ローマ人への手紙(22)—聖化の土台:キリストとの一体化—

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このメッセージでは...

聖化の土台について学ぶ。
チャート「神の義の啓示」

「聖化の土台―キリストとの一体化」

1.はじめに

(1)ここから「聖化」についての議論に入る(6:1~8:17)。

(2)聖書が教える「救い」に関する復習:3種類の説明法

    第1の説明法

  ①義認:罪責からの解放

  ②聖化:罪の力からの解放

    ③栄化:救いの完成。聖化の完成。

    第2の説明法

    ①義認:過去形の救い。一度限りの出来事。

    ②聖化:現在進行形の救い。

    ③栄化:未来形の救い。

    第3の説明法

    ①義認:神の義の転嫁

    ②聖化:神の義の賦与

    ③栄化:義なる神との一致

  (3)学びの重要性(福音派の教会には、往々にして学びの軽視が見られる)

    ①神学校に行くと、信仰がなくなる。

    (どういう内容の学びをするかが問題である)

    ②自分は、聖書以外は読まない。

    (過去の学びの成果を否定する態度である)

    ③学びよりも、愛の実践が重要である。

    (不可能なことを命じる結果になる)

    ④日本の教会に最も必要なことは、基本的教理の学びと実践である。

2.メッセージのアウトライン

(1)予想される質問(1節)

(2)回答:神学的議論(2~11節)

(3)真理の適用(12~14節)

3.メッセージのゴール

  (1)他のパウロ書簡との比較(3つの聖句を選ぶ)

  (2)聖化の教理の大枠の理解

このメッセージは、聖化の土台について学ぼうとするものである。

Ⅰ.予想される質問(1節)

1.1節

「それでは、どういうことになりますか。恵みが増し加わるために、私たちは罪の中にと

どまるべきでしょうか」

  (1)「それでは、どういうことになりますか」

    ①義認の議論から聖化の議論に移ったことを示す。

    ②読者の注意を喚起する。

  (2)「恵みが増し加わるために、私たちは罪の中にとどまるべきでしょうか」

    ①「Shall we continue in sin that grace may abound?」(NKJV)

    ②ここでの動詞は、現在形である。

    ③罪の中にとどまるとは、習慣的に罪を犯し続けること。

  2.その質問が予想される理由は、ロマ5:20にある。

  「律法が入って来たのは、違反が増し加わるためです。しかし、罪の増し加わるところに

は、恵みも満ちあふれました」

  (1)罪が増せば、恵みも増す。

    ①パウロは、義認は信仰により、恵みによると説いた。

    ②「福音の3要素+0」で人は救われる。

    ③一度救われた人が、救いを失うことはない。

  (2)ならば、罪にとどまり続ける方が、恵みが増すのではないかという質問が出る。

    ①自分のしたいことをし続ければよいではないか、という疑問。

    ②恵みによる救いを説けば、昔も今も、必ずこの質問が出てくる。

    (例話)私が数年前に受け取ったある手紙。無条件の救いを否定する内容。

  (3)パウロは、「罪が増せば、恵みも増す」という真理は否定していない。

    ①彼が否定しているのは、恵みを放縦な生き方をする口実にすること。

Ⅱ.回答:神学的議論(2~11節)

  1.2節

  「絶対にそんなことはありません。罪に対して死んだ私たちが、どうして、なおもその中

に生きていられるでしょう」

  (1)「絶対にそんなことはありません」

    ①最も強い否定形(メイ・ゲノイト)

   ②ロマ3:4、6、31にすでに出て来た。

 (2)私たちはすでに死んだのだ。

   ①罪に対して死んだ。

   ②死んだ者は、棺桶を空けて動き出すことはない。この世の事項には反応しない。

   ③それと同じように、死んだ人は罪の影響を受けることはない。

   ④私たちが死んだと言える理由は、キリストとの一体化があるから。

  2.3~4節

  「それとも、あなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスにつくバプテスマを受け

た私たちはみな、その死にあずかるバプテスマを受けたのではありませんか。私たちは、

キリストの死にあずかるバプテスマによって、キリストとともに葬られたのです。それは、

キリストが御父の栄光によって死者の中からよみがえられたように、私たちも、いのちに

あって新しい歩みをするためです」

  (1)「それとも、あなたがたは知らないのですか」

    ①もちろん、知っているはずだ。

    ②教理的にも、体験的にも。

  (2)「イエスにつくバプテスマ」

    ①信じた時に受けた聖霊のバプテスマ

    ②バプテスマの基本的意味は、一体化である。

    ③聖霊のバプテスマによって、私たちはキリストと一体化させられた。

  (3)キリストに起こったことは、私たちにも起こった。

    ①キリストは、十字架について死んだ。私たちも死んだ。

    ②キリストは、墓に葬られた。私たちも葬られた。

    ③キリストは、復活した。私たちも復活した。

      *私たちには新しい命があり、新しい歩みがある。

3.5~7節

「もし私たちが、キリストにつぎ合わされて、キリストの死と同じようになっているのな

ら、必ずキリストの復活とも同じようになるからです。私たちの古い人がキリストととも

に十字架につけられたのは、罪のからだが滅びて、私たちがもはやこれからは罪の奴隷で

なくなるためであることを、私たちは知っています。死んでしまった者は、罪から解放さ

れているのです」

  (1)「私たちの古い人」

    ①古い罪の性質

    ②アダムにつながっていた時の私たち

    ③古い罪の性質を宿していた私たちは、死んだ。

  (2)「死んでしまった者は、罪から解放されているのです」

    ①死んだ古い性質は、私たちの上に支配権を振う権利がなくなった。

    ②信者でも罪の誘惑を感じることがある。

    ③しかし、罪の性質は私たちに罪を犯せと要求する権利はない。

    ④未信者の時は、いかなる善行を行っても、罪の支配下にあった。

    ⑤信者は、罪を犯すことがあるかもしれないが、犯す必要はない。

  (例話)DVのために、必死になって離婚を勝ち取った女性が元の夫に出会った時

4.8~10節

「もし私たちがキリストとともに死んだのであれば、キリストとともに生きることにもな

る、と信じます。キリストは死者の中からよみがえって、もはや死ぬことはなく、死はも

はやキリストを支配しないことを、私たちは知っています。なぜなら、キリストが死なれ

たのは、ただ一度罪に対して死なれたのであり、キリストが生きておられるのは、神に対

して生きておられるのだからです」

  (1)キリストとともに死んだ私たちは、キリストとともに生きることになる。

  (2)キリストの死

    ①「ただ一度罪に対して死なれた」

    ②「神に対して生きておられる」

  (3)私たちの死(キリストと一体化)

    ①義認は一度かぎり。

    ②その後のクリスチャン生活は、継続したもの。

      *聖化の過程のこと

5.11節

「このように、あなたがたも、自分は罪に対しては死んだ者であり、神に対してはキリス

ト・イエスにあって生きた者だと、思いなさい」

  (1)「思いなさい」

    ①ロギゾマイというギリシア語

    ②基本的な意味は、算数の用語。よく計算して、答えを出しなさい。

    ③感情ではなく、知的理解である。

    ④口語訳では、「認むべきである」。新共同訳では、「考えなさい」。

    ⑤現在形の命令形。つまり、認め続けるべきという意味。

  (2)これまでの議論

    ①私たちはキリストとの一体化によって、罪に対して死んだ。

    ②罪の性質はまだ内に残っているが、それは私に対する法的権利を失った。

    ③以上のことを、真実だと認め続けよ。

Ⅲ.真理の適用(12~13節)

1.12節

「ですから、あなたがたの死ぬべきからだを罪の支配にゆだねて、その情欲に従ってはい

けません」

  (1)新共同訳

  「従って、あなたがたの死ぬべき体を罪に支配させて、体の欲望に従うようなことが

あってはなりません」

  ①「支配させて」は、現在形。つまり、継続した行為や状態。

2.13節

「また、あなたがたの手足を不義の器として罪にささげてはいけません。むしろ、死者の

中から生かされた者として、あなたがた自身とその手足を義の器として神にささげなさい。

というのは、罪はあなたがたを支配することがないからです。なぜなら、あなたがたは律

法の下にはなく、恵みの下にあるからです」

  (1)「罪にささげてはいけません」

    ①現在形。継続した動作や状態。

    ②私たちの手足は、不義の器となりうる。

  (2)「神にささげなさい」

    ①同じ動詞(パリステイミ)であるが、アオリストである。

    ②一度限りの、決定的決断のこと。

    ③私たちの手足は、義の器となりうる。

  (3)「というのは、罪はあなたがたを支配することがないからです。なぜなら、あな

たがたは律法の下にはなく、恵みの下にあるからです」

①この原理は、7章、8章で詳細に解説される。

結論:

1.他のパウロ書簡との比較(3つの聖句を選ぶ)

  (1)1コリ12:13

  「なぜなら、私たちはみな、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つのから

だとなるように、一つの御霊によってバプテスマを受け、そしてすべての者が一つの

御霊を飲む者とされたからです」

(2)ガラ2:20


「私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が肉にあって生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです」

(3)2コリ5:17


「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」

2
.聖化の教理の大枠の理解

  (1)6章 聖化の土台:キリストとの一体化

  (2)7章 人間的な努力では聖化は不可能である。

  (3)8章 聖霊によって聖化は可能になる。

  (例話)囚人と自由(ロバート・サルツマンの体験)

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