復活に関する質問

この箇所では、3 番目の人たち（サドカイ人たち）がイエスに挑戦している。彼らは、貴族階級、祭司階級からなる体制派のグループで、神学的には死者の復活を否定していた。これがパリサイ人との大きな相違点である。彼らは次のようにイエスに迫った。「7 人の兄弟が子を残さずに次々と死んだ場合、彼らの妻となったひとりの女は、復活の世ではだれの妻になるか」（申25：5 参照）。この質問の目的は、公おおやけの場でイエスを辱めることであった。
イエスは彼らの誤解を指摘された。（1）そういう質問をするのは、聖書も神の力も知らないからである。（2）次の世では結婚関係はない。なぜなら、人は永遠のいのちを持つので、結婚して子孫を残す必要がなくなるからである。（3）それはちょうど、「天の御使い」が結婚しないのと同じである（創世記6 章では、堕落だらくした天使たちが人間の女たちと結婚をしているが、彼らは聖なる天使たちではない）。

旧約聖書の証言

旧約聖書の中で復活を明確に預言している箇所は、ダニエル12：2、イザヤ26：19、ヨブ19：25 ～26 などであるが、イエスは、これらの箇所ではなく、復活とは直接関係がないと思われる出エジプト3：6 を引用された。その理由は、サドカイ人はパリサイ人とは違い、教理的な問題に関しては、モーセの五書（トーラー）の権威しか認めていなかったからである。イエスは、出エジプトからの引用によって、復活の教理を説明しようとされた。（1）「わたしは、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」とは、神がアブラハム契約を結んだ神であることを示している。（2）アブラハム、イサク、ヤコブは、その約束が成就する前に死んだ。（3）神には約束を実行する責務がある。そのためには、約束の受け手であるアブラハム、イサク、ヤコブが復活する必要がある。このようにしてイエスは、アブラハム契約そのものが、死後のいのちを保証していると解説されたのである。
イエスの解説を聞いて、群集は驚いた。パリサイ人たちは、復活の真理を斬新ざんしんな方法で解説したイエスの知恵に仰天ぎょうてんした（ルカ20：39 ～40）。そして、サドカイ人たちは沈黙ちんもくした。
キリストにあって死んだ者は幸いである。永遠のいのちへのよみがえりが保証されているからである。イエスご自身が、復活が真理であることを保証された。自分が救われただけで満足するのではなく、ひとりでも多くの人が同じ祝福にあずかれるように、励はげもうではないか。