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出エジプト記1:8 ~ 14

8 さて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった。

9 彼は民に言った。「見よ。イスラエルの民は、われわれよりも多く、また強い。

10 さあ、彼らをかしこく取り扱おう。彼らが多くなり、いざ戦いというときに、敵側についてわれわれと戦い、この地から出て行くといけないから。」

11 そこで、彼らを苦役で苦しめるために、彼らの上に労務の係長を置き、パロのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。

12 しかし苦しめれば苦しめるほど、この民はますますふえ広がったので、人々はイスラエル人を恐れた。

13 それでエジプトはイスラエル人に過酷な労働を課し、

14粘土ねんどやれんがの激しい労働や、畑のあらゆる労働など、すべて、彼らに課する過酷かこくな労働で、彼らの生活を苦しめた。

苦役

新しいパロ

「さて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった」。パロとは「偉大な宮殿きゅうでん」という意味で、王の称号である。パロはエジプトの神々の最高峰であり、絶対的な権威を持っていた。
出エジプト記の時代背景について考えてみよう。(1)異民族が侵入し、エジプトを支配した時代があった(第16 王朝、第17 王朝時代)。この異民族の王朝は、ヒクソス王朝(前1650 ~ 1550 年)と呼ばれ、その王たちには「羊飼いの王たち」というニックネームがついていた。エジプト人はハム系、ヒクソス人はセム系である。ヒクソス王朝は、セム系の移民を歓迎した。ヨセフがエジプトの宰相さいしょうとなったのは、この時代である。(2)ヨセフの死後、エジプト人の王朝(第18 王朝)が回復された(前1540 年)。この王朝の出現により、イスラエルの民を迫害する人種的、宗教的背景が整った。(3)第18 王朝の初代の王は、アフモス1 世である。彼は、エジプトを人類史上初の反ユダヤ主義国家とした。イスラエルの民に対する迫害は、2 段階でやって来たが、エジプトが採用した方法は、それ以降の反ユダヤ主義政策の基本的なパターンとなった。

迫害の第1 段階

第1 段階は、4 つに区分出来る。(1)イスラエルの民に対する苦役を重くする。奴隷を管理する係長が任命され、イスラエル人たちを倉庫の町ピトムとラメセスの建設に当たらせた。ピトムとは「ツム(エジプトの偶像神)の家」、ラメセスとは「太陽神の息子」という意味である。イスラエル人たちは、偶像礼拝の中心となる町を建設させられたのである。(2)しかし彼らは、ますます増え広がった。過酷な労働によって、出生率を減らそうとしたのだが、正反対の結果が出た。これは、創世記15:5 の約束の成就である。(3)それを見て、エジプト人は恐れをいだいた。恐怖心が、反ユダヤ主義の根本原因である。(4)そこでエジプトは、さらに過酷な労働(粘土やれんがを造る)をイスラエル人に課した。石はエジプト南部でしかれないので、北部では、れんがが建材として用いられた。それは、貝殻やわらを混ぜた粘土を型に入れ、日干しにしたものである。
ここには、私たちへの教訓がある。イスラエル人の力は、神から来ているというのが教訓である。「…あなたがたは、世にあっては患難かんなんがあります。しかし、勇敢ゆうかんでありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです」(ヨハ16:33)という主イエスのことばを思い起こそうではないか。

きょうの祈り

アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。主イエスはすでに世に勝たれました。感謝します。試練の中で、主イエスの守りと勝利を経験することができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

創世記 43~44、詩篇 7~8