メシアの生涯(110)—解放者イエス(1)—

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このメッセージでは...

イエスは、解放者である。

「解放者イエス(1)」

ヨハ8:31~50

1.はじめに

  (1)文脈の確認

①十字架にかかる前の年の仮庵の祭り(半年前)

②神殿の中でのイエスの教えが続いている。

③§98と§99は、5番目の説教である(ヨハネの福音書に7つの説教がある)。

④今回は、§99の後半を取り上げる。

  (2)A.T.ロバートソンの調和表

「自らの罪が暴かれたのでイエスに石を投げようとするパリサイ人たち」(§99)

ヨハ8:21~59

  2.アウトライン

  (1)罪からの解放者(31~39a節)

  (2)悪魔からの解放者(39b~50節)

  (3)死からの解放者(51~59節)

    *今回は(1)と(2)を取り上げる。次回は(3)を取り上げる。

  3.結論:

    (1)悪魔の働きとは。

(2)アブラハムの業とは。

    (3)奴隷と息子とは。

イエスは、解放者である。

Ⅰ.罪からの解放者(31~39a節)

   1.イエスの教え(31~32節)

  「そこでイエスは、その信じたユダヤ人たちに言われた。『もしあなたがたが、わたしのことばにとどまるなら、あなたがたはほんとうにわたしの弟子です。そして、あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします』」

     (1)前回の箇所で、多くの者がイエスを信じた。

(2)イエスは、信じた者を2分された。

  ①弟子(学ぶ者という意味)

②本当の弟子(イエスに身を預けた者)

    (3)本当の弟子の特徴

  ①イエスのことばにとどまることによって、本当の弟子になるのではない。

  ②本当の弟子になったから、イエスのことばにとどまるのである。

  ③とどまるとは、信じ続けることである。イエスとつながっていることである。

    (3)本当の弟子が受ける祝福

  ①イエスのことばにとどまる人は、真理を知る。

  ②真理はその人を自由にする。

  ③ギリシア的概念では、「真理」は、「現実、実在、事実」と関係した言葉である。

  ④ヘブル的概念では、「真理」は「約束や言葉に対する忠実さ」である。

    *神は、ご自身の約束に忠実なお方である。

*イエスは、神の真実なご性質に言及している。

      ⑤聖書に啓示された神を知ることは、人を自由にする(罪からの解放)。

  2.ユダヤ人たちの反論(33節)

  「彼らはイエスに答えた。『私たちはアブラハムの子孫であって、決してだれの奴隷になったこともありません。あなたはどうして、「あなたがたは自由になる」と言われるのですか』」 (33節)

    (1)ユダヤ人たちの誤解

      ①奴隷という言葉を、政治的な意味に誤解している。

  ②彼らは、エジプト、アッシリヤ、バビロン、ペルシヤ、ローマの奴隷となった。

    (2)ユダヤ人たちの無知

      ①彼らは、自分たちはアブラハムの子孫だと思っていた。

        *アブラハムの子孫なら、メシア的王国に自動的に入れる。

    *本当の弟子なら、パリサイ的教えを捨てることになる。

*パウロは、パリサイ的教えを捨てた。

  ②彼らは、自分たちが罪と悪魔の奴隷であることに気付いていない。

  3.イエスの教え(34~38節)

   「イエスは彼らに答えられた。『まことに、まことに、あなたがたに告げます。罪を行っている者はみな、罪の奴隷です。奴隷はいつまでも家にいるのではありません。しかし、息子はいつまでもいます。ですから、もし子があなたがたを自由にするなら、あなたがたはほんとうに自由なのです。わたしは、あなたがたがアブラハムの子孫であることを知っています。しかしあなたがたはわたしを殺そうとしています。わたしのことばが、あなたがたのうちに入っていないからです。わたしは父のもとで見たことを話しています。ところが、あなたがたは、あなたがたの父から示されたことを行うのです』」 (34~38節)

     (1)奴隷とは、罪の奴隷のことである。

  ①罪を行っている者はみな、罪の奴隷である。

  ②罪が擬人法で語られている。

③ロマ6:23でパウロが同様に語っている。

「罪から来る報酬は死です。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです」(ロマ6:23)

    (2)イエスは、奴隷と息子の身分の違いを例話として語る。

  ①奴隷の身分は保証されていないが、息子の身分は保証されている。

②イエスを信じた者は神の子とされているので、自由になっている。

    (3)イエスは、彼らがアブラハムの肉体的子孫であることを認めている。

  ①しかし、彼らはアブラハムの信仰を持っていない。

  ②なぜなら、彼らはイエスを殺そうとしている。

    (4)彼らがイエスを殺そうとする理由は、イエスのことばが心に入っていないから。

  ①イエスは父のもとで見たことを話している。イエスと父はひとつである。

  ②彼らは、彼らの父から示されたことを行う。

    *彼らの父が誰かは、まだ示されていないが、予想は付く。

  4. ユダヤ人たちの反論(39a節)

「彼らは答えて言った。『私たちの父はアブラハムです』」 (39a節)

   (1)再度、アブラハムと自分たちの肉体的つながりを主張した。

  ①ユダヤ人たちは、自分たちがアブラハムの子孫であることを誇りとした。

  (2)彼らは、イエスが罪からの解放者であることを理解できなかった。

Ⅱ.悪魔からの解放者(39b~50節)

   1.イエスの教え(39b~41a節)

   「イエスは彼らに言われた。『あなたがたがアブラハムの子どもなら、アブラハムのわざを行いなさい。ところが今あなたがたは、神から聞いた真理をあなたがたに話しているこのわたしを、殺そうとしています。アブラハムはそのようなことはしなかったのです。あなたがたは、あなたがたの父のわざを行っています』」

     (1)「子ども」は、父親のように考え、父親のように行動する。

    (2)しかし、ユダヤ人たちはアブラハムのようには行動していない。

      ①彼らは、神から聞いた真理を話しているイエスを殺そうとしている。

  ②アブラハムは、そのようなことをしなかった。

  ③アブラハムは、神を信じ、義とされた。真理に信頼したのである。

    (3)ユダヤ人たちは、アブラハムではない別の「父」のわざを行っている。

  ①それゆえ、アブラハムは彼らの父ではない。

②その父とは悪魔であることが、暗示されている。

   2.ユダヤ人たちの反論(41b節)

  「彼らは言った。『私たちは不品行によって生まれた者ではありません。私たちにはひとりの父、神があります』」

     (1)法律上に父がいて、肉体的に別の父がいるのは、母親が不品行を犯したから。

  ①アブラハムは法律上の父であるが、それとは別に、父がいる。

    (2)ユダヤ人たちは、自分たちは不品行によって生まれた者ではないと言う。

  ①これは、偶像礼拝の民ではないという主張である。

      ②さらに、イエスが不品行から生まれたことを示唆している可能性もある。

*マリアがローマ兵に生んだのがイエスだというユダヤ人の記録がある。

  3.イエスの教え(42~43節)

「イエスは言われた。『神がもしあなたがたの父であるなら、あなたがたはわたしを愛するはずです。なぜなら、わたしは神から出て来てここにいるからです。わたしは自分で来たのではなく、神がわたしを遣わしたのです。あなたがたは、なぜわたしの話していることがわからないのでしょう。それは、あなたがたがわたしのことばに耳を傾けることができないからです』」

   (1)ユダヤ人の家族制度

  ①家族の間に愛がある。

  ②神が父なら、彼らは父を愛するはずである。

  ③父を愛するなら、父が派遣した者を愛するはずである。

  (2)イエスのことば(ロゴス)を理解できないのは、霊的に盲目だからである。

  ①生まれながらの人間は、御霊に属することを受け入れない(1コリ2:14)。

4.イエスの教え(44~47節)

「あなたがたは、あなたがたの父である悪魔から出た者であって、あなたがたの父の欲望を成し遂げたいと願っているのです。悪魔は初めから人殺しであり、真理に立ってはいません。彼のうちには真理がないからです。彼が偽りを言うときは、自分にふさわしい話し方をしているのです。なぜなら彼は偽り者であり、また偽りの父であるからです。しかし、このわたしは真理を話しているために、あなたがたはわたしを信じません。あなたがたのうちだれか、わたしに罪があると責める者がいますか。わたしが真理を話しているなら、なぜわたしを信じないのですか。神から出た者は、神のことばに聞き従います。ですから、あなたがたが聞き従わないのは、あなたがたが神から出た者でないからです」

  (1)ここでイエスは、彼らの父が悪魔であることを明らかにする。

  ①悪魔に見習っているという意味で、悪魔は父なのである。

    ②悪魔は、偽りの父、人殺し、真理を否定する者(イエスを殺そうとしている)。

  (2)イエスに罪があると責める者はいない。

  ①モーセの律法に違反していないということ。

(3)イエスが真理を話しているのに、それを信じないのは、悪魔から出ているから。

5.ユダヤ人たちの反論(48節)

「ユダヤ人たちは答えて、イエスに言った。『私たちが、あなたはサマリヤ人で、悪霊につかれていると言うのは当然ではありませんか』」 (40節)

  (1)正しく反論できないと、罵倒する言葉が出て来る。

  ①ラビ的悪霊論によれば、悪霊の長は「ショムロニ」である。

②ヘブル語では、これはサマリヤ人か悪霊を指す言葉である。

③イエスをサマリヤ人と呼ぶのは、悪霊につかれているという意味である。

    ④一般のユダヤ人が、イエスは悪霊つきだと主張する指導者たちの意見を採用。

   6.イエスの教え(49~50節)

「イエスは答えられた。『わたしは悪霊につかれてはいません。わたしは父を敬っています。しかしあなたがたは、わたしを卑しめています。しかし、わたしはわたしの栄誉を求めません。それをお求めになり、さばきをなさる方がおられます』」

   (1)イエスは、父なる神の御心しか行っていない。

  (2)父がイエスを信じない者をさばかれる。

(3)父がイエスに栄誉を与える。

(4)かくしてユダヤ人たちは、悪魔からの解放者イエスを信じることができなかった。

結論:

  1.悪魔の働き

    (1)悪魔に似た考え方、行動パターンを取っていると、悪魔の子である。

(2)悪魔は、最初の嘘を言い、最初の殺人の原因を作った。

(3)彼らは悪魔の教えに耳を傾け、イエスを悪霊つきと呼んだ。

    (4)彼らが嘘を言い、人を殺すのは、悪魔の子どもたちだからである。

(5)悪魔が彼らの目を閉ざしている。

(6)2コリ4:3~4

    「それでもなお私たちの福音におおいが掛かっているとしたら、それは、滅びる人々の場合に、おおいが掛かっているのです。その場合、この世の神が不信者の思いをくらませて、神のかたちであるキリストの栄光にかかわる福音の光を輝かせないようにしているのです」

2.アブラハムの業

  「あなたがたがアブラハムの子どもなら、アブラハムのわざを行いなさい」(39節b)

    (1)創15:6

「彼は【主】を信じた。主はそれを彼の義と認められた」

    (2)アブラハムのわざとは、神のことばを信じることである。

    (3)ユダヤ人たちがそれをしていないのは、アブラハムの子どもでないから。

    (4)イエスを信じる者は、罪の束縛から自由になる。

    (5)将来の行動が、今の告白が真実であるかどうかを証明する。

  3.奴隷と息子

    (1)クリスチャンになるとは、罪と悪魔の奴隷から神の子にされること。

  ①神の養子になること。

    (2)イシュマエルとイサクの対比

「それでアブラハムに言った。『このはしためを、その子といっしょに追い出してください。このはしための子は、私の子イサクといっしょに跡取りになるべきではありません』」(創21:10)

「しかし、聖書は何と言っていますか。『奴隷の女とその子どもを追い出せ。奴隷の女の子どもは決して自由の女の子どもとともに相続人になってはならない。』こういうわけで、兄弟たちよ。私たちは奴隷の女の子どもではなく、自由の女の子どもです」(ガラ4:30~31)

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