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創世記23:10~18

10 エフロンはヘテ人たちの間にすわっていた。ヘテ人のエフロンは、その町の門に入って来たヘテ人たちみなが聞いているところで、アブラハムに答えて言った。

11 「 ご主人。どうか、私の言うことを聞き入れてください。畑地をあなたに差し上げます。そこにあるほら穴も、差し上げます。私の国の人々の前で、それをあなたに差し上げます。なくなられた方を、葬ってください。」

12 アブラハムは、その土地の人々におじぎをし、

13 その土地の人々の聞いているところで、エフロンに告げて言った。「もしあなたが許してくださるなら、私の言うことを聞き入れてください。私は畑地の代価をお払いします。どうか私から受け取ってください。そうすれば、死んだ者をそこに葬ることができます。」

14 エフロンはアブラハムに答えて言った。

15 「 ではご主人。私の言うことを聞いてください。銀四百シェケルの土地、それなら私とあなたとの間では、何ほどのこともないでしょう。どうぞ、なくなられた方を葬ってください。」

16 アブラハムはエフロンの申し出を聞き入れ、エフロンがヘテ人たちの聞いているところでつけた代価、通り相場で銀四百シェケルを計ってエフロンに渡した。

17 こうして、マムレに面するマクペラにあるエフロンの畑地、すなわちその畑地とその畑地にあるほら穴、それと、畑地の回りの境界線の中にあるどの木も、

18 その町の門に入って来たすべてのヘテ人たちの目の前で、アブラハムの所有となった。

墓地の購入(2)

エフロンの回答

アブラハムが購入を希望したマクペラの墓地は、エフロンというヘテ人の所有地であった。アブラハムの要請に対して、エフロンが答える番である。(1)「エフロンはヘテ人たちの間にすわっていた」。これは、彼が権威ある立場の人であることを示している。(2)「ヘテ人のエフロンは、その町の門に入って来たヘテ人たちみなが聞いているところで、アブラハムに答えて言った」。周りに集まって来たヘテ人たちが、この契約の証人である。すでに、この交渉は公のものとなっている。当時は、町の門で取引や法的決定がなされた。(3)エフロンは、こう回答する。「畑地をあなたに差し上げます。そこにあるほら穴も、差し上げます。私の国の人々の前で、それをあなたに差し上げます。なくなられた方を、葬ってください」。この言葉は、無償むしょうの提供を意味しているように聞こえるが、額面がくめんどおりに受け取ってはならない。アブラハムは、当時の中近東の習慣をよく理解していた。

アブラハムの提案

アブラハムは、再びおじぎをした。習慣にのっとり、時間をかけて交渉を進めていくのである。(1)彼は、無償の提供を断り、支払いを申し出る。これもまた、当時の習慣にかなっている。(2)ついにエフロンが、値段を口にする。「銀四百シェケルの土地」。エフロンは、土地の売却に同意したのである。「それなら私とあなたとの間では、何ほどのこともないでしょう」。この値段なら決して高くはないという意味であるが、これは時価の約10 倍の額である。(3)中近東の習慣では、ここから、値下げ交渉が始まるのであるが、驚いたことに、アブラハムはこの額をそのまま受け入れる。彼は、証人たちの前で、銀400 シェケルを支払った。新共同訳では、「銀四百シェケルを商人の通用銀の重さで量り」と訳されている。アブラハムは、誠実せいじつに支払いを行ったのである。(4)これで契約が締結された。「畑地」まで含まれている理由は、当時のヘテ人の法律が分かると納得できる。ヘテ人の法律では、土地の所有者は、王に対して税を納める義務を負う。エフロンは、納税の義務を負いたくなかったので、墓地と畑地を一括して売却したのである。
アブラハムは、相手の習慣を受け入れ、あくまでも誠実にこの契約を結んだ。相手の言い値が法外なものであっても、それを受け入れ、隣人との平和を求めた。これが、寄留者として生活するアブラハムの知恵であった。アブラハムの知恵から、教訓を学ぼうではないか。

きょうの祈り

アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。自己主張することの多い者ですが、どうか謙遜になり、隣人との平和を第一に求めさせてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

レビ記24 ~ 25、マタイの福音書4