神のことばは無効になったのか

1〜5節で、イスラエルには7つの特権が与えられていることを学びました。それにもかかわらず、イスラエルはメシアを拒否しました。では、神の計画は挫折したのでしょうか。そうではありません。イスラエルの中には常に、不信仰のイスラエルと真のイスラエル（信仰者）が存在していました。前回は、アブラハムの2人の息子を例に取り、イサクが神の選びによって「約束の子」とされたことを学びました。今回は、イサクの2人の息子を取り上げ、彼らに関しても同じことが言えることを学びます。

エサウとヤコブ

「それだけではなく、リベカが、一人の人、つまりわたしたちの父イサクによって身ごもった場合にも、同じことが言えます」（10節／新共同訳）。（1）イサクとイシュマエルは異母いぼ兄弟でしたが、エサウとヤコブは同じ両親から誕生した双子です。（2）出生に関する状況が同じなのに、ヤコブだけがアブラハム契約の継承者として選ばれました。（3）「その子どもたちは、まだ生まれてもおらず、善も悪も行わないうちに、神の選びの計画の確かさが、行いにはよらず、召してくださる方によるようにと、『兄は弟に仕える』と彼女に告げられたのです」（11〜12節）。これは、創世記25：23からの引用です。この聖句は、神の計画（選び）の確実性を教えています。彼らが誕生する前から、行いによらずに、ヤコブに対する神の選びがあったのです。（4）「『わたしはヤコブを愛し、エサウを憎んだ』と書いてあるとおりです」（13節）。これは、マラキ書1：2〜3からの引用です。「愛し」、「憎む」という言葉を誤解してはなりません。「憎む」とは、感情ではなく、理性的判断です。「愛し」とは、神の選びがあったこと、「憎む」とは、神の選びからもれたことを示しています。
このように、アブラハム契約の継承者は複数ではなく、ひとりの息子です。神は主権によって、弟のヤコブを選ばれました。聖書の歴史を振り返ると、少数の者が選ばれてきたことが分かります。①イシュマエルではなく、イサクが選ばれました。②エサウではなく、ヤコブが選ばれました。③肉のイスラエルの中から、霊的イスラエルが選ばれました。
神が常に弱い者、下の者から選んでおられることに注目しましょう。私たちもまた取るに足りない者でしたが、キリストにあって選ばれ、恵みを受けました。この祝福は永遠に変わることがありません。