (1)エルサレムからイルリコまで

    ①パウロの伝道は、アンテオケ教会から始まっている。

    ②パウロは、エルサレム教会の優位性を認めている。

    ③イルリコとは、現在のユーゴスラビア(2003年、「セルビア・モンテネグロ」)

④約2,400キロ

    (2)「くまなく」

      ①パウロの戦略は、主要都市で伝道すること。

      ②距離的に見ても、大いなる成果である。

Ⅳ.使徒としての奉仕の原則(20~21節)

  1.20節

  「このように、私は、他人の土台の上に建てないように、キリストの御名がまだ語られて

いない所に福音を宣べ伝えることを切に求めたのです」

  (1)「他人の土台の上に建てない」

    ①これは、パウロのエゴやプライドではない。

    ②宣教が少しでも早く進むためである。

    ③ローマ教会と関係を築こうとしているのは、スペイン伝道のためである。

2.21節

「それは、こう書いてあるとおりです。『彼のことを伝えられなかった人々が見るようにな

り、聞いたことのなかった人々が悟るようになる』」

  (1)イザ52:15からの引用

    ①苦難のしもべの預言(メシア預言)

    ②イザ52:13~15

    「見よ。わたしのしもべは栄える。彼は高められ、上げられ、非常に高くなる。

    多くの者があなたを見て驚いたように、──その顔だちは、そこなわれて人のよ

うではなく、その姿も人の子らとは違っていた──そのように、彼は多くの国々

を驚かす。王たちは彼の前で口をつぐむ。彼らは、まだ告げられなかったことを

見、まだ聞いたこともないことを悟るからだ」

    (2)パウロは、自分の宣教をこのメシア預言の成就としてとらえていた。

      ①未伝地区への伝道を主体に考えていた。

      ②それゆえ、ローマにも行けなかったのだ。

結論:

  1.ローマ教会と私たち

    (1)成長した教会の3つの特徴

    ①道徳的特徴

     「善意にあふれ」

    ②知的特徴

     「すべての知恵に満たされ」

    ③機能的特徴

「互いに訓戒し合うことができる」

*裁き合うことではなく、教え合うこと。

*これは、公の場ではなく、日常生活におけることである。

*教えることは、一人の人の独占ではない。

*学ぶ必要のない人は、いない。

*教えるものを何一つ持っていない人も、いない。

*ネットワーク時代の交わりの危険性

  2.アブラハム契約とパウロ

    (1)パウロの使命意識

      ①異邦人のための使徒として召された。

      ②イザ52:15のメシア預言の成就にかかわっているとの意識


  ③王の使者、先駆者(herald)

        *町々を巡り、王の言葉だけを伝達する者

    (2)アブラハム契約との関係

      ①創12:3

      「あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。

地上のすべての民族は、あなたによって祝福される」

②出19:6

「あなたがたはわたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる。これが、イスラ

エル人にあなたの語るべきことばである」

③パウロは、異邦人の使徒として、ユダヤ民族が果たしてこなかった使命を果た

している。

  3.使徒的使命と私たち

    (1)パウロが、他の人の土台の上に建てないと語った理由

      ①少しでも早く、福音を伝えるため

      ②使徒職は、本来、土台作りであって、他人の土台の上に建てることではない。

      ③エペ2:20

      「あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエ

スご自身がその礎石です」

    (2)私たちは、すでに据えられた土台の上に建てるのである。

      ①パウロに啓示された奥義は、私たちの信仰の土台である。

      ②エペ3:6

      「その奥義とは、福音により、キリスト・イエスにあって、異邦人もまた共同の

相続者となり、ともに一つのからだに連なり、ともに約束にあずかる者となると

いうことです」

③信仰生活のゴールは、多様性(ユダヤ人と異邦人)の中で調和を求め、ともに

神をたたえること。

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